井上との大一番に向け、やる気を漲らせていたグッドマン。しかし、まさかのアクシデントによって試合は中止となった。(C)Getty Images、(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext 度重なるアクシデントに母国でも衝…

井上との大一番に向け、やる気を漲らせていたグッドマン。しかし、まさかのアクシデントによって試合は中止となった。(C)Getty Images、(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 度重なるアクシデントに母国でも衝撃は広まった。現地時間1月10日、プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)と対戦予定だったWBO同級1位のサム・グッドマン(豪州)が練習中に負傷。来る1月24日に東京・有明アリーナで、開催予定となっていた王座戦の中止が決まった。

【動画】痛々しい左目の裂傷…井上戦を控えたグッドマンの負傷シーン

 さすがに再延期は認められなかった。昨年12月24日に井上と対戦予定だったグッドマンは、来日前日に実施したスパーリング中に左目上をカット。4針を縫う大怪我を負ったために無念の試合延期が決まっていた。

 井上陣営の配慮もあり、約1か月のリハビリ期間が与えられたグッドマンだったが、ふたたびアクシデントに見舞われた。今回のキャンセルを伝えた豪スポーツ専門局『FOX Sports』によれば、26歳の豪戦士はスパーリング中に左目付近にパンチを被弾。治りかけていた傷口が開き、即座に整復手術の必要が出るほどの裂傷を負ったという。

 グッドマンのプロモートを務める豪興行大手『No Limit Boxing』のマット・ローズCEOは、「サムが払ってきた犠牲の全てが台無しになった」「再び起こるとは……」と複雑な胸中を漏らした。だが、回復途上にある中でスパーリングに臨ませ、前回よりも重い、全治6か月とされるダメージを負わせた陣営にも少なからず責任はある。今度ばかりは「不可抗力」という言葉だけで片づけられる問題ではないとも言えよう。

 ゴングまで約2週間と迫っていた中での中止に、豪国内でも波紋を広まっている。国内最大級のネットワークを誇る公共放送局『ABC』は「グッドマンの世界タイトル獲得の夢は崩れ去った。今回の撤退は彼のキャリアにとって大きな後退だ」と強調した。

 また、グッドマンの状態について「手術が必要であり、少なくとも初夏までは出場できなくなる。もはや慰めようがない」とする豪日刊紙『Herald Sun』は、将来的な井上との対戦の可能性を次のように断じている。

「今回の後退はグッドマンにとって壊滅的な打撃であり、彼の世界タイトル獲得の望みはボロボロになる可能性がある。ボクシング界はこの先でイノウエの陣営が彼に再びチャンスが与えるのかどうかを見守ることになる」

 2度も井上戦を流してしまったことで、“チャンス”を逸した感が否めないグッドマン。文字通り痛すぎるダメージとなった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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