強豪チームを次々と倒してファイナルまで勝ち上がり、決勝戦では最後までもつれる大接戦を制して初優勝。新年早々、RIZINGS徳…
強豪チームを次々と倒してファイナルまで勝ち上がり、決勝戦では最後までもつれる大接戦を制して初優勝。新年早々、RIZINGS徳島(徳島県)は『京王 Jr.ウインターカップ2024−25 2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会』で大きなインパクトを残し、地元に明るいニュースを届けた。
「まさかの田舎の街クラブが日本一になれるなんて……。徳島はめっちゃ田舎なんですよ」。指揮を執る十川佳司ヘッドコーチは自虐を交えて喜びに浸った。しかし、素速いドランジションと高いシュート力を武器とするチームの強さは、まさに本物。モットーに掲げる『エンジョイ&エキサイティング』の言葉どおり、最後まで楽しむことを忘れずに戦い抜き、見るものを大いに興奮させた。
チームを象徴するのは、ともに大会ベスト5に選出された岩朝ローマ(3年)、平岡泰介(2年)の「二枚看板」(十川HC)。琉球ゴールデンキングスU15との決勝戦はそろってダブルダブルの活躍を見せ、岩朝は同点で迎えた試合終了残り55秒に決勝点となる3ポイントシュートを決めた。
平岡は21得点に加え18リバウンドをマーク。187センチの2年生エースは3ポイント10本、2ポイント18本を放ってリングに向かい続けた。ゴール下では6つのオフェンスリバウンドをもぎ取り、「自分は身長が高いのでリバウンドも武器にしています。今日の試合でも多く取れてよかったです」と手応えを口にした。
「何でもできます」と主張する背番号7はスピードと跳躍力にも優れ、オフェンスでは力強い突破からシュートをねじ込むこともできる。最も得意なプレーは3ポイント。時間を見つけては「体育館を借りたり、家のリングでシューティングしたりしています」と自主練習も欠かさない。
「大会の2週間前に脳震とうの症状があって、試合に出られるかわからない状態でした」。今大会にギリギリ間に合ったという平岡は、「初戦はあまり調子がよくなかった」と振り返ったが、計6試合で115得点64リバウンドを稼いだ。
「去年は1回戦で負けて、自分はその悔しさもコートで経験しました。なのでこの1年間は練習で人一倍声を出して、自主練も頑張って、練習以外の時でもバスケのことばかり考えていました」
1年間の努力が実り、平岡はチームとともにその名を全国に轟かせた。「徳島は電車も通ってないので、本当に田舎です」。期待の新星は十川HCと同じように笑い、県勢初の快挙を噛みしめた。
「徳島県では初ですし、もちろん優勝することが目標だったんですけど、本当に優勝できて驚いてます。うれしいです」
3年生たちは日本一を置き土産に春から新たな道へと進む。新チームでは絶対的存在となる平岡は、「もっとドライブやシュート力を磨いて、来年もこの舞台に戻って絶対日本一を獲ります」と言いきる。
RIZINGS徳島に初優勝をもたらし、男女を通じて唯一ベスト5に選ばれた2年生。2026年もJr.ウインターカップの出場権を獲得できれば、平岡が大会のキービジュアルに起用されることは間違いないだろう。
再び日本一を勝ち取るために、将来は世界で活躍するプレーヤーになるために、平岡泰介は今日も田舎のバスケットコートでシュートを打ち続ける。
文=小沼克年
徳島の街クラブが日本一!【決勝戦ハイライト】