◇米国男子◇ザ・セントリー 最終日(5日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7596yd(パー73)試合がなくてもプロゴルファーは、そこそこ忙しい。松山英樹の様なトッププレーヤーならなおさらで、オフのあいだにスポンサー企業…
◇米国男子◇ザ・セントリー 最終日(5日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7596yd(パー73)
試合がなくてもプロゴルファーは、そこそこ忙しい。松山英樹の様なトッププレーヤーならなおさらで、オフのあいだにスポンサー企業のイベント参加やCM撮影、メディアのインタビューといった仕事をこなす。「パリ五輪」で銅メダルを獲得した2024年は普段以上の忙しさ。師走はほとんどクラブを握らず、日本でラウンドしたのは1日だけだった。
25年のシーズン開幕は例年よりも早い1月2日(木)で、松山は12月最後の週末に渡米した。その直前には「やっと熱が下がった…」と体調不良で寝込んだ時間もあった。練習がてらオアフ島のゴルフ場でプレーしてから、試合会場のあるマウイ島に入って調整。ちなみに9ホールで終えた日もあったが、数えたスコアは毎日オーバーパーだったという。
まだ“ウォーミングアップ”の印象を持たせながらも、松山は黒宮幹仁コーチとのセッションで日々、スイング確認に勤しんだ。住友ゴム工業(ダンロップ)の用具担当・宮野敏一氏が、会場に相変わらず山ほど持参したテストクラブ(ドライバーはヘッド12個)の出番は一切なし。「練習でも一発も打たず、スイングに集中していた。感覚で納得いかない部分があるようで、やるべきことを明確に決めていた様子でした」
7年ぶりだった「ハワイでの年越し」。世間的には聞こえがよくても、本人とサポートチームにとっては大晦日も同じ一日でしかない。夕食は前日までと同じメニュー(ガーリックシュリンプとステーキ)を平らげ、翌日のプロアマ戦に備えて、それぞれがカウントダウンのずいぶん前には自室へ。その元旦の最終調整でも、3Wで放ったティショットが大ダフリしてフェアウェイに届かないミスがあった。
試運転とも言うべき初戦で、リズムに乗れば最高の結果を導き出せるのが一流たる所以でもある。早藤将太キャディは「締める(べき)ところを締めていた」とカギになったシーンのひとつに2日目の出だし1番を挙げた。右サイドに曲げたティショットから、2.5mのパットを沈めてパーセーブ。前日の1打差2位発進の勢いを保ち、ツアーベストの通算35アンダーに繋げた。
直近2年の秋は出場をいずれも日本での2試合に制限。松山は「オフですごくリフレッシュできて、ココからスタートするという気持ちでできた。それが良かったかなと思います」と振り返った。昨季1勝目の「ジェネシス招待」は2月、そして今年は開幕戦を勝った。2月末には33歳。メリハリのあるスケジュールは、一年のほとんどを試合会場で費やした20代の頃とは違う。ウィニングパットを沈め笑顔でキャップを脱ぐ。鼻から下が黒く焼けた肌のコントラストが際立った。(編集部・桂川洋一)