サッカーを求めて世界中を旅してきたベテランジャーナリストの後藤健生。そんな百戦錬磨の旅人を驚かせるのは、中国の人々だ。蹴…
サッカーを求めて世界中を旅してきたベテランジャーナリストの後藤健生。そんな百戦錬磨の旅人を驚かせるのは、中国の人々だ。蹴球放浪家がスタジアムで、街中で、遭遇した、良い意味でも、悪い意味でも「存在感がありすぎる」隣国の人々!
■サンクトペテルブルクでの「存在感」
とにかく、ロシア・ワールドカップのときには、中国の存在感がすごかったのです。
ロシア滞在中のある日、僕はサンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館を見学に行きました。
ロシア帝国を支配していたロマノフ王朝は西欧文化に憧れを持っており、数多くの美術品を収集。それを、サンクトペテルブルクの宮殿に展示したのが、ロシアの「エルミタージュ美術館」です。フランス・パリの「ルーブル」、スペイン・マドリードの「プラド」と並んで「世界3大美術館」と言われています。
朝の開館時間前に行って、早々に入場しました。そして、しばらくすると中国人観光客が押し寄せてきました。大変な数です。美術館の窓から外の広場を見下ろすと、入場を待つ中国人の行列が見えました。
あまりの人数に、とても美術品を鑑賞できる状態ではなくなってしまったので、半分ほどの見学を終えた僕は、その後は速足で駆け抜けて美術館を後にしたのです。
日本に観光に来ている中国人観光客は富裕層や中間層が多いようで、服装などは日本人や西洋人と同じようで、言葉を聞かなくては中国人かどうか分かりません。
しかし、ロシアにいた中国人のそうした人々とは服装などもまったく違います。おそらく、地方都市からやって来た、比較的、貧しい層の団体客なのでしょう。つまり、ロシア旅行は欧米や日本に行くより格安なので、貧しい地方からの観光客が多いのでしょう。
■タイの首都バンコクの「王宮」で…
もうひとつ、中国人観光客の数に圧倒されたのが、タイの首都バンコクの王宮でのことです。
それは、2020年の1月。東京オリンピック予選を兼ねたAFC U-23選手権(現、U-23アジアカップ)のときでした。森保一監督率いる日本代表も出場していましたが、日本は開催国としてオリンピック出場権をすでに持っていたので、他の出場国とは準備やモチベーションに差があり、グループリーグ敗退となってしまいました。
それでバンコクに滞在していたときに、王宮観光に行ったのです。ちなみに、このときは王宮のすぐそばの安ホテルに滞在していました。
そうしたら、王宮は中国人観光客に占領されていました。
中国人の数だけでは、ビックリしたりはしません。しかし、このとき、僕にはその状況を恐れる理由があったのです。
「中国で原因不明の病気が流行している」
■パンデミックの「始まり」でした
前年の12月には日本の新聞に、そんなニュースが小さく載っていたのです(「正体不明のウイルスによるもの」と報じられたのは12月31日)。
「大勢の中国人と遭遇してしまったけれど、その病気が伝染ったらイヤだなぁ」と思ったのです。
そうです。それが、COVID-19によるパンデミックの始まりでした。
僕は、準々決勝の韓国対ヨルダン戦まで観戦して、夜行便で1月20日早朝に成田空港に戻ってきました。幸い、帰国後も体調に異変はありませんでした。
僕が帰国したのと同じ1月20日に、横浜港から英国船籍の大型クルーズ船が出港しました。「ダイヤモンド・プリンセス」号という船でした。そして、そのクルーズ船は香港、ベトナムなどを訪れた後、2月3日に横浜に戻ってきました。そして、船内で多くの人が新型コロナウイルスに感染していることが判明したのです。
ちょうど、今から5年前の出来事でした……。