共栄学園高を引っ張る秋本は2023年に女子日本代表に登録された逸材だ(C)産経新聞社「春の高校バレー 第77回全日本高等学校選手権大会」(以下、春高)が来年1月5日に開幕する。高校生バレーボーラーにとってはシーズンの集大成を飾る晴れ舞台とな…

 

共栄学園高を引っ張る秋本は2023年に女子日本代表に登録された逸材だ(C)産経新聞社

 

「春の高校バレー 第77回全日本高等学校選手権大会」(以下、春高)が来年1月5日に開幕する。高校生バレーボーラーにとってはシーズンの集大成を飾る晴れ舞台となる。

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 女子ではインターハイ優勝の大阪・金蘭会高と国体優勝の岡山・就実高が、今年度の二強を形成。いずれの大会でも決勝を争った両校は、今回の春高でも優勝候補といえる存在だ。そして両チームには1年生時から火花を散らしてきたエースがいる。

 昨年度に続く春高連覇を目指す就実高は、福村心優美(ふくむら・こゆみ)が入学当時からエースナンバー「4」を背負ってきた。それだけでもプレーヤーとしての評価がうかがえるが、西畑美希監督が絶賛するのはレシーブ力。「打力がある選手は全国にごろごろいますから、福村のアタックに関して驚くことはありません。ですが、あのサイズ(身長178センチ)でサーブレシーブを高いレベルでこなしせることは、バレーボール選手としてとても大きな武器です」と語る。中学時代まで埼玉県で過ごし、岡山県の名門の扉を叩いた。以降はエースナンバーの重責を担いつつ、先輩たちと日本の頂に立つ瞬間を味わってきた。実りある高校生活のフィナーレはいかに。

 その福村に対して、メラメラと闘志を燃やしてきたのが金蘭会高のエースである西村美波(にしむら・みなみ)。幼少期からサイズに恵まれ、小学生時代には滋賀のクラブチーム「はやぶさ」で全国大会を制覇。金蘭会中3年時にはチームで日本一に輝いたほか、個人としてもJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)で大阪北選抜を優勝に導き、最優秀選手に該当する「JOC・JVAカップ」に選出される。同世代のトップランナーとしてキャリアを重ねている最中だ。

 チームにおいては今や「チームが勝つのも負けるのも、彼女しだい」(池条義則監督)というほど絶対的な存在で、身長178センチを活かしたアタックに加え、負けん気の強さが何よりの武器だ。高校進学後、周囲が就実高の福村の名前を口にしただけで機嫌が悪くなっていた…なんて逸話もある。今季は全国大会決勝で1勝1敗。両校のエース対決、その決着のときがせまっている。

 同年代を代表するアタッカーでいえば、東京・共栄学園高の秋本美空(あきもと・みく)は、その一人。女子日本代表で活躍し2012年ロンドンオリンピック銅メダリストの大友愛を母に持ち、身長は180センチを超える娘もまた2023年には現役高校生ながら女子日本代表に初登録された。高校2年生時には女子U19日本代表として出場した第18回世界U19女子選手権大会において、その非凡なアタック力で得点を量産。表彰台こそ逃したものの、大会ベストスコアラーとベストアタッカーに輝く活躍で、一躍その名を世界へ知らしめた。

 春高では過去2年、悔しい思いを味わい、そのたび成長につなげてきた。最後の春高こそ、笑顔で終えることができるだろうか。

 この3人が今年度の高校女子バレー界をリードするヒロインと言えるが、ほかにも才能あふれる選手はたくさん。金蘭会高で西村とエースを組む大森咲愛(おおもり・さえ)は抜群のアタックセンスを備え、同校のリベロ西川凜(にしかわ・りん)もアンダーエイジカテゴリー日本代表に選ばれた実績を持つ。また、昨年度の春高では決勝で就実高に敗れて涙を飲んだ東京・下北沢成徳高のキャプテンでエース、イェーモン ミャは下級生時から強烈なアタックを轟かせてきた。将来性ある彼女たち3年生は、並々ならぬ思いで春高のステージに立つだろう。

 そして高校1年生ながら、すでに注目を集めているのが大分・東九州龍谷高のサウスポーエース、忠願寺莉桜(ちゅうがんじ・りおん)。まだ1年前、中学3年生時のJOC杯では「JOC・JVAカップ」に輝き、その後は令和5年度全国中学選抜入りを果たすと、海外遠征で出場した国際大会でMVPを獲得。名実ともに、同年代をリードする存在となった。その頃から春高は「自分が立つことを描いてきた」と話す夢舞台。将来を有望視されるアタッカーが、自身初の春高で新たな一歩を踏む。

 

[文:坂口功将]

 

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