ホーバスHCが認めたポテンシャル『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール…
ホーバスHCが認めたポテンシャル
『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』は、福岡大学附属大濠高校(福岡県)が3年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた。
その福大大濠は準決勝で「令和6年度 全国高等学校総合体育大会(北部九州総体2024)」を制した東山高校(京都府)と相まみえた。夏の王者との対戦で相手の得点源を抑えた福大大濠が主導権を奪い、84−58で快勝。優勝候補同士のマッチアップを制した福大大濠はこの勝利で自信を深めて、決勝戦を制することになる。
福大大濠の立役者の一人、渡邉伶音(3年)と同様に、今大会で注目を集めたのが東山の瀬川琉久(3年)だった。瀬川は福大大濠のディフェンスの前に、「点差が開いたときに何をしていいのかわからなくなりました。頭が真っ白になって走ることで精いっぱいで、何もできなかった」と涙を浮かべた。
それでも瀬川が世代を代表する司令塔であることはまがいもない事実だ。身長184センチのポイントガードは広い視野を持ち、勝負強いシュートを武器とする。
瀬川は2024年5月20日から行われた日本代表のディベロップメントキャンプに参加し、トム・ホーバスヘッドコーチの指導を受けることができた。その際、ホーバスHCは瀬川のプレーについて「ショック!」という表現を用い、「17歳の年齢であれだけフィジカルなバスケに順応できている」と評価。また「プレーを急がない」と語り、ポイントガードとしてゲームコントロールの面での落ち着きや状況把握力の高さに目を丸くした。そして、「きっとA代表のメンバーになると思う」と将来性についても言及するほどの素材だ。
各年代で日本一を経験した“優勝請負人”
瀬川には、“優勝請負人”という表現がぴったりくるだろう。言い方を替えれば、栄光とともにバスケ人生を歩んできた。ミニ、中学、そして高校とチームのエースとして日本一を獲得してきた。
小学校1年のときにバスケットボールを始めた瀬川が全国的に注目を集めたのが、小学6年次、2019年に国立代々木競技場第一・第二体育館で開催された「第50回全国ミニバスケットボール大会」。魚崎ミニバスケットボールクラブ(兵庫県)のエースとして3勝を挙げ、優勝を果たした。
中学では3年次となる2021年、群馬県高崎市で行われた「令和3年度全国中学校体育大会 第51回全国中学校バスケットボール大会」に出場。瀬川擁する本山南中学(兵庫県)が最終日のベスト4に勝ち残った。しかし、当時はいわゆる“コロナ禍”中で開催された大会。準々決勝を戦ったチームの中から体調不良者が出て、準決勝に進出した2チームが棄権となった。事情をくんだ残り2チームも棄権を申し入れたことで、大会規定に則り4校同時優勝となった。
後に瀬川は「全中では4校優勝でしたが、それがとても悔しくて」と語ったが、その思いを晴らしたのは年が明けて1月4日から武蔵野の森総合スポーツプラザで行われた「Jr.ウインターカップ2021-22 2021年度 第2回全国U15バスケットボール選手権大会」だ。この大会では魚崎ミニ、本山南中のチームメートで構成したゴッドドアで出場。決勝ではゲームハイの28得点をマーク、リバウンドも16本とダブルダブルを達成して、優勝に華を添えた。
「全中では4校優勝でしたが、それがとても悔しくて。だからジュニアウインターカップにかける思いが強かったので、優勝できて本当にうれしいです」
東山では3年次に「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で優勝。決勝では美濃加茂高校(岐阜県)を78−62で破って、同校初の全国大会制覇に貢献した。
残念ながら高校生活最後の大会、ウインターカップを制することは叶わなかった。
福大大濠戦のあと、メディア対応した瀬川は、「今日の悔しさを忘れてはいけない」と絞り出すようにコメント。ただ、「自分のバスケットボール人生はこれで終わりではありません。これからまた違うステージに行くと思うし、今よりももっと厳しい環境に身を置くとは思います」と語った。
1月4日、瀬川は千葉ジェッツと特別指定選手枠でプロ契約を結んだ。中学時代、将来はNBAでのプレーを目指し、その過程として日本代表に入って、「日本一のガードと呼ばれるようになりたい」と将来像を話していた。瀬川が今後どのようなバスケ人生を歩むのか!? 今後の動向に注目だ。
文=入江美紀雄
チームの危機を救う40得点をマークしたウインターカップ2024対藤枝明誠