■1日限定のお花屋さん デリック・ローズ(元シNBAカゴ・ブルズほか)が、自身の名にちなみ、地元シカゴの街に花屋をオープンした…
■1日限定のお花屋さん
デリック・ローズ(元シNBAカゴ・ブルズほか)が、自身の名にちなみ、地元シカゴの街に花屋をオープンした。
2024年の大晦日、ローズはSNSに一本の動画を投稿。そこではエプロン姿のローズが店内で注文の電話を取りながら薔薇を生けており、1月2日に1日限定のフラワーショップ『Rose’s Flower Shop』をオープンすることが告知された。
ダウンタウンの中心部に登場したローズのポップアップショップは、人生に大きな影響を与えた人に感謝を込めてブーケを贈ることを目的に開催。花束は4本のバラ、カスミソウなどを束ねたもので、店頭にはローズ本人も登場し、ファンは地元の伝説と共にポラロイドの撮影が許可された。
■スター帰還にファン熱狂
シカゴは、ローズの帰還を長蛇の列という形で歓迎した。ファンたちは史上最年少MVPの歴代ジャージや『SLAM』で表紙を飾った際のTシャツなど、同選手にまつわるアイテムを着用し、中には母校であるシメオンキャリア・アカデミー高校のジャージをアピールする人も。極寒の中に作られた列は川を跨ぐほどの距離となり、あまりの長さから打ち切らざるをえなかったという。
地元メディア『Block Club Chicago』の取材に応じた1人のファンは、ローズからのインスピレーションと街への貢献に感謝を述べ、母親に花束をプレゼントしたそう。また、別のファンはブーケが無料で配られたことに驚きを隠せず、ローズのシカゴに対する美しい心遣いに敬意を示した。
ポップアップ開催後にもローズはSNSを更新。そこには自身の存在価値を示す意味について、力強いメッセージが添えられている。
「僕たちは皆、自分以外の誰かに自身を証明する必要なんてないことを理解しています。でも、もし自分が素晴らしい存在であることを認めてもらうために、証明しなければならない環境で育ったらどうでしょうか?シカゴはまさにそんな地域です。確かに、他人に自己を証明する必要なんてありませんが、先輩たちに認められ、周りの人々に高みを目指している姿を感じてもらうほど素敵なものはありません」
■地元の人々に伝えたかったこと
ローズは、シカゴで最も犯罪率が高い貧困地域のイングルウッドの出身である。4人兄弟の末っ子であるローズは厳格な母親と弟思いの兄たちに守られ、街の悪影響を受けないよう大切に育てられた。こうした愛情により、ローズのバスケットボールの才能は若くして開花。高校時代は州大会を連覇し、名実共に世代ナンバーワンのガードとして全米中に名を轟かせた。
ローズはそんな高校時代の実体験をもとに、自身に集中し、自己を証明することの重要性を説いている。
「若い頃、デ・ラ・サル高校からの帰り道、友人のロームとそのような経験をしました。プレーしたのは1試合で、自分が何をしたかを覚えていないほどに熱くなりましたが、試合後には皆からの愛情が変化し、自分が追い求めているものを感じ取ってくれたのです。最も思い出深いのは、ハーブ、ラン、ラングと一緒に車に乗っていたときのことです。後部座席に座っていたら突然、ハーブがこんなことを言いました。『プー(ローズのニックネーム)、今日みたいなプレーをし続けたら、お前は絶対するよ』と。家庭では色々な問題を抱え、いち早く夢を叶えたいと思っていたので、その言葉が胸に響き、涙を堪えました。君たちに伝えたい。どうやって自分自身や家族に対して、偉大であることを証明するのでしょうか?ここにいなかったり、檻の中にいたらできないことです。君たちはシカゴの人間です!銃を撃たずしても成し遂げてきた人たちがいます。僕は地元の皆に訴えかけています。僕たちはそのために生きています。過去を塗り替えられるか否かは僕たち次第なのです」
その身を挺して誰かの人生を変え、シカゴの発展を願い、声を上げ続けるローズ。1月5日(現地時間4日)に『ユナイテッド・センター』で開催されるブルズvsニックスの一戦では、ハーフタイムにローズのキャリアを讃えるセレモニーが開催される予定だ。それがどれほどまでに尊く、美しい時間になるのか、このエピソードがあれば説明するまでもないだろう。
文=Meiji
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