AIの登場は世の中を大きく変化させ、その関心は日々高まっているが、競馬界においてもAIの分野で挑戦している企業がある。それが競走馬管理クラウド「EQUTUM(エクタム)」を開発する株式会社ABELだ。AIを活用して「凱旋門賞を勝ちたい」…

 AIの登場は世の中を大きく変化させ、その関心は日々高まっているが、競馬界においてもAIの分野で挑戦している企業がある。それが競走馬管理クラウド「EQUTUM(エクタム)」を開発する株式会社ABELだ。AIを活用して「凱旋門賞を勝ちたい」と豪語するのが同社の大島秀顕代表取締役である。AIを導入することで日本馬悲願のタイトルを獲得することはできるのか。核心に迫る。

──具体的に凱旋門賞を勝つにはどんなアプローチが必要なのでしょうか。

「現状ではヨーロッパの馬場で走る馬って、どんな馬なのかというのは結構謎じゃないですか。 ディープインパクトやオルフェーヴルといった日本の芝で結果を残している馬が上位には来ているけど勝つことはできなくて。もちろん様々な問題があるかと思いますが、そのなかで当然馬場との相性みたいなところはきっとあると思うんです。

 そういう意味ではどの馬がどこの国で走ると結果を出すのか。そういったデータが蓄積されることで見えてくる。国内で言えば東京なのか中山なのかといった部分はデータで見えつつある。そういったところを僕らが下支えすることによって、より勝つ確率の高い馬が挑戦できるという環境は作れるんじゃないかなと。

 だからこそナカヤマフェスタのデータは見てみたいですよね。もちろん日本でもGIを勝っていますが、なぜフランスでも強かったのかという理由が分かれば再現とまではいかずとも似たような馬は見つけることができるかなと思います」

──日本とフランスでは硬水、軟水と「水」の違いもあると言います。

「それもありますよね。ではその水の違いが何に影響しているのかという部分ももっとデータとして蓄積していきたいです。心臓に影響しているのか、体の筋肉の調子に影響しているのか。

 もっと言えば水の影響なのか、それ以外の環境によるものなのか。その特定はかなり難しいと思うのですが、分かることができれば防ぐこともできて、また勝利に近づくと思います」

──逆に言えば日本が合わず海外が合う馬もいる。

「もちろんあると思います。日本では1つ勝つのも厳しいけどイギリスに持っていったら活躍しそうとか。それをデータで示せれば未勝利馬を向こうの人が買ってくれるかもしれない。数字は世界の共通言語なので、データがちゃんと溜まっていればアピールできる。それを血統以外の部分でできればと思っています。日本仕様だと思っていたけど実は海外仕様だったみたいな馬もいると思うので。

 そのためにも僕らがやらないといけないのは海外展開だと思っています。普段から海外でトレーニングしている馬のデータを揃えていかないといけませんし、日本馬が海外に挑戦しているのに僕らが行っていないという状態では意味がないですから」

──そもそもなぜ凱旋門賞を勝つことを目標に掲げているのでしょうか。

「純粋に勝ちたいですよね。その気持ちだけです。この業界の方みなさんおっしゃるじゃないですか。『凱旋門賞を勝ちたい』と。やっぱり僕も日本馬が勝つ瞬間を見たいんです。世界最高の栄誉と言われるところで勝った馬が仮に僕らがサポートできたとしたら、それはもう最高に嬉しいですよ」