12月31日(火)さいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN DECADE「RIZIN49」のバンタム級次期挑戦者決定戦で元谷友貴が秋元強真から判定勝利を収めた。 RIZINバンタム級は朝倉海の王座返上により空位となっていたが、昨年9…

 12月31日(火)さいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN DECADE「RIZIN49」のバンタム級次期挑戦者決定戦で元谷友貴が秋元強真から判定勝利を収めた。

 RIZINバンタム級は朝倉海の王座返上により空位となっていたが、昨年9月に井上直樹VSキム・スーチョルの王座決定戦が組まれ、井上がTKO勝利を収めて王座戴冠。その井上への挑戦権をかけて元谷と秋元が対戦した。

 元谷は2011年7月にDEEPでプロデビューし、翌12年3月にはDEEP最年少記録(当時)となる22歳でDEEPフライ級王座に就いた。2015年大晦日のRIZIN旗揚げ興行にも参戦し、RIZINバンタム級のトップ戦線で活躍を続けている。対する秋元は朝倉兄弟率いるJTT所属の18歳。昨年9月のRIZINデビュー戦では金太郎、11月のRIZIN名古屋大会では鈴木博昭を撃破。プロ7戦7勝、RIZIN3戦目でタイトルに絡むチャンスを掴んだ超新星だ。

 次期挑戦者決定戦であると共に新旧天才対決とも言える一戦は元谷が磐石の強さを見せる試合となった。1R・2Rはテイクダウン&バックコントロール主体の試合運びで秋元を守勢に回らせる。3Rに秋元がヒザ蹴りで攻勢に出たものの、ここも元谷がテイクダウンで主導権を渡さず、それまでと同じくバックを取り続けて判定勝利を収めた。

 試合後「バックを取って足を四の字で組めればキープは出来ると思っていた。1・2Rは自分が取っていて、3Rはあっちが打撃で来ると思っていたけど、自分がやるべきこと、テイクダウンしていいポジションを取って削るという流れが出来た」と振り返った元谷。「バックを取ってチョークを狙うのが一番勝ちにつながるし、相手に攻撃されることがない。自分のMMAにとって一番いいポジション」とリスクを減らして勝ちにつながる戦い方をチョイスしたという。

 その理由は予想以上に秋元の寝技のディフェンス能力が高かったから。秋元自身は「自分に自信はあったけど(実力が)足りなかった。想定よりも組みが強くて、一つ逃げても次を狙ってきて想像よりも上手かった」と悔しさを滲ませてたが、元谷は「足を四の字に組めればバックキープは出来るので、そこから首を狙っていた。ただ秋元選手は首をずらしてきたり、足の解除を狙ってきたり、そこが上手くて極められなかった。バックを逃がすと違う対処になるので、バックキープを続けた」と明かしている。

 元谷は2023年5月に朝倉海にKO負けしたあと、アメリカのATTに移籍。日本とアメリカを行き来しながら練習を続け「移籍当初は練習環境に慣れるのに時間がかかったけど、今は行けば行く程、練習の理解力が上がって新たな発見がある」と話していた。この試合でプロ初黒星を喫した秋元だが、練習をJTTに変えて1年足らず。新たな練習環境で学んだものが試合で出るようになるのはこれからだ。

 3月30日のRIZIN香川大会で悲願のRIZIN王座に挑む元谷。「言ったからにはバンタム級のベルトを獲ることが目標。2025年中には獲る」と初黒星からの巻き返しに燃える秋元。それぞれの立ち位置で2025年のスタートを切る2人だが、RIZINのベルトを巡る戦いの中で新たなストーリーを紡いでいくことになるだろう。

文/中村拓己
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