1月1日、プロレスリング・ノアが2年ぶりとなる元日の日本武道館大会『ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR”2025』を開催。メインイベントの清宮海斗vs OZAWAのGHCヘビー級タイトルマッチは、会場騒然、…

 1月1日、プロレスリング・ノアが2年ぶりとなる元日の日本武道館大会『ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR”2025』を開催。メインイベントの清宮海斗vs OZAWAのGHCヘビー級タイトルマッチは、会場騒然、NOAHの歴史に残るインパクト抜群の幕切れとなった。

 挑戦者のOZAWAはキャリア2年4カ月の28歳。通常なら「若手」にカテゴライズされるが、昨年10月に英国武者修行から帰国後、11.17愛知県体育館大会で清宮海斗を裏切りTEAM2000X入り。その後は会場コメントブースでの発言やSNSを使ってリング外の清宮に関する真偽不明のプライベート暴露を次々と行う挑発行為を続け、12.1新宿FACE大会では試合後の清宮を襲い、強引にペンを握らせてタイトルマッチ調印書にサインさせるという強引すぎる方法でタイトル挑戦権を獲得した。

 とはいえ10月の帰国後すぐに左足骨折を主張して欠場していたため、OZAWAが日本で試合を行うのは1月23日の海外遠征壮行試合以来344日ぶり。言わば、NOAHマットでなんの実績もないレスラーによる前代未聞のタイトル挑戦だ。

 はたしてOZAWAの実力はビッグマウスどおり本物なのか、それとも単なる暴露系トリックスターでしかないのか。観客の中にそんな期待と懐疑心が入り混じる中、ゴングが鳴った。

 序盤、OZAWAは薄笑いを浮かべながらなかなか闘おうとはせず、清宮が前に出るところを何度もすかす。そして焦れた清宮がロープ側に追い詰めて髪の毛をつかむと、「ヘア、ヘア! 反則だぞこいつ!」とレフェリーにアピール。

 のらりくらりと清宮の気勢を削いでいったかと思うと、突如、ロープワークでのリープフロッグから美しいアームドラッグ2連発。さらにフランケンシュタイナーでホイップし、場外へ飛ぶと見せかけて、ブレイクダンスで挑発。怒った清宮がリング内で向かっていくとエルボーで倒してバック宙からの寝そべり挑発。そこからその場跳びムーンサルトを決める。

 このおちょくりと超絶美技がランダムに繰り出されるOZAWA独特のムーブで、館内のムードは徐々にOZAWAワールドに染まっていく。

 いら立つ清宮はコーナーでのドラゴンスクリューから豪快なジャンピングニーでペースを握りかけるが、OZAWAのセコンドのジャック・モリスがエプロンに立ちレフェリーの注意を引き付けると、ヨシタツがOZAWAを場外に逃し、追ってきた清宮にステッキで一撃。

 さらにOZAWAも松葉杖で清宮の背中を滅多打ちにすると、拳王が割って入るが、反則を防いだ拳王にブーイングが飛ぶなど観客はOZAWAを後押し。清宮にとっては、なんとも理不尽なアウェー感の中での闘いを強いられる。

 後半、清宮のセコンド陣オール・レベリオン勢がTEAM2000Xの面々を控室に排除。ようやく1対1の闘いに持ち込んだ清宮は、タイガースープレックス、変形タイガードライバーと畳み掛けていくが、OZAWAがカウント2で返すと大歓声。

 逆にOZAWAがその場跳びシューティングスタープレスから、ドクターボム式サイダーファイヤーパワーボムを決め、必殺のリアルレベル(ワンステップ式フェニックススプラッシュ)にいこうとしたところを清宮がカットすると、清宮がブーイングを浴びてしまう。

 それでも清宮は、延髄へのシャイニングウィザードから、スタンディングシャイニング、コーナーからのブーメランシャイニングへと畳み掛けるがカウント2。そこからトドメのシャイニング・ランサー(変形シャイニングウィザード)にいこうとするが、OZAWAはレフェリーを盾にして防御。

 リングが無法地帯になったところで、OZAWAがローブローにいくが、これを読んでいた清宮が逆にローブロー。観客から当然ブーイングが飛ぶが、清宮は意に介さずシャイニング・ランサーをついに決めるが、レフェリー不在でカウントは入らない。

 するとここでTEAM2000X入りしたWWEの大巨人オモスが花道からのっしのっしと登場。清宮がこれに気を取られた隙に、OZAWAが急所蹴り上げ。そこからOZAWAがハリウッドザコシショウばりの誇張しすぎた武藤LOVEポーズでおちょくってからのシャイニング・ウィザードを決める。ただし、これは放送のゲスト解説の武藤敬司も「見事だったな、今のシャイニング」と思わず口にするほどの一撃だ。

 そしてオモスがレフェリーをリングに戻すと、OZAWAは舌なめずりしてからハイアングルのドロップキック。さらにリストクラッチ式ブルーサンダーで清宮をマットに叩きつけると、コーナー最上段から完璧にリアルレベルを決めて、ついに3カウント!

 キャリアわずか2年4カ月、それまでなんの実績もなかったOZAWAがNOAH最高峰のGHCヘビー級王座を奪取に成功した。

 勝ってベルトを巻いたOZAWAは「ザ・リアル・レベル! 見たか! こんなヤツがトップにいたから今のNOAHの惨状があるんじゃないのか? 清宮海斗、思ったより弱かったな~。ザコは帰れ!」と、マットに大の字になった清宮を場外に蹴り落とす。

 さらに返す刀で「そういえばさっき、試合中に俺につっかかってきた出しゃばりな奴がいたな、おい!次は拳王と遊んでやる」と次なる標的に拳王を指名。そして「俺がチャンピオンになったから、ひとつ今後のNOAHの未来について目標を立てようと思う」と切り出すと、「ぼくのぉ、NOAHの未来はぁ、お客様に夢と勇気を与えることでぇぇぇぇす!」と、最後の最後まで清宮をからかったあと、「ザ・リアル・レベル!」とひと言で締めた。

 これまで体を張ってNOAHを支えてきた清宮にブーイングが飛び、傍若無人な振る舞いのOZAWAに大コールが送られた異常事態。しかしOZAWAの圧倒的な存在感と試合内容で観客に“本物”だと認めさせての戴冠は、言わば真の革命であり、NOAHにこれまでいなかったダークヒーロー誕生を感じさせるものだった。

 そういった意味で、清宮vs OZAWAは歴史的な一戦だったと言えるだろう。2025年のNOAHマットは、OZAWAを中心に回っていく!

文/堀江ガンツ