9月16日のヤクルト戦のピッチングに大きな手応えを感じたという(C)産経新聞社 移籍2年目を終えた阪神・大竹耕太郎は、どんなシーズンを過ごしたのか。全3回に分けてインタビューの模様をお伝えしていく。 第1回は昨季の振り返りについて。1年目と…

9月16日のヤクルト戦のピッチングに大きな手応えを感じたという(C)産経新聞社

 移籍2年目を終えた阪神・大竹耕太郎は、どんなシーズンを過ごしたのか。全3回に分けてインタビューの模様をお伝えしていく。

 第1回は昨季の振り返りについて。1年目との違い、目標としていた規定投球回到達、自身の「ベストピッチ」を中心に語ってもらった。

【関連記事】【阪神】若き主砲、佐藤輝明 メジャー移籍希望初表明も 求められる「指標」「改善ポイント」とは


 インタビューは契約更改の翌日(12月18日)に行った。

「契約更改が終わらないと1年終わった気持ちがしないですね。ちょっと長かったです、2024年は」

 移籍1年目は現役ドラフトでの入団に始まり、先発ローテの一員として12勝をマーク。チームの38年ぶり日本一に貢献した。よく「大きなインパクトを残した翌年が大事」と言われる中、2024年の大竹は年始に左肩ガングリオン(良性のしこり)の除去術を行った影響で、スロースタートを余儀なくされた。投球練習の開始は春季キャンプ終盤までズレ込んだ。

「焦りは正直ありましたけど、監督やコーチが『ゆっくりでいいよ』って感じで焦らせないでくれて。それが良かったですね。多分自分1人の判断だったらもっと焦って投げ始めて、開幕から投げられてなかったかもしれないので」

 オープン戦では状態を上げることに注力し、シーズン開幕後も数試合はその延長線上で投げていたという。

「去年(2023年)はキャンプに全力で入って、開幕に100%の状態に持っていくみたいな感覚がありました。それで夏場にバテてしまった。今年(24年)は完璧に仕上がってない状態でシーズンに入る形になったんですけれども、結果的にバテるのが遅かったというか、夏場も状態があまり落ちなかった。そういう意味では、投げることに関してはちょっとゆっくりやるのもいいのかなと感じましたね」

 残った数字として、前年(21試合)を上回る24試合に登板。イニング数も144回2/3と、自身初の規定投球回到達を果たした。

「とにかく今年に関しては『規定投球回を投げる』ことを目標としてたんですよね。天候以外で(登板機会を)飛ばされたことがなかったですし、シーズン中盤以降はちょっとずつイニングも伸ばせるようになってきて。5回、6回で代わってよかったなって感じにはなりたくないですよね。来年(2025年)に関しては、最初から完投するつもりで。基準値を上げていきたいです」


 大竹が挙げる2024年のベストピッチは、9月16日のヤクルト戦(甲子園)。この日は6回無失点の内容で、節目のシーズン10勝目を記録した。

「この試合はゲームをまとめるというか、プランニングをしっかり立てて臨めたのが良かったです。勝負するところはしっかりするし、しないところは割り切ってしない。その勝負勘も良かったですし、勝負どころでのボールも良かったので」

 なかでも5回、2死一、二塁でホセ・オスナから奪った空振り三振が良かったという。抑えた時に大きく吠えた姿も印象に残る。

「2アウトから四球を2個出して、オスナに打席が回りました。そこで三振を取ってピンチを脱出したんですよね。試合全体の数字を見ると、与四球が5個もある。『なんか良くなかったのかな?』って思われるかもですけど、想定内の四球も結構あって。この日はそういうピッチングでした。“本当は出したくないのに出している四球”は僕も嫌なんですけどね。奪三振が7個取れたのも良かったですね」


 来たる2025年シーズンについて、大竹はどう考えているのか。

「まずチームのことから言うと、監督が変わるので(※藤川球児新監督が就任)、試合の運び方とかでいろいろ変わるとは思います。(24年は)やっぱり2位で終わって、あとちょっとのところで勝ち切れなかったのがある。優勝した時の光景や喜びはみんなまだ忘れていないと思いますし、そのイメージを膨らませて、突き進んでいくだけかなと思います。もうシンプルに、優勝したいというか、それだけなので」

 個人としては?

「大事なのは自分の与えられる役割、期待される活躍をしていくこと。ただ、去年(23年)にしても今年(24年)にしても先発陣の中で去年は村上(頌樹)、今年は才木(浩人)がいて。2年とも2番目、3番目ぐらいの感じがめちゃくちゃ悔しい。『来年は自分が(1番に)』って気持ちはあります」

 引き続きローテの一角を担いつつ、先発陣でトップの成績を出す。そして2年ぶりのリーグ優勝と日本一に貢献する。移籍3年目、タテジマのユニフォームが板についてきた背番号「49」の活躍が楽しみだ。

[取材・構成:尾張はじめ]

【関連記事】米球界で図抜けた奪三振力を誇った右腕デュプランティアは何者か おぼろげに見えてきた藤川阪神の“助っ人構想”

【関連記事】「難しい選手になりつつある」甲斐移籍に伴う巨人の人的補償、プロテクトリスト28人を球界OBが徹底予想 「55番」が外れる可能性も?

【関連記事】「どの球種、速さでも同じスイングができる」 近藤健介が語る大谷翔平の"凄み" 打撃技術のたくみさを解説