ラグビーの日本代表候補が集まるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の通算第5回目となるキャンプが9月15日からの2日間、都内であり、今季トヨタ自動車で新人ながら主将を務める姫野和樹が参加した。「頑張ってこい」 帝京大を卒業した…

 ラグビーの日本代表候補が集まるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の通算第5回目となるキャンプが9月15日からの2日間、都内であり、今季トヨタ自動車で新人ながら主将を務める姫野和樹が参加した。

「頑張ってこい」

 帝京大を卒業したての自分をリーダーに選んだジェイク・ホワイト新監督からはこう簡潔に告げられたという姫野は、187センチ、108キロの23歳。学生時代は度重なる故障に泣かされながら、最終学年時は不動の先発LOとして突進役を全うした。トヨタ自動車入り後は本職のFW第3列の一角、ブラインドサイドFLに入り、持ち味を発揮している。

 NDSへはLOとして呼ばれた。空中戦などや味方へのサポートなどで汗をかく働き場だ。世界クラスのLOとしては決して大柄ではない姫野だが、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチからは「現状、走れるLOはあまりいない。ただ、姫野はそうなれる選手だ。FLのように、変わらず運動量を発揮して欲しい」とリクエストを出されたという。

 帝京大でLOを務めていたのは「LOをやることで足りないものに気付け」という岩出雅之監督の考えのもと。おかげで本来の持ち味である突破力に加え、心身の頑健さを得た。もっともトヨタ自動車入り後はサイズなどを鑑みてか、FW第3列での代表入りを目指していた。

 もっともいまは、与えられつつある働き場も前向きに捉えている。

「LOもFLもできるのは自分の強みでもある。代表で結果を残したい気持ちもありますが、まずはラグビーへの思いを(従来と)変えずにやっていきたいです」
 
 ワールドカップ日本大会を2年後に控える日本代表は、今年6月、欧州6強の一角も主戦級を欠いたアイルランド代表に2連敗を喫するなど苦戦した。

 連携を図るスーパーラグビーのサンウルブズでは後半の失点がややかさむなど、2015年のワールドカップイングランド大会時に強みとされていた筋持久力(フィットネス)が目減りしたという指摘が強まっている。当時は選手側も「疲れている時にどれだけ声を掛け合って集中できるかが大事。フィットネスは問題ない」と口を揃えていたが、新たな方針が示されたようだ。11月にはオーストラリア代表、フランス代表などとの対戦が控えるなか、イングランド大会時に主将だったリーチ マイケルが言う。

「間違いなく、フィットネスは上げないといけない」

 今度のNDSでは現状認識のためのフィットネステストを実施。姫野はPR、LO組で上位に入るも「まだまだ」とし、これから組まれる日本最高峰トップリーグの試合で日本代表入りをアピールするという。

「トップリーグは大学より倍以上の身体の疲労を感じます。相手がタフなうえに、負けてはいけないプレッシャーのもとでやるので。でも、やっていて楽しい。主将の立場で成長も感じられている」

 姫野を擁するトヨタ自動車は、今季のトップリーグで目下3勝1敗。9月23日には埼玉・熊谷陸上競技場で一昨季王者のパナソニックとぶつかる。(文:向 風見也)