宇都宮ブレックスのギャビン・エドワーズがケガから復帰を果たした。「久々の試合だったので、不安もあったし、楽しみでもあった」。…

 宇都宮ブレックスのギャビン・エドワーズがケガから復帰を果たした。「久々の試合だったので、不安もあったし、楽しみでもあった」。2カ月ぶりのリスタートだったが、自然体を心がけてコートに戻ってきた。

 エドワーズは12月28日に行われた「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B1リーグ」第15節の広島ドラゴンフライズ戦Game1に出場。10月27日の第5節ファイティングイーグルス名古屋戦で負傷して以来のコートに立った。

 シーズン序盤に右ひざ内側側副じん帯損傷で戦線離脱。試合から2カ月遠ざかり、「ケガをしてチームに迷惑がかかるし、自分がチームの力になれずに申し訳なさがあった。早くコートに戻りたいという意識があった」ともどかしい日々を過ごしていた。

 チームはその間に12勝3敗で東地区の首位に浮上。36歳のベテランは、「チームを外から見ていると、コートの中で自分が実際にプレーしている感覚とは見え方が違うので、自分だったらどう貢献できるかなとか、こんなプレーができるなとかを考えながら見ていた」と意欲を募らせていた。

 それでも、復帰戦は力みすぎず、自然体が大事。千葉ジェッツなどの国内外クラブや日本代表としても築いてきた長いキャリアの中で裏打ちされたエドワーズの心得だ。

「選手としてたくさん経験を積んできたので、こういった試合であまり気負いすぎるのはよくないとわかっていた。チームにエナジーを与えるようないいパフォーマンスをしたいと思っていたけど、普段のいつも通りの1試合という意識で入れるように心がけていた」

 広島戦はベンチスタートで第1クォーター残り4分2秒に途中出場。コートに帰ってきた33番には敵地でも多く集まった宇都宮ファンから歓声が上がった。出場直後にはアイザック・フォトゥにアシストし、ジャンプショットで復帰後初得点も記録。第2クォーターの終了間際には勝ち越しの3ポイントを冷静に沈め、直後に相手のラストショットをブロックして2点リードでの折り返しに導いた。最大15点あったリードを一時2点差まで縮められた第4クォーターでは3ポイント2本を含むチーム最多9得点で勝利を手繰り寄せる原動力となった。

 試合時間残り1分を切ったところで仕事を終えて、チームメートがうれしそうに待つベンチに戻って歓迎を受けた。得点を決めた際も盛り上がっていたチームメートを見て、エドワーズは、「バスケットボール選手としては矛盾するかもしれないけど、自分はあんまり注目されるのが好きなタイプではなくて内向的なところがある。だから、みんながすごく喜んでくれたのはうれしかったけど、(チームメートに対して)『わかった、わかった』って感じだったので、普通にしてほしいなとは思っていた」と照れ笑いを浮かべ、「でも、みんなが喜んでくれたはすごくうれしかったし、自分もすごく楽しかった」と久々に試合で仲間と喜び合った瞬間を噛み締めた。

 エドワーズは復帰戦で約18分間プレーして17得点、4リバウンド、2アシスト、1ブロックを記録し、94-79の勝利に貢献した。ケビン・ブラスウェルヘッドコーチは、「どんな選手でも2カ月も試合から離れたら復帰初戦は難しいものだが、今日のようなパフォーマンスをしてくれるとコーチとしてもありがたいし、今後も自信を持って彼をコートに送り出せる。チームの助けになったし、今後のプラスになると思う」と戦線復帰を喜びつつ、「ただ、シュートのリズムやディフェンスのタイミングはまだ完全に100パーセントじゃないところはある」と指摘した。

 エドワーズ本人も、「シュートが入ったのは良かったけど、ディフェンスではまだタイミングが遅れてしまったところがあって、自分がバスケを始めた頃のような感覚だった」と自身のパフォーマンスを振り返り、「ディフェンス面のタイミングはやり続けることで戻ってくると思うので、もっと良くしていきたい」と向上を誓う。今のコンディションは「悪くないけど、まだ完璧でもない」という状態で、完全復活のために必要なのは「試合をプレーしていくことで取り戻していかないといけない部分」。あとはコート上で感覚を研ぎ澄ましていく。

 復帰戦で白星リスタートを飾ったエドワーズは、「チームに合わせてもらうより、自分がチームに合わせて、チームが必要とするところにうまくフィットしていきたいと思っている。プレータイムが長くなっても短くても、チームの勝利のために自分ができることをなんでもやっていくだけ」と変わらぬ姿勢で取り組んでいく。

 2カ月ぶりの復帰戦でも活躍が光ったエドワーズ。大きな注目を浴びたくないと本人は謙虚に言うが、コートで放つ存在感がそうはさせないはずだ。

取材・文=湊昂大