福岡ソフトバンクホークスジュニアの左腕・竹島湧大が明かす“振り子投法”誕生秘話 兄と共に磨き上げた“変則投球フォーム”で、逸材小学生が集う大会で存在感を示している。「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2024~第20回…
福岡ソフトバンクホークスジュニアの左腕・竹島湧大が明かす“振り子投法”誕生秘話
兄と共に磨き上げた“変則投球フォーム”で、逸材小学生が集う大会で存在感を示している。「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2024~第20回記念大会~」は28日、ワイルドカード進出決定戦と準決勝の3試合が行われ、福岡ソフトバンクホークスジュニアは2015年以来の決勝進出を決めた。同ジュニアの竹島湧大(ゆうと)選手(6年=立岩クラブ)は、身長こそチームで最も低い148センチの左腕投手だが、前日の大会2日目の大事な試合で先発を任され、独特な二段モーションで相手打者を翻弄し、チームの快進撃に貢献している。
「竹島くんに関しては当初、中継ぎで行こうと思っていたのですが、最近の練習試合で調子が良く、自分で先発を勝ち取りました」と、帆足和幸監督はそう竹島くんを称える。
12月27日に神宮球場で行われた東京ヤクルトスワローズジュニア戦。優勝候補同士の大一番だったが、竹島くんは2回まで、落ち着いたマウンドさばきで1安打2奪三振無失点に抑えた。ノーワインドアップからゆっくり上げた右足を、いったん背中の方へ振り、さらに前へ振ってから投球するユニークなフォーム。振り子のような足の動きに惑わされるのか、相手打線はなかなかタイミングをつかめない。
ただ、3-0とリードして迎えた3回、簡単に2死を取った後に左翼ポール際へソロアーチを浴びた。ソフトバンクジュニア側がリクエストしたほど微妙な飛球だったが、リプレー検証の結果は判定通り。その後、満塁となってマウンドを降りたが、「試合の流れを作ってくれました。低めに集めて、いつも通りの投球をしてくれた」と帆足監督の評価は高い。試合はタイブレークの延長7回にもつれ込んだ末に、6-3で競り勝った。
「やれることはやったと兄に伝えたいと思います」
竹島くんの“振り子投法”は、今年の7月頃に“リリース”された。「僕は体が小さいので、勢いをつけて投げようとしてやったら、思ったよりもよかった。実は、高3の兄(昊大=ひろと=さん)が考えてくれました」と明かす。
MAXは106キロで、結果的に「球速は変わらなかった」そうだが、相手打者がタイミングを合わせづらくなったせいか、「以前より抑えられるようになりました」と手応えを感じている。フォーム改造の効果は、想定していたのとは違うところに現れたわけだ。この日の自己採点は「80点」。大役を果たした竹島くんは「兄には『途中で代わったけれど、やれることはやった』と伝えたいと思います」と胸をなでおろした。
成長のペースは十人十色で、中学や高校で別人のように身長が伸びる子もいる。いずれにせよ、課題克服のために頭を絞り、周囲の協力も得ながら工夫を重ねた経験は、竹島くんの今後の人生でも役に立つはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)