先発転向のモイネロは防御率のタイトル、14勝の有原は最多勝 ソフトバンクは2024年シーズンで、2位・日本ハムに13.5ゲーム差をつけて4年ぶり20度目のリーグ優勝を果たした。その原動力にあげられるのが先発陣の奮闘だ。 先発に転向したリバン…

先発転向のモイネロは防御率のタイトル、14勝の有原は最多勝

 ソフトバンクは2024年シーズンで、2位・日本ハムに13.5ゲーム差をつけて4年ぶり20度目のリーグ優勝を果たした。その原動力にあげられるのが先発陣の奮闘だ。

 先発に転向したリバン・モイネロ投手は大車輪の活躍。6月は3勝0敗、防御率0.67で「大樹生命月間MVP賞」に輝く。8月13日の西武戦で2安打1失点で来日初の完投勝利を挙げるなど、8月度も同賞を受賞。25登板で11勝5敗、防御率1.88で最優秀防御率のタイトルを獲得し、三井ゴールデン・グラブ賞も初受賞した。

 開幕投手を務めた有原航平投手も充実したシーズンを送った。開幕投手を務めた3月29日のオリックス戦では、7回途中1失点で白星発進。夏場以降も調子を落とすことなく、先発の柱として優勝に貢献した。14勝7敗、防御率2.36で日本ハム・伊藤大海投手とともに最多勝のタイトルを獲得した。

 1年目の昨季はリリーフで46試合に登板した大津亮介投手は、先発転向。4月は3勝0敗、防御率0.90と躍動した。夏場以降は勝ち星に恵まれなかったが、シーズン最終登板となった10月4日のロッテ戦では6回1安打無失点の快投で約3か月ぶりの白星。19登板で7勝7敗、防御率2.87をマークした。

 来日6年目のカーター・スチュワート・ジュニア投手は規定投球回に届かなかったが、20登板で9勝4敗、防御率1.95。キャリアハイの成績を残した。制球力の目安となるK/BBは2023年の1.60から2.06とし、ストライクゾーンで勝負する投球をしていたことがうかがえる。

 大関友久投手も自己最多の8勝(4敗)を挙げた。背番号を42から、歴代左腕エースがつけた「47」に変えた5年目の今季は6月下旬までに無傷の5連勝を記録するなど、20試合に先発して役割を果たした。

オスナ離脱で守護神へ…松本が14セーブ23ホールド、現ドラ移籍の左腕が躍動

 抑えを務めていたロベルト・オスナ投手が怪我で途中離脱。穴を埋めたのは10年目28歳の松本裕樹投手だった。セットアッパーとして4月は11登板で10ホールド、防御率0.82。6月4日の中日戦では9回のマウンドに上がり、初セーブを記録した。以降はクローザーとして登板。終盤に右肩痛で離脱したが50登板で2勝2敗14セーブ23ホールドをマークした。

 藤井皓哉投手は9月に腰痛のため登録抹消され、そのままシーズンを終えたが、40試登板で2勝1敗1セーブ19ホールド、防御率1.80をマークした。ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手は48登板で3勝3敗3セーブ21ホールド、防御率2.25をマーク。48回で72奪三振で、奪三振率は驚異の13.50だった。

 現役ドラフトで日本ハムから加入した長谷川威展投手も躍動。32登板で4勝0敗、6ホールド、防御率2.49をマークした。開幕から登板10試合連続無失点を記録するなど、リリーバーとしてのポジションを確固たるものにした。

 杉山一樹投手は自己最多の50試合に登板し、4勝0敗、防御率1.61。キャリアハイの成績を残した。昨季までは制球に苦しむ場面も見られたが、今季は進化を遂げた。尾形崇斗投手は12登板で2勝0敗、防御率2.31。日本シリーズでも4試合に登板した。津森宥紀投手は48登板で5勝2敗17ホールド、防御率2.13をマーした。

 投手陣の精神的支柱だった和田毅投手が、今季限りで現役引退した。ラストシーズンは8登板(5先発)で2勝2敗3ホールド、防御率3.76。22年間の現役生活に幕を閉じた。12年目の東浜巨投手は11登板で3勝2敗、防御率3.38。今季NPB通算500試合登板を果たした又吉克樹投手は40登板も防御率3.54だった。和田が引退したことで、1990年生まれの両投手は来季、投手最年長になる。好結果で投手陣を引っ張る姿に期待したい。(「パ・リーグ インサイト」谷島弘紀)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)