今やBMXライダーたちにとっては馴染みのあるストリートアパレルブランド「430(フォーサーティー)」だが、1996年に元々5名のプロBMXライダーによって発足し、その一人である上原洋が中心となって始まったブランド。彼らがBMXやそれにまつわ…

今やBMXライダーたちにとっては馴染みのあるストリートアパレルブランド「430(フォーサーティー)」だが、1996年に元々5名のプロBMXライダーによって発足し、その一人である上原洋が中心となって始まったブランド。彼らがBMXやそれにまつわる旅などを通じて経験したことをアパレルに落とし込み、機能性の良い素材やその時のテーマに沿ったグラフィックを周りのアーティストと作りあげており、BMXライダーはもちろんのことストリートカルチャーに生きる多くの人に愛されているストリートアパレルブランドだ。

その430の拠点として原宿はキャットストリートに店舗を構えるのが「DECADE TOKYO」。そして今回その「DECADE TOKYO」が15年の歴史を築いた旧店舗から新店舗へ移転。同じキャットストリートエリア内ではあるが新天地でスタートを切るこのタイミングで、創立メンバーである上原洋氏にインタビュー。430を始めたきっかけからブランドの特徴、そして今後430が目指していることや新たな取り組みなど、今の思いをざっくばらんに語っていただいた。

上原洋 (以下: U)

BMXをバックボーンに持つストリートアパレルブランド“430(フォーサーティー)”とは


DECADE TOKYO 新店舗の様子

この度は新店舗への移転おめでとうございます。改めて430とはどのようなブランドがお聞かせいただけますか?

U:ありがとうございます。430は元々5名のプロBMXライダーによって1996年に発足し、その一人である、僕、上原洋が中心となって始まったBMXをバックボーンに持つストリートアパレルブランドです。BMXを通して得た経験や人との繋がりをアパレルに落とし込んで機能性の良い素材やその時のテーマに沿ったグラフィックを周りのアーティストと一緒に作っています。

ちなみに今までのブランドの活動としては、1996年に手刷りで作ったTシャツが始まりで、2001年に本格的にアパレル製作を開始して、そこから毎年、年3回の展示会を行い、今に至っています。展示会以外でもスポットアイテムでVANSとプロモデルを開発したり、ディズニーやNew Eraなど様々なブランドともコラボレーションをしています。


DECADE TOKYO 新店舗の様子

このブランドを立ち上げたきっかけはどんなことでしたか?

U:立ち上げたきっかけは本当にかなり昔に遡ります。1996年ぐらいなんですけど、元々ずっと僕は洋服屋で働いていました。当時から今で言うサーフブランドやスケートボードブランドのアパレルっていうのはあったんですけど、僕が生業にしているBMXをバックボーンに持ったようなアパレルブランドはありませんでした。もちろん周りもBMXライダーでブランドをやってる人がいなかったかのでやりたいなと思ったのがきっかけです。

このブランドとして大事にしている理念や考え方はございますか?

U:大事にしている理念としては「EVERYTHING IS THE FUEL TO OUR ENERGY (周りのもの、事、全てが僕らの原動力)」というの掲げていて、僕らは皆から力をもらっているので僕らも皆に元気やパワーを与えられるブランドになっていけたら良いなと思っています。

430のアパレルの特徴は何でしょうか?

U:やっぱりBMXという自転車をやっていく上で求めてきた実用性や機能性のある素材を用いていて、とにかく自分たちが活動している中で感じてきた「こうだったら良いな」という、ちょっとだけ痒いところに手が届くのようなアパレルで、かつ見た目はシンプルでもストレッチが活きるような動きやすいデザインを意識しています。


DECADE TOKYO 新店舗の様子

色々な有名ブランドとのタイアップもされているとのことですが、どんなコンセプトを元に行っていますか?

U:相手先のブランドさんも僕たちにBMXだったり、そういうストリート的な要素をやっぱり期待してコラボレーションしてくるので、そこは綿密な打ち合わせを重ねる中でお互いの良さが生きるようなコラボレーションていうのを常に考えています。

また僕が担当するときは特に、他のコラボレーションにはないような新しい形の色使いや生地感だったり、やっぱり「これ430がやったんだ」ってすぐ分かるようなBMXっぽい匂いがモデルなどでコラボするようには心がけています。

以前VANSとコラボレーションした時は、ちょうどそのけん玉ブームが来た時だったので、けん玉を一緒にセットで販売したりと430とでしかできないようなコンセプトでコラボレーションで今後も行なっていきたいと思っています。

430のアパレルとしてシグネチャーアイテムやおすすめのものがあれば教えてください。

U:ジャケットやパンツだったりは、形からこだわって作っているのでシグネチャーアイテムと言えると思います。特にパンツは裾を踏まないようなデザインで作っていたりとか、足が上がりやすくカッティングしています。ジャケットも高機能素材を使っていて冬用は暖かく、夏用は通気性を重視して蒸れないようにしたりしています。どのアイテムも1つ1つにこだわった機能素材を使ったりしているので、そういうところも注目してもらえたらなと思っています。

ブランドとしてアパレル以外に力を入れて取り組んでいることはありますか?

U:430のその他の活動としては、G-SHOCKとイベントを一緒にオーガナイズしたり、各地で行われているBMXイベントにプロライダーとして出演、ストリートスポーツ全般のイベント運営なんかも行っています。

DECADE TOKYO店舗移転にあたって新天地へ


15年ほど拠点を構えていた旧店舗から、今回の新店舗へ移転した理由は何でしょうか?

U:「DECADE TOKYO」は、430が約15年前に原宿キャットストリートでオープンさせたヘッドショップですが、建物の老朽化が理由で今回移転することになりました。

ただ旧店舗をオープンする前も、その10年前に僕が上京してきて初めて働いた場所がここキャットストリートだったので、このエリアに特に強い思い入れがあり、移転先に関してもこのエリア内でオープンすることを決めました。新店舗ではBMXだけでなく様々なストリート文化の交わる場所として担って行けたら良いなと思っています。なので横には「HITCH HIKER」という名前のギャラリーも併設しています。


DECADE TOKYO 新店舗の様子

長年ストリートシーンを作り上げてきた親しみ深い旧店舗から新天地へ移る上でどんな思いがありますか?

U:長渕剛さんの乾杯という歌の中にも『大きな喜びと少しの寂しさを』という歌詞があるのですがまさにそういう心境です。新天地へ移るワクワクと長年お世話になった場所を離れる寂しさと混じり合った気持ちです。

ただ先日新店舗のレセプションパーティーをさせてもらった時にも、多くの方が立ち寄ってくれたので、お客さんにとっても分かりやすい場所になりましたし、旧店舗よりも洋服屋っぽくなったのでネクストステップという意味でも次に繋げるための新しい一歩になったのかなと思います。


15年ほど拠点を構えていた DECADE TOKYOの旧店舗

また同時にこういう風にBMXをバックボーンに持っているブランドで、ここまでの世界観を出せているブランドは世界的に見てもまだ無いと思っています。だからこそ常にこの業界を背負って、 新しいことをどんどんやっているつもりなんですけど、でもそれが皆に伝わっているかって言ったらまだまだそうではないです。

でも今回こういうキャットストリートで人目がつきやすい場所にポンって店舗を出せたことは大きいので、今後ももっといろんな方に発見してもらったり、気づいてもらえるような活動をしていきたいと思っています。

改めて新店舗の特徴についても聞かせてください。

U:旧店舗と大きく違うのは、入口を入ると2つの部屋に分かれていて、 1つは「HITCH HIKER」というギャラリーで、もう1つが「DECADE TOKYO」としてお店になっていることですね。

「HITCH HIKER」というギャラリーはどのような場所でしょうか?


DECADE TOKYO 新店舗の横にあるギャラリー「HITCH HIKER」

U:原宿って週末はもちろんのこと平日もたくさんの人が訪れる場所になっている中で、若いアーティストも多くいるんです。そういう子たちがリーズナブルな値段で使えるギャラリーになったらいいなと思っています。

それは絵を置くことだけじゃなくて、洋服のポップアップやってくれてもいいと思いますし、僕も元々小さな展示会をこの原宿で先輩にやらせてもらったことから、この場所に根付いたところもあるので、当時の僕のようにみんながこの場所を使ってくれたら嬉しいです。

430が目指す今後のストリートシーンとブランドとしてやりたいこと


DECADE TOKYO 新店舗の横にあるギャラリー「HITCH HIKER」

今後このブランドを通して成し遂げたいことはございますか?

U:この質問は他のメディアを含め、いろんなところで聞かれたりするんですけど、 正直常に今やりたいことをやれていると思います。多分多くの人が、今後原宿とかキャットストリートでブランド持ったり店をやりたいとか思っている中で、ありがたいことに僕たちはそれができちゃってるので、今は430とかこの活動が自体がやりたくてやってるという感じですね。

ストリートカルチャーに対して還元していきたいことや、このシーンにおいてどんな存在になっていきたいかなど想いがございましたらお聞かせください。

U:自分たちがストリートカルチャーの中にある垣根を取りたいというような気持ちはそこまではないです。BMXというバックボーンを持つブランドとしてプライドもあるので。

ただもちろん多くの人が着てくれるアパレルブランドになってくれたら嬉しいですし、やっぱりその気持ちでずっと続けてたら、ダブルダッチやスケートボート、フリースタイルフットボールだったりと若い子が多くいるBMX以外のカルチャーにいる人たちも、すごい応援してくれて気に入って着てくれたりしてるのでありがたいなと感じています。

でもこの430を通して世界中を色々旅することができているので、これからももっともっと行ったことのないたくさんの国に行ってたくさんの人と出会いたいですね。

それにこのお店がたくさんの人が来る場所になれば、もっと新しいことがまた生まれていくんじゃないかなと思いますし、そういう流れの中で自分がやりたい新しいことなんかも見つけられるんじゃないかなと思ってているので、そういう意味では自分はいつもなんか新しいことをやっている流れの中にいる気がしますし、これからもそうなんだろうなと思います。

上原洋プロフィール


元プロBMXライダー。現在はアパレルを中心に、BMX、関連商品を販売する430 co.,Ltd の代表。2021年の東京オリンピック組織委員会でBMXの技術マネージャーを担当。UCI BMX FREESTYLE 国際大会審査員も務める。2010年に原宿キャットストリートに430のヘッドショップであるDECADE TOKYOをオープンさせ、2024年に同じキャットストリートにDECADE TOKYOがリニューアルオープンさせた。

The post 「430を通じて世界中を旅してきた。これからも430と共に新しい世界を見たい。」ストリートアパレルブランド “430(フォーサーティー)”創立メンバー上原洋の今の思い。 first appeared on FINEPLAY.