第41回ホープフルステークス(28日/GI、中山2000m)には、クロワデュノール、マジックサンズ、マスカレードボールの2戦2勝馬に加え、キタサンブラック産駒のピコチャンブラックやヤマニンブークリエなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ピコチャンブラック」を取り上げる。
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■ピコチャンブラック
【中間調整】父はキタサンブラック。伯父にフサイチコンコルド(日本ダービー勝ち)やアンライバルド(皐月賞勝ち)がいる名門牝系バレークイーン一族の出身だ。直前の稽古で圧巻の動きを示したことから単勝オッズ1.7倍という支持を受けた7月20日の福島新馬戦では、スピードの違いで逃げ切り、期待以上とも言える7馬身差の圧勝を収めた。続くアイビーSも1番人気に推されたが、ここでは今後のことを考え陣営は控える競馬を選択。逃げ馬の後ろで我慢する形に最初は戸惑ったようだが、道中からはしっかり折り合い直線では逃げ馬をきっちり交わした。最後はインを強襲したマスカレードボールに脚元をすくわれての2着に終わったが、収穫の大きな一戦だったと言っていい。
血統背景からの期待、スケール感たっぷりだった初戦の勝ちっぷりから年末の目標は当初からホープフルS。予定通り前走後は短期放牧でリフレッシュされ、11月28日に美浦へ戻り調整が再開されている。12月1日に坂路14-14を出したのが初時計。5日にはウッドでさっそく3頭併せで追走併入と、緩んだ雰囲気は感じられない。18日の1週前追いには今回初コンビを組む川田騎手が駆け付け騎乗。ウッド5F65秒0を馬なりでマークし、これは自己ベスト更新の数字。年長の2勝クラス、3勝クラスの間に割って入り1頭に先着、1頭と併入という上々の内容だった。
【最終追い切り】負荷は1週前の時点でしっかり掛かっており、レース当週は終いだけ重点の内容。抜群の折り合いから脚をしっかり溜めた状態で直線に向かうと、機敏に手前を替え、全身を大きく使ったフォームから伸びた。ラストの数字は1F11秒2(馬なり)と秀逸だが、動きにそこまでの鋭さがなかったあたり、逆に走りがいかに雄大だったとかいうことの証明だろう。
【見解】常に稽古で動くタイプの馬だが、この中間はさらにレベルアップ。短期放牧でのリフレッシュで心身ともに数段階逞しくなってきた感がある。1週前はやや若さを覗かせ川田騎手も少し操縦に苦労したようだが、同騎手の進言に沿って馬具を替え臨んだ最終追いでは絶品の折り合いぶりを披露し、ラストの伸びも豪快。これなら本番でもフルに能力を発揮できるのでは。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。