NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第2節(リーグ戦) カンファレンスB2024年12月28日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)埼玉パナソニッ…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第2節(リーグ戦) カンファレンスB
2024年12月28日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)


廣瀬雄也選手。日本人のセンターとして埼玉パナソニックワイルドナイツのデアレンデ選手・ライリー選手に挑む

かつて、松井秀喜は語った。「悔しさは、それに耐えられる人間にしか与えられない」と。

昨季、第10節の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)戦。アーリーエントリーでクボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団した廣瀬雄也は、ここで初めてリザーブとしてメンバーに名を連ねた。試合は、最大18点のビハインドをはね返してS東京ベイが劇的な逆転勝ち。だが、チームが勝利を収めたにもかかわらず、試合後の廣瀬の表情は凍てついていた。

「僕はまだあのような場面で起用してもらえるプレーヤーではなかったんです。ここ数年間で、一番悔しい出来事でした」

その日、廣瀬には最後まで出番が訪れることはなかった。大量リードを奪われた危機的状況の中で起用されなかった無力感。そして、「この場面に俺が出ていって流れを変えられるのか……」と不安を抱いてしまった自分自身の不甲斐なさ。打ちひしがれた廣瀬は、選手バスには搭乗せず、一人で会場をあとにしたという。

リベンジへの道が始まった。世界最高峰レベルの選手たちが集うリーグワン。試合におけるプレッシャーは大学時代の比ではない。自身に課したテーマには「そうしたプレッシャーの中で、本来の自分が持っているスキルをしっかりと発揮する」こと。その取り組みは次第に形となっていき、11月に行われたニューサウスウェールズ・ワラターズとのプレシーズンマッチでは確かな手ごたえが感じられた。横浜E戦後に大きく肩を落とした廣瀬の姿は、そこにはなかった。

迎えた今季開幕戦。廣瀬はセンターの先発で12番を背負い、ピッチに立った。屈辱から立ち上がり、もがきながら突き進んで勝ち取ったポジションである。

「こうして評価してもらえたのは、とてもうれしいです。まだまだ課題がありますが、開幕戦では自分のルーティンを崩さずに闘うことができ、次につながる自信を得ることもできました」

その「次」の試合となるのが、今節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦。廣瀬はここでも12番を背負って敵地・熊谷に乗り込む。

「相手のセンターにはダミアン・デアレンデやディラン・ライリーがいます。センターは日本人選手が少ないポジションで、(日本人のセンターとして)世界最高峰の選手たちを相手にすることになります。でも、日本人だから負けて当たり前とは思いません。試合がとても楽しみです」

悔しさは、それに耐えられる人間にしか与えられない。癒えぬ渇望感を胸に、廣瀬はまだ見ぬ頂を目指す。

(藤本かずまさ)