【順位は考えず今だけに集中】 16歳の島田麻央(木下グループ)は今季、ジュニアGPシリーズ2戦目のポーランド大会で自己最高得点の224.68点を出した。これは、シニアも含めて女子のシーズンスコアランキング2位の得点だ。 その後、全日本ジュニ…
【順位は考えず今だけに集中】
16歳の島田麻央(木下グループ)は今季、ジュニアGPシリーズ2戦目のポーランド大会で自己最高得点の224.68点を出した。これは、シニアも含めて女子のシーズンスコアランキング2位の得点だ。
その後、全日本ジュニア選手権とジュニアGPファイナルはともに優勝したものの、フリーでミスが重なってそれぞれ201.32点、199.46点と得点を伸ばしきれずにいた。
そして今回の全日本選手権は、優勝して当然だと思われるジュニアの試合と違い、彼女にとってシニアに挑戦できるシーズン唯一の大会だった。
全日本選手権で2位に入った島田麻央
島田はショートプログラム(SP)前日に「気負うことなく、思いきり滑りたいと思っています」と話し、「完璧な演技を目指すわけではなくて、自分らしい演技を目指すことで緊張をほぐすことができるのではないかなと。順位は特に狙わず、ジュニアらしい元気ではつらつとした、楽しそうに滑る演技ができたらいいと思います」と続けた。
それでも12月20日のSPは、いつにも増して気合いが入っている表情に見えた。「練習でうまくできているのに本番ではうまくいかないことがすごく多かったので不安はあったけど、迷ってしまうと跳べないので過去を振り返らず今だけに集中して滑りました」という気持ちを込めた滑りだった。
冒頭のトリプルアクセルで4分の1回転不足の判定で0.80点減点されただけで、最後までスピードに乗った演技で75.58点を獲得。「トリプルアクセルを入れた分、もう少し点数は伸びたかなという思いもあるので、やっぱりまだまだ足りない部分があるとわかりました」と島田。ジュニアGPシリーズでは8点台があった演技構成点が3項目とも低かった影響もあった。
SP首位の坂本花織とは3.34点差の2位。トリプルアクセルと4回転トーループの大技2本があることを考えれば、安藤美姫や浅田真央と同じ16歳での全日本初制覇も見えてくるなか、島田は「私が目標にしているところに行く通過点。順位は考えていない」と冷静に話した。
【大舞台で感じた精神的な成長】
22日のフリーは「のびのび滑りたい」との思いとは裏腹に「すごく緊張した」と言う島田。最初のトリプルアクセルは着氷したものの回転不足。次の4回転トーループはダウングレード判定で転倒と、得点を稼げないスタートになった。
それでも以降は、フリー曲『窓から見える』の清涼感のある歌声に乗った軽やかな動きで、ここ2戦で苦しんでいたジャンプのミスもまったくない滑り。フリーは143.42点を獲得し、合計219.00点で坂本に次ぐ2位に入った。
「ショートで2位になったあとは、自分が挑戦者だということも忘れているくらいの感じでした。みんながいい演技をしていたのでプレッシャーはあったけど、集中して滑りきれて自分に勝つことができてうれしいです。もちろん失敗もあって、もうちょっとできたかなという部分はあるけど、大きなミスをひとつに抑えられたことは本当によかった。特に、終盤の3回転ループはひとつ前の試合で失敗しまっていて、ここに来てからもずっとハマってなかったけど、本番で降りることができた。メンタル的にちょっと成長したんじゃないかなと思います」
こう話す島田は大会期間中、前日練習からの4日間をシニアの選手たちと一緒に過ごすなかで、「スケーティングの部分は全然違うので、まだまだ足りないなと思ったし、ジャンプももっと大きく跳んでいかないとシニアのトップに立てないと思いました」と島田は話す。
2位という結果を受けて「すごくうれしいし、来年は優勝したいという思いも少し出てきたかなという感じです。あとひとつ上を目指すなら優勝しかないので、そういう気持ちが出てきました」と笑みを浮かべる。
【女王・坂本花織超えに挑む】
ジュニア移行の2022−2023年以来、国際大会ではすべて勝ち続けてきた島田だが、ロシア勢不在のなか、モチベーションの維持も難しかっただろう。今回、大技2本は失敗したものの、ジャンプはノーミスで滑る好調時のスケートに戻せて納得の結果が得られたことは、大きな収穫だ。
来年の全日本優勝を目指すということは、世界女王の坂本を上回るということだ。それを口にする"欲"を持ったことは、島田をさらに成長させるはずだ。2月に狙う世界ジュニア選手権3連覇は、次のステージへの大きなステップになる。