第103回全国高校サッカー選手権大会 注目選手紹介 GK&DF編12月28日から始まる第103回全国高校サッカー選手権大会。今年も好プレーが期待できる注目選手がいる。育成年代のサッカーを長年取材してきているフリーライターの土屋雅史氏、森田将…

第103回全国高校サッカー選手権大会 注目選手紹介 GK&DF編

12月28日から始まる第103回全国高校サッカー選手権大会。今年も好プレーが期待できる注目選手がいる。育成年代のサッカーを長年取材してきているフリーライターの土屋雅史氏、森田将義氏のふたりに、おススメのGKとDF9人を挙げてもらった。

後編「注目選手 MF&FW編」>>


長崎総科大附のGKマガリェンス・アルナウド

 photo by Morita Masayoshi

マガリェンス・アルナウド
(GK/3年/長崎総科大附・長崎県/185cm、80kg)

「昨年から試合に出始めて、ポテンシャルのある選手だと思っていたのですが、この1年で安定感が増しました。定方敏和監督も成長を認め、『能力はありながら殻を破れずにいたけど、拮抗したゲームでいいプレーをして、自信が芽生えてきた』と評価していたのが印象的。何よりキックミスが減ったといいます」(森田氏)

「ブラジル人の両親を持つ守護神で、本人が自信を見せるのはキック。実際、試合を見ても、足元の技術だけでなくパントキックの質も高く、彼からチャンスが作れていました。憧れの選手としてブラジル代表のエデルソンを挙げるのも納得です。故・小嶺忠敏先生が最後にスカウトしてきた世代でもある。大分出身で、地元の高校と悩んだけど、小嶺先生の下でサッカーしたいという思いがあったので選んだと話していました」(土屋氏)


鹿児島城西のGK藤吉純誠

 photo by Tsuchiya Masashi

藤吉純誠 
ふじよし・じゅんせい(GK/3年/鹿児島城西・鹿児島県/173cm、64kg)

「今年のチームの象徴と言える選手。173cmですが身体能力が高く、ハイボールにも躊躇なく出ていける。そのタイミングがいいし、声も出る。それに話してみると人間性が抜群で、彼が後ろから声を出すことで、チームがエネルギーを出せます。今年、プレミアリーグWESTで1年間、強烈な相手FWたちのシュートを受け続けてきた経験値は最後の選手権に生きる気がしています」(土屋氏)


青森山田のGK松田駿

 photo by Tsuchiya Masashi

松田駿 
まつだ・しゅん(GK/2年/青森山田・青森県/185cm、73kg)

「インターハイで見た際に、こんなにいいキーパーがいるんだと驚いた選手です。正木昌宣監督が『物おじしない性格で、やってくれそうな空気感がある』と言われていて、彼がいるからDFの選手が思いきってプレーできる」(森田氏)

「流通経済大柏のGKコーチをされている南雄太さんが、プレミアリーグEASTで対戦し、いいキーパーだと思った選手として挙がったひとり。前橋FC出身で、前橋育英との試合は相当燃えていて、活躍していました。兄は前橋育英高が選手権で優勝した時の主力だった松田陸選手(ジェフユナイテッド千葉)。兄弟揃っての日本一もかかっています」(土屋氏)


大津のDF五嶋夏生

 photo by Morita Masayoshi

五嶋夏生 
ごとう・なつき(DF/3年/大津・熊本県/190cm、78kg)

「去年まではチームに迷惑をかけてきたと捉えているみたいですが、今年の大津を語るうえで欠かせない。本人が一番自分の成長を感じているんじゃないでしょうか。それにすごく真面目。サッカー部の主力がいる学校のスポーツコースは美術コースと一緒に授業を受けているのですが、1年生の頃はどうしても活発なスポーツコースが目立ちます。担任を受け持つ山城朋大監督が、美術部の生徒と面談すると『五嶋くんと嶋本(悠大)くんは僕たちに優しくて、本当にサッカーがうまい選手は人間的にもすばらしいと思った』と返ってきたそうです」(土屋氏)

「190cmの身長がある分、身のこなしが課題だったのですが、高校3年間で動けるようになった。それに小学生の頃からチームメイトの嶋本悠大が『足元がうまくなった』と評していたとおり、コツコツ頑張って自らの課題をちゃんと克服していった印象です。練習を見に行くたびに思うのはキャラクターのよさ。キャプテンなのに少しいじられキャラで、チームのいい雰囲気は彼が作っている気がしました。可愛らしいタイプ」(森田氏)


青森山田のDF小沼蒼珠

 photo by Tsuchiya Masashi

小沼蒼珠 
こぬま・そうじゅ(DF/3年/青森山田・青森県/178cm、73kg)

「昨年、風貌と可愛らしさが相まって注目を集めた選手です。シーズン当初はキャプテンではなかったものの、プレミアリーグEASTの開幕直前に就任。柄ではないと話していたのですが、青森山田のキャプテンを1年間やるというのは、全国でも一番ぐらいのプレッシャーがかかりますし、前年度チャンピオンでもあって、予選決勝が終わった後に『ものすごいプレッシャーでした』と口にしていました。それを1年間くぐり抜けてきたたくましさを感じます。人間的に成長して、最後の選手権を迎えるんじゃないでしょうか」(土屋氏)

「1年生の時に国体で見たのが最初。『取材してください』と自ら声をかけてきてくれたのが印象に残っています。当時は子どもっぽさを感じていたのですが、高校3年間で大人に成長していき、あらためて青森山田のすごさを感じました。ロングスローが目立ちますが、全体の能力が高い。身体が強いし、運動量もある。スローイン以外にも注目してほしいです」(森田氏)


堀越のDF森奏

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森奏 
もり・かなで(DF/3年/堀越・東京都/182cm、70kg)

「もともとはFWで昨年からセンターバック(CB)としてプレーし、選手権でも活躍した選手。今年の予選決勝では延長からFWに上がって同点弾を決めるなど、得点感覚を持っています。運動能力が高く、すごく足の速い相手FWにも並走して競り勝ってクリアする回数が多い。ビハインドでは勝手に前に攻め上がるメンタルの強さもあって、見ていて爽快です。チームが夏過ぎまで結果が出ないなか、彼の強気な性格が今年の堀越を支えてきた気がします」(土屋氏)


帝京のDF田所莉旺

 photo by Tsuchiya Masashi

田所莉旺 
たどころ・りお(DF/3年/帝京・東京都/187cm、74kg)

「立ち姿にオーラみたいなのが出てきました。一番の特徴はフィードで、一発で相手を裏返すことができる。ボールを動かすスタイルがベースの帝京で、攻撃のアクセントになっていますし、彼のフィードを受けることができるFW森田晃もいます。今年は"自分がこのチームの中心だ"と思っているのも大きい。メンタル的な逞しさが出てきて、今年はU-18日本代表にも選出されました」(土屋氏)

「この1年でかなり伸びた選手。身長と足元がありながら、守備が苦手な印象があったのですが、本人が『アタックの守備を心がけるようになった』と口にしていた通り、相手に強く向かって行けるようになり、CBとしての成長を感じました」(森田氏)


京都橘のDF宮地陸翔

 photo by Morita Masayoshi

宮地陸翔 
みやじ・りくと(DF/3年/京都橘・京都府/181cm、70kg)

「昨年は10番を背負いFWとしてプレーしていたのですが、なかなか勝てないチームを立て直すため夏以降はCBとしてプレー。高さを生かして跳ね返すことができる彼が最終ラインに入って守備が落ち着きました。最初は戸惑いを感じていたみたいですが、これまでよりも受けるプレッシャーが少なくなった分、彼のよさである展開力が発揮しやすい。米澤一成監督は『チームのために泣いてもらった』と話していましたが、結果的にはいいコンバートになって、今では『CBもありかも』と口にしているみたいです」(森田氏)


佐賀東のDF田中佑磨

 photo by Morita Masayoshi

田中佑磨 
たなか・ゆうま(DF/3年/佐賀東・佐賀県/178cm、70kg)

「本当に何でもできる選手。対人だけでなく空中戦にも強くて、もともとは右サイドバック(SB)なのですが、CBとしてもプレーできる。足元のうまさも備えているので、偽SBとしてボランチ的な振る舞いもできますし、攻め上がってもいける。高校年代トップクラスのSBだと思います。今年はキャプテンも務めていて、ひとりで4役、5役ぐらいこなしている印象です。ベスト8まで進んだ昨年以上に目立ってほしい」(森田氏)

<土屋雅史氏の注目選手>
GK/野田馨(尚志)、マガリェンス・アルナウド(長崎総科大附)、藤吉純誠(鹿児島城西)、髙城柊哉(高川学園) 
DF/小沼蒼珠(青森山田)、森奏(堀越)、田所莉旺(帝京)、柴田陽仁(東福岡)、五嶋夏生(大津)、樋渡蓮音(米子北)

<森田将義氏の注目選手>
GK/松田駿(青森山田)、石山アレックス(金沢学院大附)、マガリェンス・アルナウド(長崎総科大附) 
DF/五嶋夏生(大津)、田中佑磨(佐賀東)、宮地陸翔(京都橘)、山崎蒼葉(津工)、小沼蒼珠(青森山田)

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