■執念で守り抜いた1点差 1点差の激闘を制して、精華女子高校(福岡県)が念願の全国ベスト4入りを決めた。 12月26日に行われ…

■執念で守り抜いた1点差


 1点差の激闘を制して、精華女子高校(福岡県)が念願の全国ベスト4入りを決めた。

 12月26日に行われた『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』の女子準々決勝、精華女子は試合時間残り55秒にアキンデーレ タイウォ イダヤット(2年)のバスケットカウントで前に出た。スコアは66-65。その後は桜花学園高校(愛知県)に2度攻撃チャンスを与えたが、執念のディフェンスと宮﨑陽向(3年)のスティールでリードを守り抜いた。

「全員で守り切ったディフェンスとリバウンドにあると思います」と清藤優衣(3年)が勝因を口にしたように、精華女子はイダヤットを中心にリバウンドで上回り、試合を通して10本のスティールを奪取。イダヤットは計31得点18リバウンドを叩き出したものの、最終クォーターでは中釜光来、下川蒼乃、宮﨑といった3年たちも勝負強いシュートを決めてみせた。

■不発でも仲間を信じ抜いた勝利


「試合中は『流れが来るまで我慢しよう』という話をしていました。試合に出ている選手も、ベンチも、応援席も含めて誰1人負けるなんて絶対に思ってなかったですし、勝つことを信じ続けて、最後までみんなで戦い続けたことがよかったと思います。ミスマッチになる留学生(イダヤット)を起点に攻めていくというプランでしたけど、やっぱり最後は宮﨑が思い切って自分の得意なプレーで勝負してくれたので本当に助かりました」

 キャプテンを務める清藤は、チーム力でつかんだ勝利をうれしそうに振り返った。しかし、スコアラーでもある清藤のこの日12得点。終盤になってもシュートがリングに嫌われ続け、第4クォーターは序盤に決めた2点のみ。同クォーターのシュート確率は6分の1と振るわなかった。

「個人としては全く自分のプレーができなくて、レイアップに行ってもタフショットになってしまったりして苦しいシュートが続きました。でも、自分を起点にして攻めなくても仲間がやってくれると思っていたので仲間に任せました」

■指揮官が見る清藤の成長


 前日の3回戦に勝利したあと、大上晴司コーチは下級生の頃から得点源を担ってきた彼女の成長、桜花学園戦での活躍についてこんな話をしていた。

「自分だけが得点を取るという意識ではなく、本当に周りをよく見てチームメートを生かせるようになりました。ディフェンスに関しても目立たないかもしれませんが、やっぱり彼女のディフェンス力がチームの支えになっています。明日はスタッツに残らない部分での活躍にも期待したいと思います」

 指揮官の期待どおり、清藤は仲間を信じ、ディフェンスでは相手のエースである阿部心愛(3年)に食らいついた。「自分がチームのエースという気持ちを持ってプレーしていますけど、相手のエースを守ることも自分の仕事だと思っています。先生からもその役目を任されてるので、今日も頑張ってディフェンスしました」。清藤は笑みを浮かべた。

 創部初の全国ベスト4を成し遂げたが、目標はあくまで日本一。頼れる背番号4は「明日の試合に勝てばさらに新しい歴史が作れるので、メインコートの舞台を楽しんでプレーしたいと思います」と、準決勝の京都精華学園高校(京都府)でも笑顔を絶やさず40分間を戦い抜く。

取材・文=小沼克年