28日に中山競馬場で行われるホープフルS(2歳・牡牝・GI・芝2000m)。前走で札幌2歳Sを勝ったマジックサンズ(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)、東京スポーツ杯2歳Sを勝利したクロワデュノール(牡2、栗東・斉藤崇史厩舎)、アパパネの仔アマ…

 28日に中山競馬場で行われるホープフルS(2歳・牡牝・GI・芝2000m)。前走で札幌2歳Sを勝ったマジックサンズ(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)、東京スポーツ杯2歳Sを勝利したクロワデュノール(牡2、栗東・斉藤崇史厩舎)、アパパネの仔アマキヒ(牡2、美浦・国枝栄厩舎)らが出走する。

 この今年最後となるJRA・GIを新進気鋭の“回顧派”予想家「Orfe」氏はどう見るか。前哨戦の分析を中心に展望する。

(文=Orfe)

◆前哨戦分析

 ホープフルSの主要な前哨戦3レースについて、私の提唱しているレースバイアス(展開・馬場などレース結果に影響を与えたであろうバイアスの総称で最も影響が大きい4角での位置取りを基に独自の基準で判定。以下RBと表記)に基づいて検証したい。

・アイビーS(L):『フラット』/逆バイアス好走馬=ピコチャンブラック
 8頭立ての少頭数でのレースになり前半1000m通過が59.4秒とそれほど激流ではないものの、ついていけない馬が3頭ほどおり実質5頭立て。

 後続を離して逃げたシルバーレインを2.3番手でレースを進めた2頭が直線で捕らえ、上がり3F11.8-11.3-11.2と加速ラップに。これを末脚のキレで勝ったマスカレードボールが0.2差をつけ勝ち切ったレース。

 有利不利の判断材料になる確たるものがなく、RBは『フラット』と判断する。
(※RB『フラット』=着差0.2秒以内かつ上がり5位以内がSランク相当)

・東スポ杯2歳S(GII):『内有利』(暫定)/逆バイアス好走馬=クロワデュノール
 9頭立てとこちらも少頭数でのレースとなりテン3F 36.1秒、前半1000m通過60.9秒とゆったりとした流れのレースとなり、レース上がり33.4秒の上がり勝負を2番手から上がり3F 33.3秒でまとめたクロワデュノールが制した。

 1秒以上の急加速地点となった4コーナーで外を回す負荷がやや高く、暫定ながら『内有利』と判断。

・京都2歳S(GIII):『フラット』(暫定)/逆バイアス好走馬=ジョバンニ
 こちらも8頭立てと少頭数になった1戦で前半1000mが61.9秒とさらに緩い流れ。上がり3Fも11.6-11.5-11.4と加速ラップとなり、3番手からエリキングが抜け出した。

 このレースも有利不利の判断材料になる確たるものがなく、RBは『フラット』と判断。
(※RB『フラット』=着差0.2秒以内かつ上がり5位以内がSランク相当)

◆狙い馬、過大評価禁物の馬

 ホープフルSで狙いたい1頭目はピコチャンブラック。

 前走のアイビーSは『フラット』なRBで着差0.2かつ上がり2位でSランク相当。勝ち馬マスカレードボールの走破時計1:45.8は非常に優秀でそれ以前に2歳戦の東京芝1800mを1:45.9以下で勝利した馬はガストリック・コントレイル・イスラボニータの3頭。この3頭はいずれも重賞馬であり、マスカレードボールも重賞に手が届く可能性は高いだろう。

 一方で、今シーズンOP以上のクラスで前走RB『フラット』×前走Sランクは次走の複勝率が62.5%とハイアベレージ。ピコチャンブラックは牝系にバレークイーンを抱え大箱コースよりも小回り向きで東京<中山だろうから、今回はリベンジに期待できる舞台だ。

 さらにもう1頭ここで狙いたいのがジョバンニ。

 前走の京都2歳Sは暫定で『フラット』なRB。これを勝ち馬との着差0.2差かつ上がり2位でSランクに相当する。2戦続けてエリキングにRB『フラット』で敗れているが、どちらもポジション差で交わせていないだけ。展開一つで、能力面では引けを取っていない印象を受ける。

 ホープフルSで3度目の正直と行きたいところだったが、エリキングは骨折により不出走。リベンジの機会は春までお預けとなったが、その分、GI制覇には一歩近づいた。

 一方で過大評価禁物な馬としてはマジックサンズを挙げておく。

 前走の札幌2歳Sは『外有利』なRBを外から捲って4角2番手から押し切り勝利。馬場は内が荒れており3コーナー付近で、内で余力がなくなり、下がる馬がいたことで大外から捲りやすい面も。外から運んでいた4頭は4コーナーから直線にかけてもスムーズだった一方で、それより内は隊列不利で踏み遅れたり、馬群を捌くロスが生まれた。

 内で詰まったショウナンマクベスが次走百日草特別(1勝クラス)を勝ち上がり、内から外に進路を切り替えざるを得なかったアルマヴェローチェが次走阪神JFで1着し、レーヴドロペラが次走芙蓉Sで2着。

 対して外の4頭はファイアンクランツが次走東スポ杯2歳S(GII)で4着に敗れ、マテンロウサンが紫菊賞(1勝クラス)で4着、ローレルオーブが次走デイリー杯2歳S(GII)で7着に敗れていることから本馬も過大評価は禁物。