今年はゴルフ界最大のギアストーリーが支配した一年だった。新クラブのリリース、新たなプロトタイプ、興味深いギア変更、いくつかのトレンド台頭など盛りだくさん。以下は、GolfWRX.comによる今年のギア10大ストーリーだ。1.ツアーを支配し…

パター変更などで圧倒的パフォーマンスを見せたスコッティ・シェフラー

今年はゴルフ界最大のギアストーリーが支配した一年だった。新クラブのリリース、新たなプロトタイプ、興味深いギア変更、いくつかのトレンド台頭など盛りだくさん。以下は、GolfWRX.comによる今年のギア10大ストーリーだ。

1.ツアーを支配したスコッティ・シェフラーのギアセッティング

シェフラーが使うテーラーメイド スパイダー ツアーX(提供GolfWRX)

世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーは「マスターズ」、「ザ・プレーヤーズ選手権」、「パリ五輪」、フェデックスカップを制覇するなど、ワールドワイドで9勝を挙げたが、快進撃の背景には2つのギアチェンジがあった。まず、ドライバーをテーラーメイドの新しい「Qi10 ドライバー」(8度)へ、次にパターをLネックホーゼルのテーラーメイド「スパイダーツアーX」へ変更した。

パターを何度も替えた2023年を経て、3月「アーノルド・パーマー招待」でスパイダーツアーXを投入し、優勝を飾ると、このパターがエースになった。9月のプレーオフ最終戦「ツアー選手権」前、シェフラーは以下のように語った。

「スパイダーに替えるまで、昨年はあまりに多くのパターを試し過ぎたと感じていた。自分がどんなパットをしたいかフラフラして、何かをやり続けることなく、成功と失敗を繰り返していた。スパイダーのようなパターを試したことはあったけど、満足できなかったのは、十分に試さなかったせいもある。一日良くない日があると“これはダメ”みたいに…」

「スパイダーで最も気に入っているのは、良い形で真っ直ぐ向けるところ。僕はあまりボールにラインは引かない。パットはより感覚的なものだと思っているから。ショットは感覚や視覚に断然重きを置いていて、パットもそうあるべきという考えは理に適っているんだけど、昨年はなぜか長い間、とてもテクニカルに考え、グリーン上で完璧にあろうと努めてきて、それが上手くいかなかった。スパイダーに替えたら、自分を自由にすることができて、一貫して好成績が出るようになったんだ」

2.ロリー・マキロイとコリン・モリカワのテーラーメイド プロトアイアン

ロリー・マキロイが使うテーラーメイドのプロトタイプ4番アイアン(提供GolfWRX)

ロリー・マキロイ(北アイルランド)は「マスターズ」前週の4月「バレロテキサスオープン」で、未発表のテーラーメイド“プロト”の4番アイアンをお披露目した。高弾道を実現しつつ、打感はブレードアイアンと同じだった。コリン・モリカワも2週後の「RBCヘリテージ」で“プロト”の4番をバッグに入れ、高弾道と予測可能な飛距離のコントロールを称賛した。

昨年の「全米プロ」でクラブプロでありながら15位となったマイケル・ブロックも、5月「全米プロ」で、10年以上使ったテーラーメイド「ツアープリファードMC」を同社のプロトタイプにセットごと替えた。

テーラーメイドはこの“プロト”を「P7CBアイアン」として一般販売することに決めた。モリカワは7月の「スコットランドオープン」「全英オープン」で、飛ばし屋のクリストファー・ゴッターアップも同月の「3Mオープン」でフルセットのP7CBを実戦投入した。

モリカワは「これは少しばかり寛容性が高い。僕は、他のPGAツアーメンバーほど弾道が高くないし、飛ぶ方でもない。だから、少しでも弾道に高さが出ると、プレーの幅が少し広がるんだよ」と語った。

3.シェーン・ローリーのパター変更

シェーン・ローリーのスパイダー ツアーZモデル(提供GolfWRX)

シェーン・ローリー(アイルランド)はプロキャリアの大半で、オデッセイの有名な2ボールパターを使ってきた。オデッセイ「ストロークラボ エクソ2ボール」、「ホワイトホット プロ2ボールブレード」、「ホワイトホットOG 2ボール」などのモデルだ。

しかし、4月下旬にニューオリンズで行われたダブルス戦「チューリッヒクラシック」で初めてテーラーメイド「スパイダー ツアーZパター」を使用した。彼のパートナーだったマキロイが長年使用してきたパターに酷似しており、2人は同大会を制覇した。ローリーはパター変更のことを次のように話した。

「グリーンで悪戦苦闘していたから、何か新鮮な見た目の物が必要だった。ネック形状が違うから、動きは少し異なるけど、似てはいる。白いラインが入っているし、マレット型だからね。だから、かなりドラスティックな変更というわけではない。練習グリーンで手に取ってみたら、見た目を気に入ったので、“一丁、これで試してみるか”という感じになったんだ」

4. マシュー・フィッツパトリックが10年越しのアイアン変更

“フィッツ”グラインド加工されたフィッツパトリックのタイトリスト T100(提供GolfWRX)

マシュー・フィッツパトリック(イングランド)はプロキャリアの大半で、2013年発売のピン「「S55アイアン」を使い、多くの成功を収めてきたため、このクラシックタイプを今後も替えないだろうと思われていた。しかし、2023年終盤にピン「ブループリントSアイアン」をテストし、2024年序盤に投入。最終的には6月「全米オープン」でカスタムの“フィッツ”グラインドの施されたタイトリスト「T100アイアン」に変更した。

5.JTのガソリンスタンドパター

ジャスティン・トーマスがガソリンスタンドで“入手”したパター(提供GolfWRX)

ジャスティン・トーマスのパター変更は、ここ数年で1度や2度ではなかったので、それ自体は大きなニュースではない。しかし、その背景が実に興味深いものだった。

スコッティキャメロンのパターフィッティング兼選手開発部長のポール・ビザンコ氏はトーマスに、世界アマチュアランク2位の21歳、ゴードン・サージェントのために設計したカスタムパターを使用するよう勧めた。このパターは、クラウンに平行ラインと単一のドットが入ったもの。

トーマスは6月初旬「メモリアルトーナメント」の開催地であるオハイオへ向かう前に、サージェントの地元アラバマ州にあるガソリンスタンドでサージェントと落ち合いパターを受け取った。最終的には、サージェントのパターにインスパイアされて設計された新しいプロトタイプのパターを手にしたのだが、このエピソードが話題となった。

「僕はビザンコに、それまで持っていたパターの気に入っている点とそうでない点を説明したテキストを送ると、彼はゴードンのパターのことを言うから、今度はゴードンに連絡をとったんだ。するとゴードンは『今は使っていないので要らないですよ』と言うんでね。だから、多少いかがわしい感じになっちゃったけど、あれは後にも先にもナッシュビル郊外で行われた唯一のスコッティキャメロンパターの受け渡しだっただろうね」

6. ミニドライバーの人気が高騰

アクシェイ・バティアのキャロウェイ Ai-スモーク ミニドライバー(提供GolfWRX)

ミニドライバー、あるいは2番ウッドは昔からあるが、現代的なデザインによって、かつてないほどPGAツアーで日の目を見ている。ドライバーより小型で、3番ウッドより大型で、ドライバーよりスピン量と操作性が高く、全体的なヘッド体積とフェース面積の大きさにより、3番ウッドより打ちやすい。

ジェイク・ナップはテーラーメイド「BRNRミニドライバー」をバッグに入れて2月の「メキシコオープン」を制覇したが、2024年のミニドライバー使用者には、マックス・ホマ(テーラーメイドBRNRミニ)、トミー・フリートウッド(テーラーメイドBRNRミニ)、アダム・スコット(テーラーメイドBRNRミニ)、クリストファー・ゴッターアップ(テーラーメイドBRNRミニ)、キャメロン・ヤング(タイトリストTSR 2番ウッド)、ウェブ・シンプソン(タイトリストTSR 2番ウッド)、アクシェイ・バティア(キャロウェイ パラダイムAiスモークTi340ミニドライバー)らもいる。

バティアはプレーオフ最終戦「ツアー選手権」で投入。「僕はドライバーでドローを打てるけれど、このミニドライバーなら、もっと簡単に曲げることができるから、良いオプションになる。スピン量も多いから、弾道の一貫性がよりタイトで、僕が求めていたものだ」と語った。

7.ツアーで目撃され始めた新ドライバー

11月から12月にかけて各メーカーの新ドライバーが次々とUSGAの適合クラブリストに掲載された。GolfWRXはキャロウェイ、ピン、コブラ、スリクソン、ウィルソン、テーラーメイドによるエントリーを確認した。

12月のツアー外競技「グラント・ソーントン招待」ではネリー・コルダがテーラーメイド「Qi35マックス」のプロトタイプを、リッキー・ファウラーがコブラ「DSアダプトX」を使用している姿が目撃された。その前週の「ヒーローワールドチャレンジ」では、キャロウェイ「Elyte」とピン「G440」が目撃された。

8. ウェズリー・ブライアンが2本の4番アイアンを使用

ウェズリー・ブライアンのバッグには2本の4番アイアンが(提供GolfWRX)

PGAツアーで優勝経験があり、YouTuberでもあるウェズリー・ブライアンは5月「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」で、異なる2本の4番アイアン(タイトリストT200とタコモ101 U)を含む複合アイアンセットを使った。

ブライアンによると、タコモCBの6番の飛距離は195~200yd、中空ボディのタコモ101 Uドライビングアイアンは約220yd、タイトリストT200の4番は約235yd。タコモ101 Uの4番はロフトが2度ウィークにセットされており、実際は5番の役割を果たすのだが、刻印は4番のままだった。

9. タイトリストが2025年モデルの新プロV1シリーズをリリース

シーディングされた2025年モデルのタイトリスト 新プロV1(提供GolfWRX)

タイトリストは2000年10月の「シュライナーズチルドレンズオープン(当時インベンシスクラシックatラスベガス)」で、新機軸のボール「プロV1」をリリースした。同週に47人が、後に革命をもたらすボールを使い、ビリー・アンドレードは同ボールを使用した初のPGAツアー優勝者になった。

同社は10月「シュライナーズチルドレンズオープン」で革新的なボールの25周年を祝福し、2025年モデルのプロV1および「プロV1x」のシーディングと検証プロセスを開始。ニコ・エチャバリア(コロンビア)、マーベリック・マクネリラント・グリフィンが早くも新モデルで勝利を飾った。

10. タイトリストGTドライバーが出だしから快調

タイトリストの新ドライバー GTシリーズ(提供GolfWRX)

タイトリストの「GT2」、「GT3」、「GT4」ドライバーが公になったのは6月「メモリアルトーナメント」で、7月「ジェネシス スコットランドオープン」では、115人以上がGTドライバーを使用した。シーズン半ばに発表されたドライバーとしては、かなりレアケースだ。

「メモリアル―」でGTに乗り換えた13人の1人、ウィル・ザラトリスはGT2について、以下のように語った。

「僕らが(タイトリストに)できる限り早く届けて欲しいと懇願したモデル。初めてテストしたのは、2023年12月初旬だったんじゃないかな。かなりイケている点は、挿すだけで使える、みたいなところ。全く同じシャフト、セッティングで試したら即、ボール初速が1.5マイルもアップした。キャリーが6.5~7yd伸びるのと同じだよ。前のモデルのTSRと比較してミスヒットに優しい。ツアーで4、5ydの違いは、フェアウェイからバーディを狙える位置につけるのと、フェアウェイを外し、レイアップして厳しいやり方でパーを拾うほどの差になり得るから」

有力選手では、マックス・ホマ(GT3)、トム・キム(GT3)、キャメロン・ヤング(GT2)、ジャスティン・トーマス(GT2)、アン・ビョンフン(GT4)、ビリー・ホーシェル(GT3)、ウェブ・シンプソン(GT3)、ブラント・スネデカー(GT2)、デニー・マッカーシー(GT2)、ギャリック・ヒーゴ(GT4)、J.T.ポストン(GT3)、パトリック・カントレー(GT2)、アダム・スコット(GT2)らが使用者リストに名を連ねている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)