12月24日に2日目を迎えた『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選…

 12月24日に2日目を迎えた『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』は、女子2回戦16試合が行われ、シード校が続々と登場して、3回戦にコマを進めた。前日、近江兄弟社高校(滋賀県)に90−50で勝利した浜松開誠館(静岡県)は、千葉県代表の千葉英和高校を77−53で破り、3回進出を決めている。

 この2試合と通じて話題となっているのが後藤音羽のパフォーマンスだろう。1回戦の近江兄弟社戦では36得点、2回戦の千葉英和戦では32得点と世代を代表するスコアラーと評されるに負けない得点を記録した。

 元日本代表で現在浜松開誠館高校男子バスケ部を指導する正規氏を父に、こちらも元日本代表で、シャンソン化粧品で活躍した高美さん(旧姓竹内)を母に持つ後藤は、中学3年生のとき、浜松開誠館中学のエースとして出場したJr.ウインターカップで頭角を現した。

 浜松開誠館高校に進学後は、1年のインターハイからチームの主軸を担ってきたが、高校生として最後の公式戦、ウインターカップ2024で自身のポテンシャルを最大限に発揮していると言える。魅力はオールラウンドのプレー。身長179センチのサイズを生かしたゴール下のプレーに加え、ドライブやジャンプシュートなど外角からのオフェンスも得意とする。

 指導する三島正敬コーチは「この3年間で一番成長したのはメンタル」と語る。

「特に去年は全然ダメでした(苦笑)。今年はそれを乗り越えてきているので、昨日も『去年よりいいじゃん』と話をしていたんです。今年は落ち着いていますね。それは(アンダーの)代表での経験や、色々の周りの方に支えられて成長した部分かなと思います」(三島)

 昨年の大会で何があったのか? それを後藤自らが明かしてくれた。

「2回戦(京都精華学園高校戦)、自分の仕事である点を取ることだけでなく、ディフェンスすることやリバウンドを取ることもまったくできなくて。それで(ハーフタイムで)ベンチに戻ったときに泣いてしまって。自分の気持も落ちてしまって、そこがダメで。先輩たちに迷惑をかけてしまいました。その日から意識しています」(後藤)

 さらに代表活動もメンタル強化につながったという。

「(U17女子ワールドカップ日本代表では)キャプテンをさせてもらいました。そこで気持ちの持ち方など、そういう経験を活かせているのだと思います」

 千葉英和戦では相手のエースであり司令塔の渡部怜梨とのマッチアップに指名されたのが後藤だった。3番ポジションの後藤を1番につかせることに三島コーチは迷いがなかったという。

「渡部選手の武器はジャンプシュート。それを抑えるには後藤のサイズがいいだろうと。3年間で小さい選手を守れる足を鍛えてきました。これも3年間で成長した部分」と、信頼は厚い。

 3回戦突破をかけて、明日は精華女子高校(福岡県)と対戦する。「この試合を目標に据えて準備をしてきました」と語る三島コーチ。「準備はすべて終わったので、あとは選手たちの気持ちがもつかどうか。そして、相手のエースで同じU17代表の清藤(優衣)選手とのマッチアップは後藤なので、これも楽しみにしていてください」。

 後藤は「清藤さんとのマッチアップになると思います。清藤さんもジャンプシュートがうまいので、今日のように粘り強くついていきたいと思います」と意気込む。そして、「自分たちの目標はベスト4」と話す後藤の目はしっかりと前を見据えていた。

文=入江美紀雄