12月23日、『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』が開…

 12月23日、『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』が開幕。初日の第3試合には女子1回戦の好カード、聖和学園高校(宮城県)と桜花学園高校(愛知県)が対戦した。

 序盤は聖和学園が出足のいいディフェンスで桜花学園のパスをカットする場面があり、ボールも回ってリズムよく試合を進めていくかに見えた。しかし、試合が進むにつれて、桜花学園が聖和学園のバスケットにアジャストしていく。加えて、激しい攻防の中、桜花学園のフィジカルが聖和学園にダメージを与え、次第に動きを鈍くさせていった。結局、77-46で桜花学園が勝利、初戦を突破した。

 この試合は、双子の姉妹、桜花学園の阿部心愛(3年)と聖和学園の阿部友愛(3年)による公式戦初対決としても注目を集めた。2人ともアンダーカテゴリーの代表として国際ゲームに出場する実力の持ち主。中学3年時、姉の心愛が親元を離れて桜花学園進学を決めたことにより、別々のチームでプレーすることになったが、3年になった今、2人ともエースとして、チームをリードする存在に成長した。事実この試合、心愛が20得点13リバウンド、友愛が19得点13リバウンドと、ともにダブルダブルを達成している。

 ただし、対戦するにあたり、その心持ちは双子であっても違っていたようだ。本来であれば心愛が3番、友愛が4番なので、実際にはマッチアップはなかったはず。しかし、組み合わせが決まった時点で、「私が友愛につくつもりでした。そして絶対に負けないように頑張ってきました」と、試合後にメディア対応した友愛が語った。

 同様にメディア対応した友愛は対象的に「(聖和学園の小野)裕先生には『兄弟対決はあまり意識せず、チームとして戦おう」と言われていたので、チームで勝つことを意識してきました」と明かしてくれた。ただ、小野コーチいわく、「数日前から(心愛の)様子がちょっと変な感じでした」という。高校進学前から二人を知る小野コーチによると、「心愛に育てられたというのが友愛。引っ張り上げてもらったというか。それを覆さないとダメだよと話をしてきましたが、やっぱり色々と意識をして。(心愛が)ポジションを替えてマッチアップも替えてきたので、それに対して強烈に意識してしまったのかな」。

「自分は4番なので、心愛につくとは考えていなかったんですけど、前もって心愛に『友愛につくよ』って言われてから、自分のプレーを一番わかっている相手なので、自分がそこを上回ってプレーしようかとずっと考えていたんですけど。でも、(心愛は)日本一を目指すということを常に3年間厳しく揉まれながら、やってきていたので、一段階違ったかなと。それを今、戦い終えて身を持って感じています。フィジカル面でもそうですし、フィジカル以外でもピックの使い方とか、そういうところが自分にはまだ足りなかったのかとこの試合を通して感じました」

 友愛はこのように振り返った。そして…

「自分たちに勝ったイコール“優勝”です」

 と、姉へメッセージを送った友愛。

 ッそれを受けて心愛は「自分たちも終章しかないので。聖和にしっかり勝てたし、自分は思い入れが強いので、優勝したいです」

 妹の思いを姉がしっかりと受け止めた。

文=入江美紀雄