【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る有馬記念【Pick Up】レガレイラ:1着 スワーヴリチャード産駒は重賞7勝目。GIを勝ったレガレイラとアーバンシック(菊花賞)は、母同士が全姉妹というきわめて近…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る有馬記念

【Pick Up】レガレイラ:1着

 スワーヴリチャード産駒は重賞7勝目。GIを勝ったレガレイラとアーバンシック(菊花賞)は、母同士が全姉妹というきわめて近い血統構成です。2024年のJRA種牡馬ランキングでは、開催1日を残して第12位。初年度産駒が3歳の種牡馬としては優秀です。

 スワーヴリチャードの初年度の種付け料は200万円で、これが4年間続きました。初年度産駒が大ブレイクし、5年目から1500万円に値上げ。繁殖牝馬の質が劇的に上昇するのは来春誕生する5世代目の産駒からです。4世代目の現当歳までは種付け料200万円で、繁殖牝馬の質は決して高いとはいえず、頭数も少な目です。したがって、しばらくは雌伏の期間が続く可能性が高いと思われますが、トップクラスの種牡馬と遜色ないポテンシャルを秘めているので、レガレイラやアーバンシック級の大物を再び出してくるでしょう。

 スワーヴリチャードは母方にダンジグを持つ配合パターンが成功しており、レガレイラとアーバンシックの他に、スウィープフィート、コラソンビートと計4頭の重賞勝ち馬が出ています。

 3代母ウインドインハーヘアの一族からは、ディープインパクト、その全兄ブラックタイド(キタサンブラックの父)、レイデオロ、ゴルトブリッツなど多くの大物が出ています。2代母ランズエッジは3歳世代が大当たりで、レガレイラとアーバンシックの他に、桜花賞馬ステレンボッシュが出現しました。この3頭はイトコ同士です。

 レガレイラは中山でGIを2勝しましたが、本質的には直線の長いコースのほうが向いているのではないかと感じます。来年、それを証明してくれるでしょう。

◆血統で振り返る阪神C

【Pick Up】ナムラクレア:1着

 これまでGIでは2、3着が5回と勝ち切れないのですが、重賞は計5勝目。芝1000〜1400mのJRA重賞を5勝以上した馬はこれまで10頭おり、ナムラクレアが11頭目となります。

 これまでの10頭を父別に見ると、サクラバクシンオー(シーイズトウショウ、ベルカント)とロードカナロア(ダノンスマッシュ、ダイアトニック)が複数出しており、今回、ミッキーアイルが新たに加わりました。

 同馬を父に持つメイケイエールとナムラクレアはいずれも牝馬。ミッキーアイル産駒は性別によってタイプに違いがあり、牡はダート向き、牝は芝向きです。ミッキーアイル牝馬は芝で63勝していますが、そのうちの62勝を1600m以下で挙げています。芝短距離はミッキーアイル牝馬が最も得意とする条件です。

 3代母クドジェニーは仏2歳牝馬チャンピオンで、名種牡馬マキャベリアンの全妹にあたる超良血。ナムラクレアの生産者である浦河の谷川牧場は、クドジェニー牝系にこだわりがあるのか、他にドリームオブジェニー(ファンディーナ、ナムラシングン、コンクイスタ、クードメイトルの母)を輸入しています。

 本邦輸入種牡馬バゴ(クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、トータルクラリティなどの父)もクドジェニーのファミリーから誕生しています。素晴らしい活力を伝える名牝系です。