追われる立場――。「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で初優勝を達成した東山高校(…
追われる立場――。
「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で初優勝を達成した東山高校(京都府)が、初めて追われる立場を経験したのが「U18日清食品トップリーグ」(9〜11月開催)でのこと。「(インターハイ優勝という)プレッシャーがどんなものなのかは私も選手たちも分からず、うまく消化できていないところがありました。その中でケガ人が出たり、インターハイで長所になっていたところがうまくいかなかったりと、(U18日清食品トップリーグの)序盤は、すごく悩みながらやっていました」と、大澤徹也コーチはこう振り返る。
U18日清食品トップリーグでは7試合を戦って4勝3敗の4位。「勝たなくてはいけないところで勝てなかったのはもろさだと思います」(大澤コーチ)と課題も出たが、インターハイやウインターカップのトーナメント戦とは異なり、リーグ戦を戦ったことで「負けた後に次のゲームがあるというのはチームにとって非常にいい経験になりました」と、収穫もあった。
今年は昨年から主軸の瀬川琉久(3年)、佐藤凪(2年)に中学時代のキャリアもある中村颯斗(1年)が加わり、攻撃型3ガードを形成。ほかにもメキメキと力と付けているカンダ マビカ サロモン(2年)やマルチなプレーでチームのバランスを取る南川陸斗(3年)、バックアップとして役割をこなす松島慎弥、小野寺星夢といった3年生たちと、選手層が厚いのもチームの特長だ。「苦しいときでもいろいろなヒーローが試合ごとに生まれ、東山の良さが出せた」(大澤コーチ)と、そうした強みを存分に発揮したのがインターハイだったのだ。
その夏から大きくスタイルを変えてはいないが、「インターハイでやり続けていたことができるのか。それを選手たちに問いかけながら戦い、できなかったこととできたことがすごくハッキリしました。選手たちもウインターカップに向けて『これだ』というのが分かったと思います」と、指揮官は言う。
U18日清食品トップリーグでは特長をうまく出せないときもあって苦しんだが、「トップリーグでそういったことを経験させてもらったので、ウインターカップでは本当にゲームを楽しめれば」と、大澤コーチは思いを語る。そして「3人が出ていることを強みにしたい」という瀬川、佐藤、中村については、「(役割の)ルールを作るよりも、彼ら3人でどんなことが起きるのかを大事にしています。(トップリーグ最終戦となる)開志国際高校(新潟県)との試合では相手にとって的を絞りにくい東山が少し見せられたと思うので、そのバージョンアップしたものをウインターカップで見せたいと思っています」と、期待を寄せた。
悩み、もがきながらも戦い続けた秋。たくましくなった東山は、夏に続いて冬も頂点へと駆け上がる。
文=田島早苗