昨年、福岡第一高校(福岡県)はノーシードから4大会ぶり5回目となるウインターカップの頂点に立った。 チームに最も欠かせなかっ…

 昨年、福岡第一高校(福岡県)はノーシードから4大会ぶり5回目となるウインターカップの頂点に立った。

 チームに最も欠かせなかったのは、崎濱秀斗(セントトーマスモアスクール)の存在だ。この年の絶対的エースは9月の「U18日清食品トップリーグ2023」で右足を骨折。ウインターカップ直前に復帰を果たしてラストピースがそろうと、部員115人の大所帯が1つになり下馬評を覆した。

 井手口孝コーチは昨年の崎濱の復帰と快進撃を「奇跡」と振り返り、現在のチームについてこう話す。「去年は奇跡ですよ。『崎濱の奇跡』。まあ、今年は彼のような選手はいないので、オフェンスでは確実に点を取れるパターンやシチュエーションを作らないといけないです」。

 福岡第一の最大の武器は、激しいディフェンスから相手を置き去りにする圧巻のファストブレイク。今年のチームにおいてその中心を担うのは宮本聡と耀(ともに2年)の双子の2ガードで、ベンチには同じく2年生コンビの山口銀之丞と崎濱秀寿も控える。

 3年生では八田滉仁と宇田ザイオンの両フォワードがスターティングファイブを務める。キャプテンの八田はエース的存在でもあり、攻守両面でフィジカルの強さを生かしたプレーが魅力だ。今年の主力は昨年よりもサイズダウンした布陣となるため、インサイドでは昨年の優勝にも貢献したサー シェッハ(3年)がキーマン。今大会はベンチスタートとなりそうだが、202センチの高さを生かしたリバウンドと守備をはじめ、攻撃では豪快なダンクシュートで存在感を示せるか注目したい。

「U18日清食品トップリーグ2024」では4勝3敗の3位で終えた。井手口コーチは「7敗かなと思っていましたが、4勝3敗なので上出来です」と総括するも、「相変わらず弱いですね。勝ちきれないです」と不安を吐露。それでも「ディフェンスに関してはだいぶ良くなっています」と前を見据えた。

 今年は崎濱のみならず、河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)や轟琉維(東海大学2年)といった近年のOBのように、1人でコートを支配できる存在はいない。だからこそ、大会連覇へは昨年を上回る“超高速バスケ”を披露できるかどうかが問われる。

 泣いても笑っても残すは最大5試合。どのチームよりも速く、激しくコートで暴れ回り、2年連続の栄冠をつかみにいく。

文=小沼克年