【長岡一也=コラム「競馬白書」】◆出走取消のドウデュースは種牡馬に いよいよという段階に発表されたドウデュースの出走取消しに、ただただびっくりさせられた。有馬記念連覇で有終の美を飾るのかと多くが期待し、ファン投票で歴代最多の票数を集めてい…

【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆出走取消のドウデュースは種牡馬に

 いよいよという段階に発表されたドウデュースの出走取消しに、ただただびっくりさせられた。有馬記念連覇で有終の美を飾るのかと多くが期待し、ファン投票で歴代最多の票数を集めていたのが、全て無になってしまった。ただ一方で言えたことは、サラブレッドも生き物だから、今後の種牡馬という大事な役割を目前に、レースを止めたことで体調を整えることにゆとりを持たせられたことは、不幸中の幸いと見ておきたい。

 ただ、ドウデュースのこの秋の快走から、はっきり言えたことはあった。それはハーツクライ産駒の成長力のすごさだ。スローペースの天皇賞(秋)では、後方から2番手のポジションから鋭い脚を使って勝ち、続くジャパンCでは、やはり遅い流れを早目に追い上げ、直線半ばで先頭に立つという積極戦法で追いすがる各馬を抑えて勝利していた。5歳秋の本格化という通り一遍の言い方では物足りず、究極のハーツクライ産駒の成功例を見せてくれたと言っておきたい。

 有馬記念は世代交代が見えるレースでもあるが、3歳の有力馬が頭角をあらわすのも楽しみと言える。最近では、2年前のイクイノックスが忘れられない。キタサンブラック産駒で、皐月賞、日本ダービーの春のクラシックでは2着と涙を呑んだが、秋にうっぷんを晴らすように秋の天皇賞から有馬記念までも勝ち、3歳で日本一になっていた。

 その後も勝ち続けて、国内外のGI6連勝で、4歳秋のジャパンCを勝ってターフを去っていた。今はその産駒の活躍が待たれるが、このイクイノックスに日本ダービーで土をつけたのがドウデュースだった。

 それから2年経ち、今度は追う立場から追われる立場になっていたということだが、2年後輩の3歳馬と言えば、今回は菊花賞馬アーバンシックとダービー馬ダノンデサイルということになる。

 アーバンシックは秋に入って充実し、セントライト記念から菊花賞とレースセンスの良さを発揮していたが、イクイノックスに近づけるかどうか。楽しみなのが、スワーヴリチャードの産駒ということ。4歳で大阪杯、5歳でジャパンCを勝ったスワーヴリチャードはハーツクライの産駒。段々と力が増していくという血を受け継いでいくかもしれない。

 一方のダノンデサイルは日本ダービーを2馬身差で圧勝していた。秋初戦の菊花賞6着は、めまぐるしく変わるペースに翻弄されてのもので、最後は差をつめていたし、スムーズな流れなら、立ち回りのうまさが発揮できる。父がエピファネイアで、3年前にはその産駒エフフォーリアが3歳時に有馬記念を勝っている。この血統も芝の中距離で長く脚を使えるタイプが多く、ダノンデサイルの今後にも注目していきたい。

 あとは、牝馬の好走が多いので、その中では3歳牝馬のレガレイラを。牡馬相手にホープフルSを勝っているスワーヴリチャード産駒でどう進化していくか。

「走り切り この先抱く 夢さらに」