今年11月、福岡大学附属大濠高校(福岡県)の渡邉伶音(3年)はトム・ホーバスヘッドコーチ率いる「FIBAアジアカップ2025…

 今年11月、福岡大学附属大濠高校(福岡県)の渡邉伶音(3年)はトム・ホーバスヘッドコーチ率いる「FIBAアジアカップ2025予選Window2」の日本代表メンバーに選出。最年少ながら12名のロスター入りも果たし、日本代表戦デビューまであと一歩という段階まで辿り着いた。

 最大の魅力である身長は、現在206センチ。国内トップのビッグマンたちにも引けを取らない高さを誇る。福大大濠では1年生の頃から3ポイントシュートを放ち、片峯聡太コーチからは「すでに高校のトランジションにもついていけるようになっています」と評価を受けてきた。

「走り、ディフェンス、ドライブといったプラスアルファの動きを身につけて、中でも外でも点が取れて、力強くプレーできるようなオールラウンダーになりたい」

 渡邉自身は、高校に入学して間もないころからそう口にしていた。その後はU17、U19のFIBAワールドカップなどの国際舞台に出場。今年1月には特別指定選手としてライジングゼファー福岡に加入し、「Bリーグでの経験を通して自分のフィジカルを見つめ直すことができた」と今後の糧になる経験を積んだ。今では高さと3ポイントだけでなく、走力、力強さも兼ね備えるオールラウンダーに成長を遂げている。

 今夏のインターハイを振り返ると、チームは準決勝で美濃加茂高校(岐阜県)の前に屈した。「自分が相手の留学生を1人で抑えることができず、そのから派生したパス、シュートでやられてしまいました」。渡邉は大黒柱としての役目を果たせなかったことを悔いた。

「代表活動ではピック&ポップや3ポイントを打ち続けることが自分の役割ですけど、高校ではやっぱり中にアタックすることが自分の役割だと思っています」

 トーナメントを勝ち進めば進むほど、1本のリバウンド、ルーズボールといった球際の強さが勝敗を左右する。内外でプレーできる万能性が強みの渡邉だが、ゴール下を支配することができれば日本一にぐっと近づくはずだ。

文=小沼克年