第69回有馬記念(22日/GI、中山芝2500m)には、菊花賞馬のアーバンシック、ダービー馬のダノンデサイル、唯一の4歳世代ベラジオオペラなどが出走予定。なお、秋古馬三冠制覇に王手をかけラストランを予定していたドウデュースは出走取消となり、大本命不在のグランプリを迎えることとなる。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ディープボンド」を取り上げる。
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■ディープボンド
【中間調整】国内外GIIを4勝、GIでは2着4回の古豪。脚元のトラブルなどで長期休養を取ることもなくコンスタントに走り続ける、まさに無事是名馬を地で行く存在だ。今年は天皇賞・春で3着、前走の京都大賞典でアタマ差2着なら、いまだ力量に衰えなしと考えていい。昨年は京都大賞典(3着)→ジャパンC(10着)→有馬記念(15着)という臨戦過程で、今年も京都大賞典後にジャパンCないしアルゼンチン共和国杯を使う可能性があったようだが、決め手比べとなり分の悪い東京戦で消耗するよりは……ということで陣営は直行で4年連続での有馬記念参戦を決めている。
放牧先の大山ヒルズから11月21日に栗東へ戻り、24日の初時計から狂いのない調整が進んでいる。1週前追いはCWで大きく前を行く2頭を追う意欲的な内容で、直線ではズブく並んだ2頭とは手応えで見劣ってしまうがここ最近はこんなもの。鞍上・幸騎手も承知の上とばかり余念なく負荷を掛け、渋太く1頭に先着、1頭と併入としてみせた。5F65秒8(一杯)はこの秋最速の時計。
【最終追い切り】レース当週も幸騎手が騎乗し、CWで終い重点の単走。道中はベテランらしく落ち着き払って進んで行く。直線でやはりズブいが、グイグイと負荷を掛けられると馬はそれに応えていい伸びを披露した。体を大きく使えており、迫力は前走時を凌駕。
【見解】これで4年連続の有馬記念参戦。4歳時は凱旋門賞帰りでも若さゆえに回復が早かったようで、体調をしっかり整え2着。同様に凱旋門賞帰りだった5歳時(8着)は3歳時ほど中間の時計が詰まらず、状態面はいまひとつだったよう。くわえて大外16番ゲートの不利もあった。6歳シーズンの昨年(15着)は上述通り秋3戦目で、明らかにガス欠だった。それを考えると、今年は秋に1回使って中10週と回復期間もしっかり取る、理想的な臨戦間隔と言える。コース適性は4歳時に証明済みだし、状態面は上向き。有馬記念時の調整でCW5F65秒台を出すのは2着した2021年(この時は65秒7)以来だ。今春からコンビを組む幸騎手は完全に手の内に入れている感があるし、大駆けに警戒すべき。
総合評価「A」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。