第69回有馬記念(22日/GI、中山芝2500m)には、菊花賞馬のアーバンシック、ダービー馬のダノンデサイル、唯一の4歳世代ベラジオオペラなどが出走予定。なお、秋古馬三冠制覇に王手をかけラストランを予定していたドウデュースは出走取消となり、大本命不在のグランプリを迎えることとなる。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ベラジオオペラ」を取り上げる。

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■ベラジオオペラ

【中間調整】昨年春は皐月賞10着、日本ダービーは4着。菊花賞は夏負けの影響で見送り、半年ぶりの復帰戦が昨年12月のチャレンジCとなった。そこではプラス20キロと一気に逞しくなった姿で臨み、骨っぽい古馬相手に重賞2勝目を挙げている。今年は京都記念2着をステップに臨んだ大阪杯で2番手から渋太く押し切り、見事初のGIタイトルをゲット。続く宝塚記念は勝ちにいって早めに動く展開のアヤ、そして力を要する馬場の影響がありながら3着と踏ん張っている。今年の秋初戦だった天皇賞・秋はやはり夏負けが尾を引いて本調子になく、スタートで躓く不利もあったがドウデュースに0秒4差6着なら、やはり高い能力の証明と言えた。

その後はジャパンC、有馬記念といわゆる古馬王道3冠を歩む青写真だったが、立て直しを優先しジャパンCはパス。チャンピオンヒルズへ放牧に出され11月末に栗東へ戻っている。12月1日の初時計で準オープン馬相手に坂路併せ馬をこなしており、牧場での調整・回復は順調だったよう。2週前のCW3頭併せではかなり速いペースで進み、平然と追走し早めに抜け出す。そこからも鞍上の上村師が余念なく負荷を掛け、それぞれに1馬身ほどの先着を果たした。1週前追いは横山和騎手を背にまたCWで3頭併せ。速かった2週前追い以上のラップを刻むハードな内容だったが、巧みなコーナリングでインへ潜り込み、飛ばした外の2頭を突き放しての最先着とした。5F65秒0(一杯)は自己ベスト更新の時計。

【最終追い切り】レース当週はあらためて上村師が騎乗し、CWで併せ馬。負荷はここまでに十分過ぎるほどに掛かっており、今週は微調整程度で大丈夫。目標馬をキャッチアップする際に気持ちがグンと入ったようだが、そこで指揮官がしっかり我慢させる。直線でも力を溜めこむことを教えるように併走を続け、そのまま併入とした。少しでも促せば突き抜けそうな雰囲気にあり、精神面は最高潮の状態か。

【見解】「夏負けの影響があった」と陣営が認める前走時も見た目はある程度動けていたが、今回の中間は明らかにその時を上回る迫力ある動きを披露。併せ馬で相手を捕まえに行く際の気迫、そして一瞬の加速、いわゆる小脚の鋭さは惚れ惚れするものがある。最終追いは鞍上の指示を待てる理解力の高さも見せ、繰り返しになるが精神面で最高潮。もちろんジャパンCをパスし、いちばん走れる涼しい時期での調整で単純な体調面も過去最高レベルだろう。自在性、操縦性の高さが持ち味で今回の舞台はドンと来いのはず。距離も日本ダービーがタスティエーラにタイム差なしの4着なら、問題なくこなせるはずだ。不動の主戦・横山和騎手とのコンビで2つ目のビッグタイトル奪取となる可能性は大。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。