湧川裕斗(3年)が最も得意とする3ポイントシュートは、高い軌道から面白いようにリングに吸い込まれていく。広い視野から繰り出す…
湧川裕斗(3年)が最も得意とする3ポイントシュートは、高い軌道から面白いようにリングに吸い込まれていく。広い視野から繰り出すノールックパスのお手のもので、現在はドライブからのフィニッシュにも磨きをかけた。福岡大学附属大濠高校(福岡県) のエースガードとしてコートに立つ背番号13は、準優勝に泣いた前回大会から確かな成長を遂げて高校生活の集大成に挑む。
最上級生となった今年は、自ら志願してキャプテンに就任した。しかし、福岡県で開催されたインターハイでは準決勝で敗退。チームを地元優勝へ導くことはできなかったが、「ここで顔を下げて落ち込んでしまったら絶対にリベンジできないと思います。3年生がもっとチームを引っ張っていくという自覚を持って、絶対に日本一になりたいです」と静かに語った。
ウインターカップ制覇を成し遂げるため、湧川に最も必要なのは周りを巻き込む「求心力」。本人もそれは十分に理解していて、インハーハイや「U18日清食品トップリーグ2024」の取材エリアでも「求心力のある選手になりたい」と口にしている。
今大会は全体をまとめるキャプテンではなく、ゲームキャプテンという形でチームを引っ張る。とはいえ、湧川への信頼が薄れたわけではなく、同校の片峯聡太コーチはこう自論を述べる。
「いいチームではなく勝つチームになるためには、コートの中に求心力のある選手がいるかどうかはすごく大事な要素だと思っています。今年のチームは1年生からキャリアを積んでいる選手たちがそろっていますけど、コートの中では彼(湧川)が中心になるでしょう」
チームメートの髙田将吾(3年)は、「裕斗はプレーでも引っ張ってくれていますし、ダブルキャプテン制になったことで裕斗の負担が減ってチームに好循環が生まれていると思います」と手応えを口にする。
「最後は日本一で終わりたい」と意気込む湧川は、コートではあまり感情を出すタイプではない。だが、有終の美を飾るために自分の殻を破り、夏とは違う姿を見せてくれるはずだ。
文=小沼克年