ドウデュース(牡5、栗東・友道康夫厩舎)が秋古馬三冠制覇を目指してラストランを迎える第69回有馬記念(22日/GI、中山芝2500m)。昨年はタイトルホルダーが自分の競馬に持ち込み、前残りの流れとなったが、今年はそもそも逃げ馬が不在。鞍上・…

ドウデュース(牡5、栗東・友道康夫厩舎)が秋古馬三冠制覇を目指してラストランを迎える第69回有馬記念(22日/GI、中山芝2500m)。昨年はタイトルホルダーが自分の競馬に持ち込み、前残りの流れとなったが、今年はそもそも逃げ馬が不在。鞍上・武豊の仕掛けにすべてのジョッキーが注視するだろう。対ドウデュースの各陣営の思惑が交錯する。

ゲートを出てみないとわからないのが競馬だが、ダノンデサイル(牡3、栗東・安田翔伍厩舎)は自ら動いてロンスパ戦に持ち込みたいタイプだ。

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■長くいい脚を活かしたいダノンデサイル

菊花賞は2枠4番。内からロスなく立ち回れる好枠を手にしたと多くのファンが考えたが、結果は6着。内に閉じ込められ自分の競馬ができず、不完全燃焼に終わった。

「前走の菊花賞は、確固たる逃げ馬不在でスローペースこそ想定していましたが、内でごちゃついたのが全てでしたね。3歳で初の長距離、若さが響いた馬も少なくなかったですし、ダノンデサイルはそのあおりをもろに受けました。馬体重増に関しては、夏からの変化が著しかったのは確かですが、その分がレースに影響したかどうかは判断しづらい結果になってしまいましたね」(競馬ライター)

ただ、相当不利な流れで絶望的な位置から6着まで上がってきたレースぶりを見れば、やはりポテンシャルの高さは確かだ。鞍上の横山典は「かわいそうだった。これも競馬だし仕方ない内容」と、プロとして結果を受け止めながらも静かな悔しさが滲むコメントを残した。そんな一戦から、暮れのグランプリへ出走する。

「瞬発力勝負じゃどうか、ということもあって陣営は長くいい脚を活かしたいと話しています。ある程度の位置取りが想定されますし、自分から動いてドウデュースと武豊に真っ向勝負でしょう。武豊と横山典弘のガチンコ勝負となれば、いち競馬ファンとしてもたのしみです」(競馬ライター)

■“打倒ドウデュース”から生まれるスローペース

後半の持久力勝負へ持ち込みたい3歳馬がいる中、一発を狙うのがベラジオオペラ(牡4、栗東・上村洋行厩舎)だ。

前走・天皇賞秋は夏バテを引きずり状態不十分のなかでの出走。1枠1番を手に入れて先行する最高の形こそ取れたが、春のGIで見せた渋太さを示すことができずに6着に終わった。そこからしっかり間をあけて有馬記念に挑む。

「前走後は陣営が立て直しに注力し、今回は全然違うと太鼓判を押しているように、万全な状態で出走できそうです。調整はいつも通りのメニューですが、だからこそ違いも顕著に表れているのだと思います。ホウオウビスケッツやメイショウタバルが除外対象で、このメンバーになると枠の並びによってはハナを切ってもおかしくないですね。鞍上も鞍上ですし(横山和)。強力な末脚を持った馬を負かすには、前で凌ぎ切る走りをするしかない。その相手はドウデュースはもちろん、父が騎乗するダノンデサイルもでしょうね」(競馬ライター)

昨年の有馬記念もそうだが、この秋2戦は特に“打倒ドウデュース”のため、前が残るスローペース。天皇賞・秋は渋太さが武器のタスティエーラとホウオウビスケッツが2、3着。ジャパンCは逃げたシンエンペラーと途中からハナに立ったドゥレッツァが2着同着。逃げたことがないにも関わらず先手策を取ったシンエンペラー、自ら動いたドゥレッツァ然り、鞍上の好騎乗でもある。有力馬は差し馬に集中するものの、「ドウデュースが飲み込むから差し馬が台頭する」という結果には至っていない。むしろ逆で、強力な先行馬がいる時こそ、前が一掃されて差し追い込み馬の出番となる。イクイノックスが勝った有馬記念がまさにそうだろう。

「前に行く馬こそ鞍上の思い切りが重要で、レジェンドやベテランの父相手でも横山和騎手はそれができるジョッキーですよね。ベラジオオペラは距離への担保がない分、タイトルホルダーのようにひとり旅とはならないでしょうが、大阪杯ではローシャムパークにピッタリ併せられても微動だにしない精神力の持ち主。宝塚記念は、外々を回り確実に2200m以上を走っていますし、暮れのグランプリもこなせる可能性は十分ありますね」(競馬ライター)

ディープインパクトが2着した年は前にいたハーツクライが勝利し、レースは前残り。翌年ディープインパクトが勝った時も前残りのレースだった。最強の末脚と戦うには、やはり先行策は必須である。今回、前半スローのロンスパ勝負が濃厚となれば、ベラジオオペラがここでもアッと言わせる走りを見せてくれるのでは。

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