12月17日、スバル/STIは静岡県の富士スピードウェイにおいて、2025年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦する車両のシェイクダウンを実施し、その概要とシェイクダウン走行を報道陣とスポンサーに向けて公開した。 これまでチーム総監督を…
12月17日、スバル/STIは静岡県の富士スピードウェイにおいて、2025年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦する車両のシェイクダウンを実施し、その概要とシェイクダウン走行を報道陣とスポンサーに向けて公開した。
これまでチーム総監督を務めてきた辰己英治氏は、2024年1月に行われた東京オートサロンにて、24年大会スをもって引退することを発表。2025年からは新たな体制となり、沢田拓也監督が中心となってチームを率いる。参戦ドライバーの布陣についてはこの日の発表はなされなかったが、開発ドライバーは昨年同様に佐々木孝太と久保凜太郎が務め、この日の走行でもふたりがステアリングを握り、テストを行った。
マシンは23年に新たに導入したスバルWRXのVBH型に2.4L直噴ターボエンジンのFA24を搭載したマシンを継続して使用。2022年まではエンジンの排気量が2Lまでのターボエンジンのクラスで争われるSP3Tクラスに参戦し、23年からはエンジンの排気量が2Lから2.6L未満のターボエンジン搭載車で争われるSP4Tクラスにチェンジ、2年目の24年にクラス優勝を果たした。しかしながら、24年のニュルブルクリンク24時間レースはアクシデントや天候不良の影響で赤旗が長引き、走行時間は約7時間半ほどでレースは終了している。総合トップのマシンでも周回数は50周のみと、史上最短の24時間レースとなり幕を閉じている。
25年は『究極の運転が上手くなる車』をスローガンに、パフォーマンスと信頼性を向上させた。具体的には燃費改善、吸入効率の向上を目的としたエアリストリクター径の拡大を行い、燃料消費率を2%改善し、吸入空気温度を4°C低減。オルタネーターの負荷軽減を狙い小型リヤデフ電動オイルポンプの採用、耐久性を確認のためにニュルブルクリンク24時間レースの2レース分の距離を走行実績として持つ、インコネル材を使用したエキゾーストマニホールドの導入など継続したアップデートが行われている。
空力面ではウイングステー&翼端板に新形状を採用し、フロアパネルを導入。ニュルブルクリンクの独特のコース特性と速度域を分析し、効果的にダウンフォースを得られる形状を追求している。ホイールは市販車の特別仕様車にも織り込んだ技術の追求を目的とし、タイヤ接地面積増加による操安性を向上し、インナーリム形状を昨年から改良している。
また、ここ3年間は5月中に行われていたニュルブルクリンク24時間レースだが、25年は6月後半での開催となるため熱対策を講じ、エキゾーストの遮熱カバーを追加。合わせてドライバーの冷却システムを一新して初夏に行われる24時間での長期戦に挑む。カラーリングは昨年同様トップチェッカーを受けるためのチェッカーフラッグをモチーフとしているが、24年の優勝と、次も一番を目指すという意味も込めて日本最高峰である桜の富士山が意匠として取り入れられている。
沢田拓也監督は24年の優勝を振り返りながらも「優勝はできましたが、実質7時間半しかレースで戦うことができませんでした。25年こそはしっかりと24時間を走りきって、ノートラブルで耐久性の証明、信頼性の証明、そして速さの証明をしていきたいと考えています。新チーム体制でチーム一丸となってで協力し合い絶対優勝できるように頑張ります」と新チームの結成と意気込みを語った。
ニュルブルクリンク24時間レースは24年よりインターコンチネンタルGTチャレンジの1戦となり、ますます競技のレベルが向上しており、開催の季節も初夏になり熱対策が必要になってくるなど、25年も難しい戦いが想定される。24年のニュルブルクリンク24時間レースのオンボード中継の人気ランキングでは、GT3マシンによって争われるトップクラスのSP9のマシンに割り込んだ3位に位置しているだけあって、世界中のスバルファンの期待に応える走りが求められる。
25年のニュルブルクリンク24時間レースは6月19日~22日にかけて行われる。