難しい“投げる動作”を少年野球を熟知する指導者が解説…まずは上半身の動き改善から 怪我を防ぎ、ピッチング向上に繋げるためには何が必要なのか――。指導野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が16日、投げ方に悩む選手、指導者た…
難しい“投げる動作”を少年野球を熟知する指導者が解説…まずは上半身の動き改善から
怪我を防ぎ、ピッチング向上に繋げるためには何が必要なのか――。指導野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が16日、投げ方に悩む選手、指導者たちに向けた5夜連続のオンラインイベント「投球指導week」をスタート。少年野球指導で実績のある指導者・トレーナーによって、“正しい投げ方”をマスターできる指導法や練習ドリルが紹介された。
5夜連続で行われるイベント初日第1部は、約20校の中学・高校の野球部をサポートするトレーニングコーチの塩多雅矢さん、ゲストコメンテーターとして野球塾「Perfect Pitch and Swing」代表の長坂秀樹さんが登場した。子どもたちの投げ方を見ていて気になる点は、「肘の高さが上がってこない、手のひらが上を向くこと」だという。
野球の基本でもある“投げる動作”に不安要素があると、上のカテゴリーになるにつれ活躍機会は失われていく。だからこそ、なるべく早い段階から癖のない投球動作を身に付ける必要がある。そこで、塩多さんが大事にしているのが、上半身の使い方。腕は胴体についている“付属品”としてイメージするのがいいという。
塩多さん、まず胸郭の可動域を広げるドリルを紹介。うつぶせになり、利き腕をグーの形にし、耳の横で地面に立てて、もう片方の手は腰の上に置く。その体勢のまま、立てた肘の方向に利き腕を真上へ上げることで胸郭部分が広がっていく。その後は立った状態でも同じ動作を繰り返す。胸郭の可動域が広がっていくと下半身を使う際の捻転差や、打撃での割れにも繋がっていくという。長坂さんも「野球だけでなく、その他のスポーツにも重要な体の使い方」と指摘した。
投げる動作は「先に胴体が動き最後に手が動くので、フォロースルーが大きくなる」
最後に塩多さんは「スポーツ選手である以上、普段の動きと切り替えないといけない。末端(腕)が動くと、中心(体の)が動く必要がなくなってしまう。中心が動く目的は末端を動かすため。手投げになってしまう子はまさにそれ。先に胴体が動き最後に手が動くので、フォロースルーが大きくなることが、正解に近いと思います」と、投動作の基本的な流れを説明していた。
第2部では最速155キロを誇るピッチング専門指導者の内田聖人さんが登場。投球時に避けたい、肘の使い方として「肘が抜ける動作(リリースの際に顔より前に肘が出て投げる動作)。ダーツのような投げ方。そうなると、肘を伸ばす動作だけで投げるため力も弱く、怪我にも繋がります」と注意を促した。
肘抜けを防ぐドリルとしては“ハイタッチ”を推奨。2人1組になり、互いにハイタッチの体勢で手を押し合う。手だけ、腕だけで押すのではなく、お腹を使って押すのがポイントだ。次に、1人はリリースポイントに手を挙げ、もう1人の投げ手側はその場所をめがけて手を叩いて押す動作を繰り返す。注意点は顔の横で押すイメージ。顔の前で押そうとすると肘が先に出て、力のロスに繋がってしまうという。
ピッチングは下半身からというが、小学生レベルなどまだ意識づけが難しい場合は上半身の体の使い方から見直すのも一手だ。イベントでは視聴者から多くの質問も届き、指導者たちが悩みに応える場面もあった。野球初心者から上級者までの悩みを解決する「投球指導week」は20日まで開催される。(First-Pitch編集部)