【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬【ストリートクライ】 ゴドルフィンの持ち馬としてドバイワールドCを勝ちました。種牡馬としてはゼニヤッタ(米年度代表馬、北米で20戦19勝)、…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【ストリートクライ】

 ゴドルフィンの持ち馬としてドバイワールドCを勝ちました。種牡馬としてはゼニヤッタ(米年度代表馬、北米で20戦19勝)、ウィンクス(豪43戦37勝、G1勝利数25勝は世界記録)という2頭の歴史的女傑をはじめ、ストリートセンス(ケンタッキーダービー)、ストリートボス、ニューイヤーズデイ、プライドオブドバイなど、芝、ダート、オールウェザーを問わず多くの名馬を出しました。

 母の父としても素晴らしく、香港の歴史的名馬ロマンチックウォリアー、G1を7勝したレベルスロマンスなどを出しています。

 父は名血マキャヴェリアン、母ヘレンストリートは愛オークス馬、という良血で、ストリートクライの全姉の仔に名種牡馬シャマーダル(ロペデヴェガ、ブルーポイント、タルナワなどの父)がいます。

 ストリートクライと、全姉の仔シャマーダルを通じ、この血脈は現代血統に大きな影響を及ぼしており、その重要性は時間が経つにつれてますます大きくなるでしょう。香港競馬の新たなスプリント王カーインライジングの母方にもストリートクライの血が含まれています。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「来年から新たに供用されるパールシークレットについて教えてください」

 イギリスからの輸入種牡馬で、来年から新ひだか町のアロースタッドで供用されます。輸入種牡馬としては異例の15歳(種付け時は16歳)という年齢もさることながら、父系をさかのぼるとサラブレッド父系の三大始祖のひとつバイアリーターク系に到達することも話題となっています。

 バイアリーターク系はヘロド系(4代後に現れた直系子孫の大種牡馬)とも称され、19世紀前半までは三代始祖のなかで最も勢いがありました。1721年から1820年までの100年間で、バイアリーターク系種牡馬は英チャンピオンサイアーの座に40回就き、ゴドルフィンアラビアン系の24回、ダーレーアラビアン系の14回を上回っていました(その他の22回は三代始祖以外の系統)。

 しかし、時代が下るにつれて勢力が弱まり、現在では世界的に見てもほとんど核となるような種牡馬が見当たらず、絶滅の危機に瀕しています。

 日本ではセフト、パーソロン、ダンディルート、ブランブルーなどが好成績を挙げ、とくにパーソロンはシンボリルドルフとトウカイテイオーの親仔、メジロアサマ、メジロティターン、メジロマックイーンの親仔孫などを出しました。トウカイテイオーの仔クワイトファインが日本に現存する最後のバイアリーターク系種牡馬(メジロマックイーンの仔ギンザグリングラスは昨年12月に死亡)だったのですが、そこに現れたのがイギリス産のパールシークレットです。

 現役時代にテンプルS(英G2・芝5ハロン)を制覇。父系はコンプトンプレイス→インディアンリッジ→アホヌーラ→ロレンザッチオ→クレイロン→クラリオン→ジェベル→トゥールビヨンとさかのぼります。日本だけでなく世界的にもきわめて貴重な系統。ぜひ注目です。