プロテインやサプリメント、アパレル、フィットネスジムなどを展開する『VALX(バルクス)』は、フィットネス業界において急成長を続けている。ボディビル界レジェンド山本義徳氏とタッグを組み、3期連続の増収、約4年で1360%成長するなど、もっと…

プロテインやサプリメント、アパレル、フィットネスジムなどを展開する『VALX(バルクス)』は、フィットネス業界において急成長を続けている。ボディビル界レジェンド山本義徳氏とタッグを組み、3期連続の増収、約4年で1360%成長するなど、もっとも勢いのあるフィットネスブランドとなっている。

今回は、この会社を作り上げ、牽引している只⽯昌幸(ただいしまさゆき)社長にインタビューを実施。幼少期から波乱万丈な人生を歩んできた只⽯社長から、 “ピンチな状況”を切り抜ける考え方を学んでいきたいと思う。

はじめに伝えておきたいことがある。

この社長、“超破天荒”である。荒波を乗り越えてきた“猛者”でもある。悩み苦しむ小羊たちは「タフすぎて真似できない考え方だ」と思うかもしれないが、ぜひ読み進めてみてほしい。

新たな視点に気付くきっかけになると思うし、それがピンチを乗り越える鍵になるんじゃないかと、筆者は考えているからだ。全8回でお届けする。

只⽯社長の人生ヒストリー

幼少期

超資産家の家に生まれたが、会社倒産により借金生活へ。只石家の家訓は『起業だけはするな』、安定した大企業へ就職するよう徹底的に教育される

学生時代

やさぐれていたが担任の言葉で覚醒し、猛勉強を始める。やさぐれ仲間から壮絶ないじめを受けながらも志望校合格

就活生時代

大学入学で燃え尽き、就職氷河期で軒並み落ちまくるが、一通の手紙をきっかけに猛勉強、超大手キーエンスへ入社

キーエンス時代

入社で燃え尽き、虚無リーマンに。3年で退職し、無職生活となる

アメブロはじめました

元同僚のアドバイスでアメブロを始める。ここでも覚醒し、人気ブロガーに。サイバーエージェントの藤田晋社長に偶然出会い、声を掛けたことをきっかけにトップブロガーへと成長

ブログコンサル会社設立

ブログコンサル会社を立ち上げたが、全社員から一斉に退職届を出され、紆余曲折あって持ち直す。空手も習い、イイ感じに

ビジネスが当たり始める

ダイエットコンシェルジュ、トレーナー養成スクールが波に乗り、山本義徳氏とタッグを組んでフィットネスブランド「VALX(バルクス)」を作る

現在

業績がアップし続けており、今に至る

──荒れていた中学時代、変わることができた“きっかけ”は?

編集部:両親から『起業は絶対にするな、大企業に行け』と強く教えられ、勉強漬けの日々が続いていたと聞きます。

その反動か、中学時代は荒れていたそうですが、担任の先生から言われた“ある言葉”が人生のターニングポイントになり、一変して猛勉強を開始したと聞きました。

担任の先生や親からいろいろと言われてもまったく響かない、届かない子どももいると思うのですが、只石社長の場合、なぜ担任の先生の言葉が“響いた”のでしょうか。

只石社長:親から「成績悪いままだとひどい人生になるぞ」と否定されてきた中で、担任の先生だけが自分を褒めてくれたんです。しかも褒め方が、僕が本を読んでいるとか、脳の使い方や会話の仕方とか、僕のことをちゃんと見ていてくれたっていうのが、響いた理由だと思います。

もし担任の先生が、何の根拠もなく「お前はやればできるんだからもったいないぞ」って言っていたなら、響いてなかったかもしれない。普段努力しているところを見つけて、その人自身を褒めてあげたほうが響くんじゃないかなと思いますね。


編集部:そういった、きちんと自分の中を見てくれる先生や親がいない環境で、学校がつまらない、行く意味が見つからないなとか思ってる子どもは、どうやったらその状態を抜け出せると思いますか?

只石社長:僕、たくさんの若い子たちの前で話す機会があって、質疑応答で個別にお話しさせてもらったんですけど、世の中の人たちって成功体験を受け止めずに生きている人が多いなと思っています。

キーエンスに行って起業もして、みたいな成功体験があるからこそ、只石さんみたいな強い人になれるじゃないですか、って。

別にキーエンスや起業レベルじゃなくていい。たとえば「最近めっちゃ嬉しかったことはなに? えっ、その内容めっちゃ成功体験じゃん」みたいな(会話をした)。(相手は)「このレベルだとちっちゃくて成功体験じゃないです」とか言うけれど、いやちっちゃくないから! って。本当に自己肯定感が低すぎるように思いますね。

僕は、自己肯定感が低いと“頑張るエネルギー”を放出できないような気がするんですよ。どうせ頑張ったって、どうせ自分なんて、なんて言っている人は、努力なんかできないような気がしてて。

僕の場合、「この努力を重ねてたらいけちゃうんじゃないの」っていう感覚の根底には、今までの努力の結果、こんなにできてきたよねっていう“成功体験のコレクション”があるんですよね。


編集部:自己肯定感が低めで、学校つまんないなって思っている子どもの親は、どうやって子どもをフォローしたらいいと感じますか?


只石社長:僕が大事にしていることなのですが、僕、社員と接するとき、その社員本人よりもその子のことを信じて接するようにしています。

たとえば、ちょうど隣にいる広報の吉田は、もともと歯科助手でした。広報の勉強もしたことないし、やったこともない。採用時も労務で入ってきたんですよ。にもかかわらず、僕がX(旧Twitter)で、日本一の広報室を作りたいから広報経験者集まれって投稿したら、社内から声が上がったんです。

未経験です、いま労務です、でもやりたいですって言うから、僕は絶対できると思って彼女に任せたんですよね。そしたら今じゃ広報業界の中において結構目立っている部類に入ってると思うんですよ。

なぜそこに入れたかというと、もちろん彼女の絶え間ない努力もありますが、やっぱり相手を信じられたという点は絶対あるはずなんですよね。そこに対して、「何だよ、お前全然ダメじゃん」「広報って売上どれくらい貢献してるの?」っていうのは絶対やっちゃいけないコミュニケーションだと思った。

僕は、広報を立ち上げるにあたってルールを決めたんですよね。今はちょっと変わりましたけれど、広報がリリースするものにはURLは付けない、そして売上は気にしないって。で、マーケティングチームには「広報がやっていることは未来の売上を作っていくことなので、今月の売上は期待しないでくれ」と社内告知したんですよね。

一般的に、広報って肩身が狭いことが多い。売上貢献度を問われてしまって、とかよく聞いていたから。でも僕は、広報ってVALXにめちゃくちゃ大事だなって思っていた。広告費もそれほど使っていないので、広報とSNS、この2軸がVALXの未来を作ると思っていた。

だからそういう(売上至上主義ではない)環境を作ってあげるのが当然だと思っていたんです。


次回へ続く

プロフィール

只石昌幸(ただいし・まさゆき)

群馬県出身。群馬県立高崎高校より、法政大学経営学部へ。株式会社キーエンスを経て、起業。2006年、株式会社レバレッジを創業。WEBサイトの受託からスタートさせるも、Blogブームに乗って、こだわり社長のニックネームで独自のグルメブログを展開し、自身のアメブロがアクセス数において、アメブロ日本一に。2016年より自社メディア『ダイエットコンシェルジュ』を開始、パーソナルジムのマッチングメディアとして日本最大規模に成長。2019年よりフィットネスブランド『VALX』を山本義徳先生とともに開始。ブランド開始から約5年で、ブランド累計販売数550万個突破、プロテインの累計販売食数は1億3千万食を突破する。35歳の時、趣味で始めた極真空手も優勝8回、世界シニア大会8位を受賞。X(旧Twitter)フォロワー数5.2万人。
・X公式アカウント  https://x.com/kodawari_ceo

<Text & Photo:編集部>