2025年6月に、FIFAクラブワールドカップが開催される。新方式となる大会には、日本から出場する浦和レッズを含め、世…

 2025年6月に、FIFAクラブワールドカップが開催される。新方式となる大会には、日本から出場する浦和レッズを含め、世界中から数多くの強豪クラブが参戦する。世界のトップスターが火花を散らす手に汗握る大会となることは間違いないが、その一方で、選手たちの選手生命を脅かす危険性もあるという。サッカージャーナリスト大住良之が警鐘を鳴らす!

■選手を「消費する」大会

「ワールドカップのプレ大会」としては、2019年まで代表チームによる「FIFAコンフェデレーションズカップ」が開催されていた。しかし、出場は8チームで、大会期間は2週間程度だった。新たなFIFAクラブワールドカップ(以降、FCWC)は32クラブが出場し、1か月間の大会となる。その違いは大きい。

 サッカーは数あるスポーツのなかでも世界で最多の競技者とファンを持ち、今や巨大な「産業」と言っていい。そして、その最大の財産が「選手」であるのは間違いない。選手が夢のようなプレーを披露することで、現代のこの産業は成り立っているからだ。その選手たちを「消費」し尽くしてしまうのが、FCWCなのである。

■次のオフは「2027年」

 FCWC出場チームの顔ぶれでわかるように、欧州から出場する12クラブは多くの代表選手を抱えており、その選手たちは、2年に1度、ようやく訪れるはずの「オフ」のひとつを、新たな試合日程で塗りつぶされてしまう。具体的に言えば、2023年の夏に2か月間のオフをとって以来、世界のトップクラブの数多くの選手が、2027年の夏まで、丸4年間、休むことなくプレーし、試合をこなさなければならないことになるのである。こんな馬鹿げたことがあっていいのだろうか。それが、世界のサッカーを統括するFIFAの仕事なのだろうか。

 世界のトップスターたちの選手生命を脅かす「32チームのFIFAクラブワールドカップ」は、速やかに中止しなければならない。世界中のクラブが「世界一」に挑戦するチャンスをつくるなら、これまであった形式のFCWC(6地域連盟のチャンピオンとホスト国枠1クラブ、計7クラブによるノックアウト方式の短期大会)で十分だ。

■自殺行為に「等しい」愚行

 日本ではほとんど報道されていないが、「旧形式のFCWC」は今年から新名称の下で行われている。「FIFAインターコンチネンタルカップ」は、6地域連盟のチャンピオンクラブが出場し、1回戦はアジア×オセアニア、その勝者が2回戦でアフリカのチャンピオンと対戦、もうひとつの2回戦(南米×北中米カリブ海)の勝者と「プレーオフ(準決勝)を戦い、その勝者が決勝戦で欧州チャンピオンのレアル・マドリードに挑戦するという、かなりゆがんだ形ではあるが…。

 南米代表(ボタフォゴ)がからむ2回戦と、プレーオフ、決勝は12月にカタールのドーハで開催されるが、他の2試合は9月と10月にすでに終わっており、エジプトのアルアハリがプレーオフ進出を決めた。まことに「ご都合主義」的な大会だが、現状の日程のなかでは、クラブの世界チャンピオンを決める大会をするとすれば、これぐらいが精いっぱいと言ってよい。

 6月から7月にかけ、欧州の12クラブを含む32クラブを出場させて行う「新しいFCWC」には、どう考えても無理がある。これを強行することで世界のトップレベルにある選手たちを「4年に1度」しか休めない状況にしてしまうのは、サッカーにとって「自殺行為」に等しい。こんな愚行を許しておいてはいけない。

いま一番読まれている記事を読む