GIIIサウジアラビアロイヤルCを快勝したアルテヴェローチェ photo by Sankei Visual 今年の2歳戦線も期待の素質馬が続々と登場している。とりわけ、「今年は牡馬のほうが(素質馬が)多い印象」と日刊スポーツの木南友輔氏が言…


GIIIサウジアラビアロイヤルCを快勝したアルテヴェローチェ

 photo by Sankei Visual

 今年の2歳戦線も期待の素質馬が続々と登場している。とりわけ、「今年は牡馬のほうが(素質馬が)多い印象」と日刊スポーツの木南友輔氏が言うように、牡馬戦線で今後が楽しみな質の高いメンバーがそろっている。

 そうした状況のなか、2歳GIの朝日杯フューチュリティS(京都・芝1600m)が12月15日に、ホープフルS(中山・芝2000m)が12月28日に行なわれる。

 まず注視したいのは、朝日杯FS。昨年の勝ち馬ジャンタルマンタルはその後、GI皐月賞(中山・芝2000m)で3着と好走したあと、GINHKマイルC(東京・芝1600m)で戴冠を遂げた。

 また、2021年の覇者ドウデュースは翌年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制覇。古馬となってからも、昨年のGI有馬記念(中山・芝2500m)、今年のGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)、GIジャパンC(東京・芝2400m)と、GIの勲章を立て続けに手にしている。

 はたして、今年もそういった大物が出てくるのか。多くのファンが期待を膨らませている。そんな注目の一戦を前にして、現時点での2歳牡馬を対象にした『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 5位には、サトノシャイニング(牡2歳/父キズナ)が入った。2戦1勝の同馬だが、前走では東スポ杯2歳Sでクロワデュノールの2着と奮闘。まだ底を見せていない。

吉田氏
「500kg近いキズナ産駒でつなぎは少し短めですが、クッションがあり、長くいい脚を使えます。新馬戦(9月22日/中京・芝2000m)はスローペースを好位で我慢し、直線に入ってシャープな末脚を駆使して完勝しました。

 2戦目の東スポ杯2歳Sでは、スタート後に少しハミをかんでしまってハナを奪う形に。このあたりは今後の課題となりますが、マイペースで運んで直線ではクロワデュノールと叩き合いを演じました。前半の力みが多少影響したのか、最後は力尽きましたが、行き脚のよさを武器に世代上位の力量は示しました。

 まだ精神面やトモ腰に成長の余地を残しており、成長次第ではクロワデュノールにも肉薄できるでしょう。先々が楽しみな1頭です」

 4位には、こちらも2戦無敗のアルテヴェローチェ(牡2歳/父モーリス)がランクイン。同馬は前走、粒ぞろいのメンバーが集ったGIIIサウジアラビアロイヤルC(10月5日/東京・芝1600m)を快勝している。

伊吹氏
「11月24日終了時点の本賞金は4020万円で、JRAに所属する現2歳世代の馬としては、エリキング(5620万円)、クロワデュノール(4520万円)、パンジャタワー(4520万円)、ランフォーヴァウ(4350万円)に次ぐ単独5位。なお、一走あたり賞金は2010万円で、クロワデュノール(2260万円)、パンジャタワー(2260万円)に次ぐ単独3位です。

 やはりデビュー2戦目で重賞を制した点は高く評価するべきでしょう。母のクルミネイトは勝ち上がりを果たせないまま現役生活を終えましたが、母の全姉クルミナルは2015年の桜花賞で2着、オークスで3着と健闘した実績のある馬。血筋も悪くありません。

(出走予定の)朝日杯FSは、実績や距離適性を素直に評価したいレース。JRA、かつ1500m超、かつオープンクラスのレースにおいて1着となった経験がある馬は、2018年以降に19頭いて3着以内11回、3着内率57.9%です。基本的にキャリアの浅い馬が強いレースでもありますから、無理に逆らう必要はありません」

 3位に入ったのは、マジックサンズ(牡2歳/父キズナ)。同馬もデビュー2連勝中の無敗馬。前走ではGIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)を勝利。先週のGI阪神ジュベナイルフィリーズを制したアルマヴェローチェを下している。

土屋氏
「母コナブリュワーズ、その母アンブロワーズはともに北海道の芝を得意としていた、いわゆる洋芝巧者。マジックサンズも函館の新馬戦(7月7日/函館・芝1800m)、札幌2歳Sと連勝を飾って、その血を引いている印象が強いです。

 そして、勝った2戦はいずれも渋った馬場。そういう意味では今後、いかに速い芝に対応できるかが躍進へのカギとなります。それでも、札幌2歳Sで下したアルマヴェローチェが阪神JFを勝ったことから、楽しみのほうが大きいです」

つづく>>