現役ドラフトで加入の内間拓馬は今オフ広島から戦力外通告を受けた 何度でも這い上がってみせる。沖縄県内で行われている「ジャパンウィンターリーグ」に内間拓馬投手が参加している。現役ドラフトで入団した広島を今オフに戦力外となった26歳の右腕は、再…
現役ドラフトで加入の内間拓馬は今オフ広島から戦力外通告を受けた
何度でも這い上がってみせる。沖縄県内で行われている「ジャパンウィンターリーグ」に内間拓馬投手が参加している。現役ドラフトで入団した広島を今オフに戦力外となった26歳の右腕は、再起に燃えている。
内間は2020年にドラフト4位で楽天に入団。2023年オフには第2回現役ドラフトで広島に移籍したが、今オフに戦力外を通告された。広島では中継ぎとして期待されたが、2軍で29試合に登板し防御率は4.00、1軍での登板はゼロと結果は残せなかった。
楽天時代は150キロを超える直球を武器に、1年目には11試合に登板したが徐々に登板機会を減らした。結果を出すためにもがき続けるなか、2023年オフに今江敏晃前監督からサイドスローへの転向を提案された。「練習でもたまに投げていたので、それを見て挑戦してみたらどうだと提案してもらいました。(転向は)悲観するような事ではなくて、楽天で生き残るための決断でした」。
しかしそんな挑戦は1本の電話で終わりを告げた。「電話が急にかかってきて、現役ドラフトでカープに移籍することになったから、スーツで来てくれと」。突然の通告に驚きを隠せなかった。「チームメートの誰も何の情報も無かったので……驚きでした」。
サイドへの転向は完全にオフ期間の挑戦だったため、広島側は知らない。サイドスローの挑戦は白紙に戻し、移籍の準備をした。「最初はシンプルにどうしようかな、という感じでした。でもまだ片足を踏み出したくらいでしたし、広島はオーバースローで伸び悩んでいた選手が育ってきた実績も知っていたので。そんな球団に行くなら上から投げる方がいいなと判断したんです」。
広島1年目で悟った現実「戦力外だろうな」
全く迷いはなかった。むしろ新たな自分に出会えるチャンスをもらえたことに喜びすら感じていた。
「よく、サイドに変更させられたのにまた戻されてかわいそうとか、じゃあサイドのまま広島へ行けばよかったんじゃないかという意見を目にすることがあります。ですがそんなことは無いんです。提案してもらえるくらい目をかけてくれた楽天にも感謝していますし、広島でチャンスを掴み取ろうと自分で判断したことなので」
しかし、再スタートを切った広島でも“状況”は変わらなかった。「正直、戦力外だろうなという感じでした。チームの戦力と自分の成績を見ていれば当然というか、仕事をしていない選手に給料は払わないだろうと。1軍で投げていないわけなので……」。
現役ドラフトで成功をつかみ取れるのはひと握り。結果が伴わなければわずか1年でも首をきられる世界だ。それでも「現役ドラフトは全くマイナスな事はなくて。楽天の時はコロナ禍でチームメートと食事に行く機会も少なかったですが、広島では先輩方と共にする事も多くて。勉強になる部分も多かったですし、チャンスもいただいてきたので」と現実を受け止め、感謝を口にした。
もちろん悔しさはある。それでも下を向いている暇はない。今はオーバースローで投げているが、球団が望めばサイドスローへ再転向も受け入れる覚悟だ。これから先のことはまだ何も決まっていない。海外に出る可能性も口にする。不安だらけな状況も「ちょっと楽しんでいます」。試行錯誤を重ね、様々な経験を乗り越えていく26歳の顔に後悔の文字はない。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)