Jujuインタビュー 後編(全2回) 2024年シーズン、国内最高峰のスーパーフォーミュラ(SF)に日本人女性初、史上最年少の18歳でデビューを果たしたJujuこと、野田樹潤。インタビュー後編では、2025年シーズンの活動や今年から通い始め…
Jujuインタビュー 後編(全2回)
2024年シーズン、国内最高峰のスーパーフォーミュラ(SF)に日本人女性初、史上最年少の18歳でデビューを果たしたJujuこと、野田樹潤。インタビュー後編では、2025年シーズンの活動や今年から通い始めた大学生活について聞く。
2025年の展望や大学生活について語ったJuju
【今後の活動を模索中】
ーー鈴鹿サーキットでのSF最終戦で「2025年の活動についてはまだ決まっていない」と話していました。Jujuさん本人の希望は?
Juju(以下同) 残念なことに今シーズン一緒にやってきたTGM Grand Prixが2025年シーズンはSFに参戦しないと、最終戦の直前に聞かされました。1年間、ドライバーとしての経験を積んで勉強して、2年目をどう歩み出していこうと考えていた矢先の出来事だったので、正直どうしたらいいんだろう......という気持ちです。2025年に関してはまったくの白紙の状態です。
2024年は多くの方に応援してもらって、いろんなことを学んだので、それを来年のSFで活かせるようにしたいという気持ちは当然あります。でも、国内でシートが見つけられない場合は、ヨーロッパに行く選択肢もあるかなと思っています。
ーーF1や電気自動車のフォーミュラEなど、世界選手権と呼ばれるカテゴリーで活躍できるドライバーになりたいと公言されていますが、世界耐久選手権(WEC)なども選択肢に入っているのですか?
いつかWECやスーパーGTなどにもチャンスがあれば乗りたいとは思っていますが、現時点ではF1やフォーミュラEなど、フォーミュラカーのレースで走り、自分の力でどこまでいけるのか、挑戦したいです。
ーーヨーロッパではF1チームが協力し、女性ドライバーを対象としたフォーミュラカーシリーズ、F1アカデミーも2023年シーズンから開催されています。活動の選択肢としては考えていますか?
F1アカデミーで使用しているマシンはF4です。せっかく今、SFというレベルの高いマシンに乗っているので、あまり魅力を感じないというのが正直なところです。
ーー近年のフォーミュラカーレースでは、自動車メーカーやF1チームの育成プログラム出身のドライバーが活躍しているケースが多いです。育成プログラムに興味は?
自分のチームで活動したいとか育成に入りたくないとか、そういうこだわりはとくにありません。もちろん育成プログラムに入ることでいい面もあると思いますが、反面、いろいろ縛られる部分もあります。よし悪しがあるので、マネジメント側と話し合いをして、いろいろ模索中です。
【新しい友だちとの時間でリフレッシュ】
ーー自身が目指しているF1では、どんなタイプのドライバーが好きですか?
F1は毎戦見ていますが、フェルナンド・アロンソ選手が好きです。アロンソ選手の戦いを見ていると、レースを楽しんでいるなって伝わってきます(笑)。いつもメンタルトレーニングの先生から「楽しんで走ること」とアドバイスを受けているのですが、アロンソはいつも落ち着いていますし、楽しむことを一番実践できているドライバーだと思います。そこは心から尊敬しています。
ーー今年から大学生になり、プライベートでも環境が変わったと思います。大学生活は楽しんでいますか?
レースやトレーニングに加え、ありがたいことにメディア取材やイベントなどもありますので、その合間をぬって学校に行っているという感じです。同じ学年の他の学生と比べると出席日数は少ないとは思いますが、なるべく行くようにしています。
今まではヨーロッパでレースしていたので、同年代の、とくに女性の友だちがなかなかできませんでした。でも、大学で新しい友だちができ、交流する機会も増えました。大学にいる時は友だちと一緒にしゃべったり、ごはんを食べたり、そういう時間は楽しいですし、いいリフレッシュになっています。
私が通っている日本大学のスポーツ科学部には五輪出場経験のある学生や次の五輪代表候補の方もいます。同じアスリートとしてすごくいい刺激になっています。
ーー今日はサーキットでの姿とは異なり、すごくおしゃれな雰囲気です。最近はファッションにも興味が出てきたそうですね。
日本に帰ってきてから洋服やメイクにも興味を持つようになりました。ヨーロッパにいる頃はサーキットにしか行きませんでしたが、日本ではイベントや取材も多いので、ちゃんとしておかなければと思って(笑)。
ーー2024年はレースの世界でもSFに参戦し、プライベートでも大学にも通い始め、いろんな新しい経験ができ、すごく充実した年になったんじゃないですか?
そうですね。今までとはまったく違った環境のなかでレースをすることで、いろんなことを学び、経験して、人間として大きく成長できた一年だと感じています。これまでずっと家族とともにヨーロッパで活動しましたが、今年はSFに参戦し、ありがたいことにたくさんのメディアの方に取り上げていただき、スポンサーやファンの方にも応援してもらいました。
皆さんと直接、触れ合えたのは初めてでうれしかったですし、SFの人気投票「推しドラ部門」で1位をいただけました。この賞は、ファンの方がいなければ絶対に取れません。本当にたくさんの方に応援していただいている証そのものだと思いますので、感謝の気持ちしかありません。
【今できるベストを積み重ねていく】
ーーいろんなことがあった2024年で一番印象に残っている出来事は何ですか?
やっぱり一番心に残っていることと言えば、国内トップのSFに参戦し、シーズンを通して成長できたことです。なにかひとつ特別な出来事があったというわけではないですが、私にとっては一つひとつのレースが本当に濃い内容でした。
SFの参戦はドライバーとしてすごく大きなステップアップになりますが、自分自身すごく難しいチャレンジになるだろうと覚悟はしていました。これまで出場したレースでは基本的に上位を争えることが多かったのですが、同じようにはいかないだろうと。
実際シーズンが始まると、予想していたとおり、難しいレースが続きました。とくに前半戦は、正直言って、かなり苦しい時もあり、厳しいご意見をいただきました。でもデビュー戦から最終戦まで、見つけた課題を一つひとつクリアしていくことを繰り返していくなかで結果的に自分自身の成長にもつなげられたと感じています。
photo by JRP
ーー最後に、2025年はどんな年にしたいですか?
今のところ明確なビジョンはまだ決まってはいないんですけど、とにかく今、自分が置かれている環境のなかでベストを尽くし、しっかりと結果を残すことです。それが次のチャンス、ステップにつながると信じています。
「F1に乗りたい、フォーミュラEに行きたい」というビジョンを持ちながら、今のベストを尽くしていけば、チャンスや新たな選択肢が訪れた時にブレずに前に進んでいけます。これからも目標の実現を目指して、成長していきたいです。
終わり
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【プロフィール】
Juju/野田樹潤 のだ・じゅじゅ
2006年、東京都生まれ、岡山県育ち。元F1ドライバーの野田英樹の次女として生まれ、3歳でカートに乗り始め、4歳でカートレースデビュー。9歳でフォーミュラカーを初めてドライブ。2020年から家族とともに渡欧し、デンマークF4、Wシリーズなどを経て、2023年はF1の登竜門であるユーロフォーミュラオープンで女性初の優勝を飾る。同年、ジノックスF2000(旧イタリアF3)で史上初の年間王者に輝く。2024年よりスーパーフォーミュラにTGM Grand Prixから参戦した。ファッション、マンガが好き。