【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る阪神JF【Pick Up】アルマヴェローチェ:1着 ハービンジャー産駒は2歳GI初制覇。国内外で平地GIを計11勝していますが、うち9勝を3歳秋以降に挙げています…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る阪神JF
【Pick Up】アルマヴェローチェ:1着
ハービンジャー産駒は2歳GI初制覇。国内外で平地GIを計11勝していますが、うち9勝を3歳秋以降に挙げています。ハービンジャー自身は4歳を迎えてから本格化し、英G1のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSを11馬身差で圧勝するなど、4歳時に4戦全勝の成績を残しました。そうした特長を伝えているせいか、産駒も基本的に晩成傾向が見られます。
アルマヴェローチェのように2歳戦のGIを勝ったのは、自身の能力の高さはもちろんですが、母方の血の影響も大きいでしょう。
2代母レイズアンドコールはサクラバクシンオー産駒らしいスピードを武器にアイビスサマーダッシュ3着。母ラクアミも芝スプリント路線で3勝クラスまで出世しました。
母の父ダイワメジャーは、父ハービンジャーとは対照的に、早期に完成するタイプ。2歳から3歳5月にかけて8つのGIを制覇しています。「ハービンジャー×ダイワメジャー」の組み合わせはナミュール(マイルCSなど重賞3勝)と同じ。ナミュールは阪神JFで1番人気に推されながら4着。スタートで大きく出遅れたことが敗因です。勝ち馬からわずか0秒2差だったので、まともなら……と惜しまれる敗戦でした。
ハービンジャー産駒の平地GI勝ちは、ペルシアンナイトのマイルCS、ブラストワンピースの有馬記念を除くとすべて牝馬によるもので、直近は牝馬が6回続けて勝っています(ノームコアのヴィクトリアマイル、ディアドラのナッソーS、ナミュールのマイルCS、チェルヴィニアのオークス、秋華賞、阪神JFのアルマヴェローチェ)。一口やPOGで重視すべき点かもしれません。
◆血統で振り返るカペラS
【Pick Up】ガビーズシスター:1着
父アポロキングダムはアメリカ生まれの外国産馬。JRAで走り、ダート1600mと1800mで2勝を挙げました。重賞経験すらなかった下級条件馬ですが、種牡馬になると意外な成功を収め、JRAにおける勝馬率は40.9%と、一流種牡馬並みの数値を残しています。
これまでの代表産駒は障害戦で活躍したアポロマーベリック(中山大障害、中山グランドジャンプ、東京ジャンプS)。ただ、基本的にはダート向きで、とくに短距離の成績が優れています。父レモンドロップキッド、母方にストームキャットを持つという配合構成は、来年から種牡馬入りするレモンポップと同じです。
2022年10月に所有者のアポロサラブレッドクラブが解散。その前月に用途変更となりました。ガビーズシスターは何事もなければアポロの冠名で走るはずでしたが、そうした事情によりサラブレッドオークションに出品され、371万円(税抜)で売却。現馬主の長島和彦さんの服色で走ることになりました。
「アポロキングダム×スペシャルウィーク」の組み合わせは、さきたま杯4着、テレ玉杯オーバルスプリント5着などの成績を残したアポロビビと同じです。