東京ドームのリング上で対峙したグッドマンと井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 今から約7か月前の5月7日。大観衆が詰めかけた東京ドームのど真ん中で、血気盛んな25歳が放った言葉は、大きな話題となった。「…
東京ドームのリング上で対峙したグッドマンと井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
今から約7か月前の5月7日。大観衆が詰めかけた東京ドームのど真ん中で、血気盛んな25歳が放った言葉は、大きな話題となった。
「俺はもう1年以上もチャンピオンが戦うことを義務づけられている挑戦者なんだ。あんたはベルトを返上するか、俺と戦うかだ」
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声の主となったのは、WBOスーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)。ルイス・ネリ(メキシコ)との一大決戦を終えた世界同級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)とリング上で対峙した25歳の強気な発言は、日本のボクシングファンを沸かせた。
そんな挑戦者の願望は叶った。紆余曲折を経て井上と12月24日の対戦が決定したのだ。このマッチメイクはキャリア19戦無敗の実績もさることながら、何よりもグッドマンの強気な姿勢が絶対王者の陣営に火をつけた影響が小さくないと考えられる。
ニヤッと笑った井上の反応も含め、どこかドラマチックですらあった東京ドームでの対峙シーン。この時の真相を他でもないグッドマン本人が打ち明けている。
豪スポーツ専門ポッドキャスト番組『Hello Sport』に出演したグッドマンは、「あの試合を見に行ったのはちょっとした偵察のつもりだった。自分のできることを見極めたかったんだ」と回想。そして井上との邂逅については、白い歯を覗かせながら、こう振り返っている。
「正直言って、5万人ぐらいの日本人の声援で、通訳とイノウエが何を言っているかは全然わからなかったんだ。ただただ『何が起きてるんだ』と周りを見渡すしかなかった。通訳に話しかけられても全然聞き取れなかったぐらいだ(笑)。何が何だかさっぱりだったけど、とにかく笑って、自分の言うべきことを言えばいいやって感じで言ったんだ」
ネリ撃破の興奮が冷めやらぬ東京ドームの雰囲気によって、状況が飲み込めていなかったというグッドマン。それでも「自分はフラストレーションをぶつけた。世界チャンピオンになるチャンスが欲しかったからね」と、リング上で発した「あんたはベルトを返上するか、俺と戦うかだ」に込めた想いを語った。
グッドマンのキャリア19戦はいずれも母国内での試合のみ。ゆえに井上戦は人生初のアウェー戦となるが、「日本の観客の反応や声を聞いたけど、彼らはそれほど騒がしくない。本当に礼儀正しい人たちだ」と断言。さらに「この試合に勝つ方法はいくつかあると思う」と敵地でも恐れ知らずに挑むことを誓っている。
運命のゴングまで約1か月。現状を「人生で最高だ」と語る25歳から目が離せない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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