サッカーという競技において、本来は不可能に近い数字なのかもしれない。それでも、やってくれそうな雰囲気を帯びている。それ…
サッカーという競技において、本来は不可能に近い数字なのかもしれない。それでも、やってくれそうな雰囲気を帯びている。それが、川崎フロンターレの若きストライカー、山田新の得点王奪取である。
残り1試合となったJ1リーグにおいて、得点ランキングの最上位にいるのがアンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)で24得点で、2位が21得点のレオ・セアラ(セレッソ大阪)。山田はそれに次ぐ3位に位置しており、ジャーメイン良(ジュビロ磐田)と並んで19ゴールを記録している。
つまり、山田が得点王を取るためには最低でも5点が必要で、仮に次戦で、5得点を達成したうえでアンデルソン・ロペスが無得点であれば並ぶこととなる。しかし、相手は36試合で24ゴールを決めるストライカーである。決戦2日前に山田に目標を尋ねれば、「6点」と動じることなく答える。つまり、ロペスが1得点を取っても得点王を狙える数字をすでに掲げている。
ゴールは自分ひとりだけで取れるものではない。チームメイトの協力が必要だ。通常とは違った要求をするのか聞けば、「いつも言ってるので、いつも通りやってくれれば取れると思います」と泰然自若。その口ぶりを聞いているうちに、1試合6得点も夢ではないと思わせてくれる。
■「チャンスを逃がさないようにしっかりさぼらず」
得点王がかかった重要な最終節の相手はアビスパ福岡。順位は10位と川崎より一つ上だが、問題はその守備の堅さ。ここまでの37試合で35失点と、J1リーグで3番目に少ない。
そんな相手に対しても、「失点の少ないチームですし、対策はある程度されると思いますけど、そんなに意識せず、基本に忠実にやりたい」と動じる様子はない。
だからこそ、得点を重ねるためのイメージを尋ねれば、「早い時間に取れればもちろんいいです。この間のACLもそうですけど、ゴール前に入っていくことが大事だと思う。チャンスを逃がさないようにしっかりさぼらず、ゴール前に入ることが大事」と即座に答える。
山田が1試合6得点を感じさせる用意は、その雰囲気だけでない。直近の“結果”もある――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)