第76回阪神ジュベナイルフィリーズ(8日/GI、京都芝1600m)には、アルテミスSを制したブラウンラチェット、デイリー杯2歳S勝ちのランフォーヴァウ、レース史上初となる海外参戦馬メイデイレディなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「モズナナスター」を取り上げる。
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■モズナナスター
【中間調整】デビュー3戦目の札幌芝1200m戦で勝ち上がり。以降1200mのオープンで3着、2着。そして前走・ファンタジーSは自身初の1400m戦とあって10番人気と低く見られたが、好スタートから主導権を握り、粘りに粘ってハナ差2着の激走を果たした。
6月のデビューからコンスタントに使われているが、ダメージの蓄積はそこまでではないようで中4週の阪神JFへ駒を進めることに。ミニ放牧を挟んで11月24日から栗東で時計を再開している。1週前追いには田口騎手が騎乗し、その週のレース(嵯峨野S)で4着と健闘することとなる準オープン馬シュタールヴィントと坂路でスパーリング。手応えこそやや劣勢ながら、気持ちをしっかり乗せて力強く伸び3馬身の先着を果たした。4F52秒1(一杯)は自己ベスト大幅更新の数字。
【最終追い切り】レース当週も田口騎手が騎乗し坂路で調整。競馬新聞などの調教欄では単走扱いも、実際は前後と少し離れた隣を“矢作軍団”で囲む実戦をバリバリに意識した調整。さすがにやや力み気味になり手前変換の場面でミスステップもあったが、ラストの伸びは秀逸だった。
【見解】前走時で448キロとそこまでガサのない馬だが、デビューから休まずここまで6戦走って崩れたのは中1週の函館2歳Sだけ。しかもこの中間は目一杯追われて自己ベスト更新と、そのタフネスぶりは驚異レベルだ。稽古に派手さはなく軽快というよりはパワー型だが、現在の荒れてきた京都馬場ならむしろ歓迎か。縦列調整などここへ来てさらに調教方法に工夫をこらしてきている矢作厩舎。モズナナスターの最終追いでは馬の周りをグルッと囲む、スペシャルメニューを取り入れてきた。いかにも実戦で効果を発揮しそうな不気味さが漂うところで、激走に警戒すべきだろう。
総合評価「A」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。