第76回阪神ジュベナイルフィリーズ(8日/GI、京都芝1600m)には、アルテミスSを制したブラウンラチェット、デイリー杯2歳S勝ちのランフォーヴァウ、レース史上初となる海外参戦馬メイデイレディなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「アルマヴェローチェ」を取り上げる。
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■アルマヴェローチェ
【中間調整】近親に京王杯2歳S勝ちモンドキャンノ、中央5勝カリボールら。8月4日、札幌芝1800m戦でデビューし、物見をするなど若さがありながら逃げ切って勝利。そこから中3週の札幌2歳Sでは6番人気という評価だったが、道中は中団に構え直線ではインを突き抜け出しにかかる。結局勝ち馬マジックサンズの目標にされる格好でハナ差差されての2着に終わったが、デビュー戦と異なる戦法で結果を残したことは高く評価していいだろう。
賞金加算に成功したことで休養、成長を促す期間を取り阪神JFへ直行することに。11月6日に帰厩し、10日に坂路で併せ馬を行ったのが初時計。先行併入の形ではあったが、ラスト2F13秒0-12秒7と馬なりで加速ラップを踏めたのは牧場での順調さを物語るものだ。1週前追いはCWで岩田望騎手を背に年長のオープン馬マコトヴェリーキーを長めから追走する併せ馬。ラストはいっぱいいっぱいになってしまったが、脚勢は衰えず、気持ちの強さで追い比べを制し半馬身ほどの先着を果たした。
【最終追い切り】レース当週はCWで2頭を追う3頭併せ。かなり速いペースで飛ばす2頭を追走し、直線手前で最内に潜ってキャッチアップする。仕掛けられた外2頭が先に抜け出しにかけるも、ワンテンポ待って促されたアルマヴェローチェは機敏に手前を替えて鋭伸。結局1頭に先着、もう1頭にはクビほど遅れたが馬なりを保つことを優先したもので、手応えでは圧倒していた。
【見解】順調ではあるが1週前の時点ではやや素軽さは欠いていた。そこで強い負荷を掛けたことで、反動どころか一気に良化を果たしたようだ。走りのバランスは申し分ないし、仕掛けを待てる高いセンスもある。陣営からは“本質的には距離はあったほうがいい”とのコメントも聞こえているが、適度に前進気勢があり速い流れの攻めを易々とこなしていた。牝馬同士ならマイルでも十分やれそう。休養効果で肉体面のボリュームアップも顕著。勝ち負けになる。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。