8日、香港・シャティン競馬場にて、香港国際競走が行われる。マイル王者決定戦・香港マイル(GI、芝1600m)は日本時間1…

8日、香港・シャティン競馬場にて、香港国際競走が行われる。マイル王者決定戦・香港マイル(GI、芝1600m)は日本時間17時00分発走予定。日本からはマイルCSで悲願のGI制覇を果たしたソウルラッシュ、次世代の最強マイラー・ジャンタルマンタルの2頭が参戦する。

今年は、過去4年で3勝2着1回と、絶対的な王者として君臨した地元のゴールデンシックスティが引退し、本命不在の混戦模様。2019年以来勝ち星から遠ざかっている日本勢にもチャンス十分だ。新時代のマイル王に輝くのは――。その結末を予想する。

◆【香港マイル2024予想/買い目】2走続けて凡走、人気落ちの香港勢に妙味「3連単2頭軸マルチ30点勝負」

■絶対的エースがいない香港勢

昨年の香港マイルで、ゴールデンシックスティの2着に好走したヴォイッジバブル。当時はJRA発売で11番人気と伏兵の存在だったが、年明けの香港スチュワーズカップでGI初制覇を飾り、前哨戦のジョッキークラブマイルを制するなど、現状では香港勢のエース格に上り詰めた。

過去10年の香港マイルで、前走ジョッキークラブマイル組は7勝2着9回3着5回と最も相性が良く、そのうち勝ち馬は5勝をマーク。前哨戦を制した勢いをそのまま本番に結び付けている。その点はヴォイッジバブルにとって好材料だろう。

一方、ドバイターフでは13着、安田記念では17着と、2度の海外遠征の際に大敗を喫しており、世界から強豪が集う場では結果を残せていない。地元シャティンで安定した成績を残せているが、チャンピオンズマイルで3着、前々走シャティントロフィーも2着と、取りこぼすケースがあり、絶対的な存在ではないだろう。

ヴォイッジバブルとの比較で考えると、ギャラクシーパッチにも十分チャンスはありそう。GI勝ちの実績こそないものの、シャティントロフィーではヴォイッジバブルを差し切って快勝。1番人気に支持されたジョッキークラブマイルでは、出遅れが響き3着に敗れたが、常に安定した差し脚は大きな武器で、本命なき混戦なら、あっさり突き抜けても何ら驚けない。

■5年前の勝ち馬と重なるジャンタルマンタル

日本からはGI馬2頭が、5年ぶりのレース制覇を狙って参戦。特にマイルCSで悲願のGI初制覇を果たしたソウルラッシュは、昨年4着に敗れた当レースでリベンジを期すことになる。

その前走マイルCSは、これまでGIを勝ち切れなかったことが嘘のような圧巻のパフォーマンスを見せて快勝。昨年はマイルCS2着を経て香港マイルに臨むも、スタート直後に両サイドから挟まれてバランスを崩したり、4コーナーで他馬とぶつかるなど、スムーズなレースができず、不完全燃焼の一戦だった。一度、香港遠征している点は強みで、今年はさらに充実した状態で臨めるだけに、期待度は高い。

気がかりなのは、好相性の団野からモレイラに鞍上が替わる点。世界的名手を疑うわけではないが、同馬とは3戦コンビを組んで未勝利と相性はいまひとつ。好パフォーマンスを見せたマイルCSは、団野の好リードに導かれたことも要因で、引き続き香港でもコンビを組んでもらいたかった。

また3歳世代の最強マイラー・ジャンタルマンタルが、GI2勝の実績を引っ提げて世界の強豪に立ち向かう。始動戦に予定していた富士Sを熱発で回避したのは誤算だったが、放牧から帰厩後は順調な調整過程を踏んでおり、戦える準備は整っている。

長期休養明け、初の海外遠征、初の古馬との対戦と、目の前の課題は多いが、それ以上に春のレースぶりから楽しみな面は大きい。3歳で5年前の当レースを制したアドマイヤマーズも、朝日杯FSとNHKマイルCを制し、皐月賞での好走歴もあるなど、ジャンタルマンタルとほぼ同じローテと実績であることから、その再現を期待したいところだ。

■ジョッキークラブマイル敗戦組に妙味あり

今年は、地元香港勢に強力なライバルが不在で、日本馬が実力を発揮して戴冠すると考える。ソウルラッシュもジャンタルマンタルも甲乙つけがたいが、若さと斤量面の恩恵もあり、ジャンタルマンタルを上位と考え、2頭を軸にした3連単で攻めてみたい。

相手には香港勢を中心に、ヴォイッジバブル、ギャラクシーパッチは買い目に入れつつ、穴を開けるのは、忘れられた香港勢。特に、今年のチャンピオンズマイルを制したビューティーエターナルは、近2走で凡走して評価を落としているが、単騎で楽に逃げることができれば、十分に力を発揮できるだろう。

また、好相性のジョッキークラブマイルで好走したチェンチェングローリー、ハッピートゥギャザーあたりも、混戦なら展開次第で上位に食い込む可能性は十分で、やや手広く流しておきたい。

一方、今年のモーリスドゲスト賞を制したフランスのラザットや、クイーンアンS2着の実績があるイギリスのドックランズ、トゥーラックHを制覇したオーストラリアのアンティノなど、諸外国からの強豪も気になるところだが、過去10年の傾向で、香港や日本以外の馬が馬券に絡む可能性は低く、ここはバッサリ切る。

香港マイル2024 結論・買い目

◎(12)ジャンタルマンタル ◯(1)ソウルラッシュ ▲(2)ヴォイッジバブル △(6)ギャラクシーパッチ △(4)ビューティーエターナル △(10)チェンチェングローリー △(8)ハッピートゥギャザー

3連単2頭軸マルチ(30点) 軸:12、1 相手:2、6、4、10、8

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。