今季5冠を目標に掲げた東福岡高校だが、全国選抜大会に続く2つ目のタイトル、海外の強豪校も参加する「サニックス ワールドラグビーユース大会」の栄冠は、手にすることはできなかった。 海外から8か国・地域の高校と、国内上位レベルの8校、計16チ…

 今季5冠を目標に掲げた東福岡高校だが、全国選抜大会に続く2つ目のタイトル、海外の強豪校も参加する「サニックス ワールドラグビーユース大会」の栄冠は、手にすることはできなかった。
 海外から8か国・地域の高校と、国内上位レベルの8校、計16チームが参加した第17回大会(男子15人制)は、5月5日に福岡・グローバルアリーナで最終順位決定戦がおこなわれ、東福岡は7年ぶり4回目となった決勝で、南アフリカのグレンウッドハイスクールに6-45で敗れた。

「強いですね。フィジカルでここまでやられたのは初めて」と、敗戦後に語った東福岡の藤田雄一郎監督。「トライを取れるところはいっぱいあったんですけどね。何なんだろう、この差は。何なんだろう……。悔しいなぁ」

 選手たちには目に見えないプレッシャーもあったか、序盤からミスが続いた。キックオフで落球し、ラインアウトを連続で失敗。ブレイクダウンでは何度も絡まれボールを出せず、ハンドリングエラーの多さも流れを悪くした。選手たちは南アチームの圧力を感じていた。

 前半4分にPGで先制したグレンウッドは、13分、激しいディフェンスで圧力をかけ、自陣10メートルライン付近でインターセプト、つないで最初のトライを挙げた。19分にはゴール前右のスクラムから、ボールを受けた12番が軽快な動きで東福岡のタックラーをかわし、追加点でリードを広げた。
 一方の東福岡は、前半15分と後半2分にPGで得点したが、以後はノースコア。
「昨日(準決勝:トルロカレッジ戦/○67-7)のように外でチャンスがあるんじゃないかと思っていたけど、(グレンウッドは)スライドしてきて、ひとりひとりしっかりディフェンスしていてスペースが空かなかった。日本のチーム相手では抜けるところが抜けない。フィジカル的に負けているんで、ドアを開けようとしても囲まれてターンオーバーされた」(東福岡・藤田監督)。
 東福岡は何度も敵陣22メートルライン内に入ったが、南アはしぶとく、LOがシンビンで数的不利となっても14人で守り切り、東福岡に流れを渡さなかった。
 
 今大会、東福岡のディフェンスは海外勢に通用し、この試合でも拍手を浴びるシーンは確かにあったが、南アは後半に4トライを追加。5分、パスが乱れるもキレのあるWTBがギャップを突いて一気にゴールへ運び、リスタート直後にはビッグゲインから素早くリサイクルして頑強なCTBが右隅に飛び込んだ。23分にはゴール前PKから攻め、身長201センチ、体重120キロある今大会注目の大型LO、JJ・ファンデルメッシュトが東福岡の懸命のディフェンスをぶち破った。南アは試合終了直前にも自陣でのスクラムから攻め上がって主将のFLオスティン・ブランマーがトライを決め、ゴールキッカーは100%の成功率で、大差の決着となった。

 グレンウッドハイスクールは2008年大会以来、2回目の優勝。ブランマー主将は「東福岡は技術も体力もあるので、簡単に勝てる試合ではないのはわかっていました。タフなフィジカルバトルになるだろうと。私たちは試合開始からチーム一体となって、いままでの努力を存分に発揮できた。ディフェンスもオフェンスも自信を持っていたので、このような結果になって仲間たちをとても誇りに思います。遠く離れた日本にやってきて、この大会で優勝できたことは我々にとってすごく大きなこと。私自身は近い将来、ストーマーズかシャークスに入りたく、いつか南アフリカ代表でもプレーしたいと思っていますが、自分のラグビーキャリアにおいて、今回の優勝はすごく意味のある財産になると思います」と、喜びをかみしめていた。

 一方、東福岡のNO8箸本龍雅キャプテンは悔しさをにじませながら、「U19スコットランド代表よりも圧力を感じました」と試合を振り返った。今年3月に高校日本代表の一員としてスコットランドに遠征し金星を奪った相手よりも、南アチームの凄みを感じた。
「ブレイクダウンでうまく修正できなかったので、その力をつけていきたい。世界レベルで戦うためには、コンタクト、スピード、ディフェンス力の強化が必要だと改めて感じました。いい経験になりました」
 5冠の目標は達成できなかったが、シーズンはこれから本格化し、冬には花園という大きな目標が待っている。ワールドユースの熱闘が終わったグラウンドの隅で、箸本キャプテンは最後にこう言った。
「絶対、日本のチームには負けないチームをつくっていきたいです」

<サニックス ワールドラグビーユース 2016/最終順位決定戦 結果>
▼決勝
・グレンウッド(南ア) 45-6 東福岡(福岡)

▼3・4位決定戦
・ロトルアボーイズ(NZ) 75-12 トルロカレッジ(イングランド)

▼5・6位決定戦
・東海大仰星(大阪) 52-17 桐蔭学園(神奈川)

▼7・8位決定戦
・慶應義塾(神奈川) 35-26 石見智翠館(島根)

▼9・10位決定戦
・クイーンヴィクトリア(フィジー) 29-23 エニセイSTM(ロシア)

▼11・12位決定戦
・國學院栃木(栃木) 48-12 ジエングオ(中華台北)

▼13・14位決定戦
・セントエドマンズキャンベラ(豪州) 35-31 大阪桐蔭(大阪)

▼15・16位決定戦
・佐賀工(佐賀) 59-5 ソウル大附属(韓国)