DIAMOND CUP OF LEGEND 後編カルヴァーリョ、カンビアッソ 独占インタビュー(前編:ダビド・シルバやカカなど欧州サッカーのレジェンドたちが日本に集結 元日本代表たちを相手に華麗なプレーで魅了>>) 11月27日、ニッパツ三…
DIAMOND CUP OF LEGEND 後編
カルヴァーリョ、カンビアッソ 独占インタビュー
(前編:ダビド・シルバやカカなど欧州サッカーのレジェンドたちが日本に集結 元日本代表たちを相手に華麗なプレーで魅了>>)
11月27日、ニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた『DIAMOND CUP OF LEGEND』。「ワールドレジェンズ」として、カカ(ブラジル)やダビド・シルバ(スペイン)、エドガー・ダーヴィッツ(オランダ)、ハビエル・サビオラ(アルゼンチン)など錚々(そうそう)たるメンバーが来日し、松井大輔や大久保嘉人らを擁する「Jクラシックス」を相手に一夜限りの祭典が開催された。
超豪華集団のなかでムードメーカーとなったのは、リカルド・カルヴァーリョ(46歳)とエステバン・カンビアッソ(44歳)だった。カルヴァーリョはチェルシーやFCポルトなどでプレーした元ポルトガル代表。元アルゼンチン代表のカンビアッソはインテルやレアル・マドリードなどで多くのタイトルを獲得した。
試合の合間を縫って、独占インタビューが実現。レジェンドふたりが現役時代を振り返るとともに、サッカー界の変化と日本の"盟友"への想いを語った。
元ポルトガル代表のカルヴァーリョと、元アルゼンチン代表のカンビアッソ photo by Noriko Nagano
【日本食の美味しさに驚き】
――まず、今のふたりがどんな仕事をしているのか教えてください。
カンビアッソ:今は古巣インテルのアンバサダーとして主に活動しているよ。「FIFAレジェンド」の仕事をすることもあるんだ。
カルヴァーリョ:私はマルセイユでのコーチなどを経て、今はポルトガル代表のコーチとしてチームに帯同している。指導者として勉強している最中だよ。
――今回の滞在で、日本にどんな印象を持ちましたか?
カンビアッソ:本当に美しい国。日本のファンは熱心で、礼儀正しくて感心したよ。そして、食事は何を食べても美味しかった。六本木で肉と寿司を食べる機会があって、あまりに美味しくて本当に驚いたね。私には11歳の息子がいるんだけど、レジェンドメンバーが息子のためにボールに全員分のサインをくれた。いいお土産ができたよ(笑)。
カルヴァーリョ:私は(試合会場がある)横浜から出られなかったけど、ホテルで食べた寿司には感動した。今まで食べた寿司とは、比べ物にならないくらい美味しかったよ。思わず、一つひとつのネタが何なのか、説明を求めるほどにね(笑)。一番のお気に入りは中トロで、何度も頼んでしまった。実は、この試合に向けてトレーニングしていたし、到着後もホテルでもジムワークをして臨んだんだ。試合でよく動けていたのは、そういう準備のおかげだよ(笑)。
【名将モウリーニョはどんな人物?】
――ふたりはジョゼ・モウリーニョ氏の下で指導を受け、CLを優勝したという共通点がありますね。
カンビアッソ:モウは間違いなく、私のキャリアのなかでも最も優れた監督のひとりだ。2009-10シーズンはセリエA、コッパ・イタリア、CLというイタリア史上初の3冠を達成したし、偉大な監督だよ。当時のインテルは、非常にバランスの取れたチームであり、彼がそれを植えつけた。選手にはすごく細かい指示を送り、特にポジショニングに関しては強いこだわりを持っていたね。私が主にボランチでプレーしていたこともあり、さまざまな要求に応えるのは大変だったけど、選手としての成長にも繋がった。
カルヴァーリョ:モウは本当に細かいよね(笑)。特徴をひと言で言うなら、"偉大な戦術家"だ。CBでプレーした私も、ポジショニングは何度も、何度も、指摘されたよ。特にチェルシー時代はその傾向が一層強くなった。ひとつ言えることは、彼は間違いなく私が見てきた監督のなかで最高である、ということだ。恩師でもあり、最も尊敬する人物でもあるね。
――それぞれ、クラブでの印象深い出来事を挙げるとするなら?
カンビアッソ:やはりインテル時代のCL優勝は思い出深いよ。セリエAは4連覇中だったけど、CLではなかなか勝てなかったから。チームには私とハビエル・サネッティ、ワルテル・サムエル、ディエゴ・ミリートと4人のアルゼンチン人がいて、ブラジルのルシオやマイコン、ジュリオ・セザル、コロンビアのイバン・コルドバと南米色が強く、居心地もよかった。あと、あの年のサミュエル・エトーは強烈だったね。翌年の「クラブワールドカップ」を制し、世界一になれたことも私にとっては大きな意味があったよ。
カルヴァーリョ:チェルシーでモウと過ごした時間、3度のリーグ優勝は誇らしいキャリア。私はジョン・テリーとCBを組むことが多かったが、彼との相性は抜群だった。テリーがFWにアタックし、私がスペースをカバーする。コンビとしてお互いの意図が、手に取るようにわかった。後ろにはペトル・チェフが控え、前にはクロード・マケレレがいたし、相手チームからすると隙がない守備力を持ったチームだったと思うよ。
【ベストな選手は誰? カンビアッソ「ユウトは怪物」】
――これまで見てきたなかでベストの選手は?
カンビアッソ:疑うことなくリオネル・メッシだ。彼について語る際に、もはや説明は不要だろう。メッシ以上の選手を私は知らないよ。個人的にはディエゴ・ミリートも非常に優れたストライカーだったと思う。チームが本当に苦しい時、何度彼のゴールに助けられたことか。
カルヴァーリョ:クリスティアーノ・ロナウドだね。彼は真のリーダーだと思う。若い頃から知っているし、プレミアリーグでは対戦相手として、レアル・マドリードやポルトガル代表ではチームメイトとして、引退後は代表のコーチとして彼と接してきた。私が考える彼の最も優れた点は、メンタルだ。あれほどストイックにサッカーに向き合い、チームを勝利に導くことにすべてをかけられる選手はいないよ。若い頃の彼はやんちゃな部分もあったし、ムラもあったが、今は誰よりも落ち着いている。まさか、ここまで落ち着いた選手になるとは思わなかったよ(笑)。トレーニングに向き合う姿勢も本当にすばらしく、若手の選手の見本となっている。
――カルヴァーリョさんは、今のポルトガル代表をどう評価しますか?
カルヴァーリョ:才能ある若手がどんどん出てきて、いいチームであることは間違いない。今の欧州ではスペインが抜けた存在。ポルトガルはそこに続くグループのひとつではあるが、他国との差は縮まっているように感じる。かつての強国と、中堅国の境目がなくなりつつあるね。代表ではクリスティアーノが偉大すぎて、若手もまだまだ彼に遠慮しているような面もある。世界のトップを争うとなると、彼を押しのけて「自分がやってやるんだ」という選手も必要になるとも思う。グループに何人かリーダーが生まれれば、より優れたチームになるだろうね。
――印象的な日本人選手は?
カンビアッソ:正直、日本サッカーについてはあまり詳しくないんだ。だけど、インテルで仲間だったユウト(長友佑都)のことは今もチェックしているよ。今回一緒に来日したマルコ(・マテラッツィ)とも『ユウトは今も代表に選ばれているようだ。怪物だね』と話していたんだ。ユウトは本当にいい奴だ。私は彼が大好きで、それは明るく前向きな人間性によるところが大きい。ビッククラブでプレーし続けるには、人間性が伴わないと不可能。プレーヤーとしても、左サイドを何度もアップダウンする運動量はすばらしかった。インテルには欠かせない選手だったし、常にチームを明るくしてくれたね。
私の現役時代よりも、今はよりフィジカル的な要素が求められる。40歳近くになって、一線級でプレーできているという事実が、ユウトがいかに優れているかということを証明しているね。私は、今回の試合でヘロヘロになるくらい疲れたよ(笑)。
カルヴァーリョ:現代サッカーは「クチュ」(カンビアッソのあだ名)が言うとおり、昔よりもフィジカルが問われるようになった。試合数の増加もあり、年齢を重ねてトップフォームを維持することも難しくなっている。そんな意味でも、クリスティアーノはやはり怪物だよ。運動量やスピードが問われるサイドのポジションで、今なお代表に選ばれているナガトモも、そういった選手なんだろうね。
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